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    Si__Vales_Valeo

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    Si__Vales_Valeo

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    テスカトリポカに霊衣着てほしいなー!とまず採寸するお話。ぐだちゃんの嫉妬と、服飾組とわちゃわちゃしてるの書きたかったのでした。

    ポカぐだ♀後先なんて考えない勢いあまっての行動って、しちゃう時あるよね?
    で、そういう時ってだいたい上手くいかなくて、「あの時なんであんなことしちゃったのー!?」って頭抱えることになるんだ。
     
    なに突然どうしたの?って思われちゃうと思うけど。ハイ。いま絶賛、「あの時なんであんなことしちゃったのー!?」って大後悔しているワケでして。
     
    手はガタガタ震えちゃって、でも広い背中に目は釘付けで、指先が触れた皮膚は柔らかくって、指の腹がふにっと沈んで。心臓が暴れ出して叫び出したい気持ち。
     
    ハイ。なんとわたしの目の前には半裸のテスカトリポカがいるんですよ。広い背中を無防備に晒してます。
    わたしは彼の左肩にメジャーの先端をあてて、右肩へ向けてメジャーを伸ばすのです。
     
    後先なんて考えない勢いあまっての行動で、彼の採寸役をすることになっているのでした。
     
     
     
    イヤ、つい。ついね。それもこれも、このひとがいけないのよ。
    クレーンとハベトロットとお茶する時に、よくテスカトリポカなら何が似合うかなあって話になるんだけど。コート姿も戦いの装束もカッコいいんだけどさ。あのひとのお気に入りだっていうコート、きっとデイビットが用意したんだろうなあって思うと、なんかこう……悔しくて。
    他にもきっと、似合うやつ。あのひとが気にいるやつがあると思うんだよね。
    で。わたしがよく、どんなのがいいかなあって話をするものだから、この前クレーンがすっごいカッコいい衣装デザインを描いてくれて!作ってつくってとお願いして、彼女のアトリエにテスカトリポカを連れて行ったの。
    あのひと全然乗り気じゃないから、無理矢理手を引っ張って。何故わざわざとか、コイツ(黒のコートね)があるからいいとか、なんかぶつぶつ呟いて不機嫌モード全開だったから、採寸もイヤがるかなーって。だったらしょうがないから一回引き下がろうって思ったんだけど。クレーンがメジャーを取り出したら、しょうがないなって突然上着を脱ぎだすんだもん。
     
    クレーンもハベトロットも、あらー!とか、シルエットキレイじゃん!とか、彼を褒めそやして取り囲むものだから。
    その輪から少し離れて三人を見てたら、なんか…….なんかお腹がむかむかしてきて。
    クレーンがテスカトリポカにメジャーをあてようとするの見てたら、あ。なんかイヤだ!って。
    それで、気がついたら「わたしがやる!」って、言っちゃってたんだよね。
     
     
     
    彼の背中を見てはいるけど、こんな、全部脱いでるのなんて見たことないし。
    さすが、余計な肉はいらん。しなやかさが重要だ。って言ってるだけあって、細身だけど筋肉はしっかりついてて。なんかこう、ダンサーとか、ボクサーのひとみたいな?
    背中の盛り上がりとかすごいし。腰とか、すごい引き締まってるし。腕も。筋とか、筋とか…………
     
     
     
    「マスター。数字いくつだった?」
    「わっ!……と。ごめん!」
     
    ハベトロットの声にハッと我に返った。
    いけないいけない。ついじいっと魅入っちゃった。
    わたしはもう一度メジャーをピンと張って、右肩の目盛りを読み取った。
    デスクに腰掛けるハベトロットに数字を伝える。彼女はおっけーとにこやかに応じて、採寸表に数字を書き込んでゆく。
     
    ぜんぜん手付きがおぼつかなくて時間ばかりかかっちゃうけど、ハベトロットは「いい感じ!」と優しくやり方を教えてくれる。
    ……クレーンは急にいつもの発作を起こして、「もっと素敵なモノができそうです!」って叫んだと思えば、壁際に張り付いてわたしたちを凝視しているんだけど。
    彼女の愛するアイドルはいないんだけどなぁ。
    やっぱり、きれいな裸体って創造力を掻き立てられるのかな?素敵な衣装ができたらうれしいハズなのに。なんか、むーん。
    ……なんか、もやもやする!
     
    「むはっ!」
     
    背後から叫び声(?)が聞こえた。振り返ってみると、クレーンが顔を口元を押さえてぷるぷる震えていた。きっとあの手をどけるとハァハァいうやつ。
     
    「クレーン?大丈夫?どうかした?」
    「ふひ。……だ、大丈夫です!
    どうか、お気になさらずに、マスター。私のことは壁だと思ってください。」
     
    いやいや、こんな存在感を放つ壁はないって。
    とはいえ彼女のコレは通常運転なので、とりあえず採寸を完了させることに集中することにした。
     
    「今度は胴回りを測るよー。」
    「おーっ!」
     
    拳を振り上げてハベトロットに元気よく応えた。
    テスカトリポカの視線がじろりと落ちてくる。やる気に満ちているわたしに反して、テスカトリポカがげんなりとため息を吐いた。
     
    「まだ続くのか。」
     
    わたしが下手なのがいけないんだけど。教えてもらったり緊張して手元が狂って測り直したりするから、結構時間がかかってしまっている。
    でもこのままやり遂げたいし。カッコいい衣装作ってもらいたいし。それを着て一緒に戦って欲しいし。
    わたしは顔の前で手を合わせて拝み倒すことにした。
     
    「ごめんっ。後もうちょっとだから。ね?おねがい!」
     
    頭を下げた後頭部に溜め息が落ちる。
     
    「おまえさんのオネガイだから応じるがね。
    別に衣装なんていいじゃねぇか。アレがオレのお気に入りだって、前にも言っただろう?」
     
    彼は親指を背後に向けた。彼の背後にはトルソーがあって、そこには黒いコートとベストが引っかかっていた。
    ……うーん。やっぱり、新しい衣装は乗り気じゃないかぁ。
     
    「えー、意外。神サマは、マスターがなんで新しい服を着て欲しいか気づいてないんだね。
    妹サンもいるから、女の子の気持ちがわかるひとだと思ってたんだけどなー。」
     
    わたしの横で成り行きを見守っていたハベトロットが声を上げた。からかうように半目でテスカトリポカを見るから、彼は面白くないみたい。アン?と呟き眉間に皺を寄せた。
    ハベトロットはそんな様子にも動じずカラリと笑った。
     
    「ボクはマスターと一緒に異聞帯へ行ったから知ってるんだけど。クリプターのマスターと一緒にいた時もその格好をしてただろ?
    マスターは、誰かが選んだ服じゃなくて、マスターと一緒の時だけの特別な服を着て欲しいんだよ。」
    「ちょっ!ハベにゃん!?!?」
     
    ぎゃーっ!ハベにゃん!なんてことを!
    なにを話すんだろー?ハベにゃんかわいいなーっ。なんて、思ってる場合じゃなかった。
    バレてた!
    しかも一番バレたくなかったひとにもバレちゃったじゃん!!
     
    「ふうううん。」
     
    ほら!急にニヤニヤと、やらしい笑みを浮かべだしたよ。
     
    「やっ、やっぱり、敵だった時とおんなじ格好だけじゃなくて、違う姿もみたいじゃない?
    いつも一緒に戦ってくれるから、捧げ物ってことでもあってさぁ!」
     
    取り繕うように理由を並び立ててみるけれど、彼は口の端を吊り上げて見下ろしてくるだけだ。
    にやにや。ニヤニヤと。さっきまでの不機嫌どこ行ったの!
     
    「はいはい。次は胴回りだよー。」
    「ホラ、はやく尺を背中に回せよ。」
     
    テスカトリポカはなんでか急に乗り気になって、ハベトロットとふたりしてわたしを急かしてくる。腕を浮かせて腰回りを測りやすくまでしてくれる。
    ここでいつまでもゴネても付き合ってくれるみんなに悪いし、ぐぬぬと喉を鳴らして彼の前に立った。
     
    さっきまでの背中ではなく向き合うかたちになる。目の前に引き締まった胸が迫る。
    いつもは装束に隠された胸筋が、肌の滑らかさが目に毒だ。微かに煙草の匂いがして、ぞわぞわと胸がざわめく。鼓動が速まって緊張が加速してしまう。
    刺激が強すぎるからいけないんだ。わたしは目の前の筋肉をなるべく見ないように視線を下げて、左側からメジャーを背後に通した。慎重に、肌に触れないよう、右手で彼の背面にあるメジャーの端を掴む。
    わ。抱きついてるみたいじゃない?
     
     
     
    なんて思った瞬間だった。
     
     
     
    ぎゅむ。
     
     
     
    背中を押され、転ばないようにと前に出た手のひらが滑る。頬にふにと柔らかい肌が当たった。
    そのまま肩に腕が回って、ぺったりとすべすべの肌に包まれる。煙草の匂いが少し濃くなった。
     
     
     
    え、ちょ、ふぁ……
     
     
     
     
    「わーーーっ!ちょっ、ハダカ!
    ハダカで引っ付かないでよおおお!
    ちゃんと計測できないじゃん!」
    「いやいや。抱きつかれたら、抱き返すもんだろ?」
    「抱きついてないー!」
     
    テスカトリポカは乗り気どころか上機嫌で、鼻歌でも歌いそうなくらいだ。グリグリとわたしの頭上に頬を擦り付けて、もがくわたしを押さえつけるようにぎゅうぎゅうと抱きしめてくる。
    なんなの!なんて変わりようだ!
    目を白黒させつつ、なんとか這い出る。危なかった。ちょっと、このままずっとぎゅっとして欲しいとか、思っちゃったじゃん……!
     
    腰を測るだけなのに、ぜぇぜぇと息が切れ汗までかいてしまった。ドッと疲れた。
    汗を拭うわたしを見上げ、ハベトロットはきゃらきゃらと笑った。
     
    「協力的になってくれてよかったじゃん。」
    「どこがっ!?」
     
     
     
    ちなみにクレーンは口元を押さえてしゃがみ込んでいた。気持ち悪くなっちゃった?と聞いてみたけれど、俯いたままふるふると首を振り、サムズアップしてきた。
    手のひらをわたしたちに向け、続けてと言うように二度広げた。
    今日は発作が激しいらしい。
     
     
     
    途中、うまくいくかなと不安を覚えた採寸であったけれど、わたしもだんだん慣れてゆき、テスカトリポカの積極的な協力(意味ちがくない!?てときもあったけど!)もあって順調に進んだ。
    わたしってば才能あるんじゃない?なんて得意げになり出した時に事件は起きたのだった。
     
    「はい。ゆき丈もおっけー。次は股下だよ。」
    「まっ……股下ァ!?」
     
    ハベトロットののほほんとした声でドカンと爆弾が投げられた。
    そうだったよ!採寸って上半身だけじゃないんだ。
    無意識にテスカトリポカの下半身に視線を向けてしまい、慌てて目を逸らした。
    じわじわと頬が熱くなってくる。
    どっ!どうやって、測れば……!?
    目を泳がせていたところ彼とパチリと目が合った。いじわるくニヤリと口角が吊り上がる。
     
    「脱ぐか?」
    「それセクハラだからね!」
     
    テスカトリポカはすっかり泰然としてわたしを翻弄してくる。ぐぬぬっ。
     
    「まぁまぁ。ここから先は、服飾を生業にしている私が測りますので。」
     
    コツコツとヒールの音を響かせ、クレーンがにらみ合うわたしたちの間に立った。
    彼女の顔からすっかり赤みが引いていた。体調は回復したみたい。わたしに向けてにっこりと笑いかけてくれた。
    さすがにちょっと。ひとりで脚……ま、股下は、測れないから。ホッとして息を吐いた。
    クレーンが手を差し出すので、その手にメジャーを託す。

    クレーンはデスクに置かれた雑誌をテスカトリポカに差し出した。脚で挟んで、床からその雑誌の背表紙までを測るらしい。
    これなら直接触れないで正確に測れるみたい。……触れないけど。脚で挟んでる雑誌は、それってもう、やっぱりセンシティブでは??
     
    クレーンはテスカトリポカの前にしゃがみ込んだ。床にメジャーの端を付け、雑誌に向けメジャーを伸ばす。



    なんか……なんかヤダ!



    「やっぱりダメっ!!」
     
    思っていた以上に、渾身の。拒絶の言葉が出てしまった。
    誰も彼も時が止まったみたいに固まって、アトリエがシンと静まり返る。
    わたしの声に驚いて振り向いたクレーンと目をが合う。彼女は大きく目を開いて、驚愕の表情を浮かべている。その瞳は潤み、顔がどんどん赤く染まっていった。
    ……あ。やばい。傷つけてしまった。
    わたしはちがうのと弁明をするために口を開けた。
     
    「あ……あの……、」
    「…………ぐはぁ!!」
     
    クレーンは呻いて倒れ込んでしまった。

    「えぇっ!?クレーン?大丈夫!?」

    クレーンに駆け寄り肩を揺すった。
    声を掛けてみるけれど、ぶつぶつと小さい呟きが聞こえるだけでわたしの声には応えてくれない。わたしは彼女の口元に耳を寄せた。

    「きゃわ……尊い……尊死…………」
    「???」

    途方に暮れていると、ごほんとわざとらしいくらいの大きな咳払いがした。背後にいたテスカトリポカが顎に手を当て見下ろしてきていた。
     
    「そんなに他の女に触れさせたくないか。神を独り占めとは強欲だな。」
    「ちょっ!そういうんじゃ!……ッ!!……え、ええと!!」
     
    ないから!と否定しようとしたけれど、でもたしかにイヤかもそうかもと思ってしまい、言葉が引っ込んでしまった。
     
    テスカトリポカはますます笑みを深めてゆく。
    意地の悪そうな、やらしい笑みじゃなくて、口元がふにゃふにゃしてる。今まで見たことない顔だ!
     

    わたしはクレーンの手からメジャーを取り出した。やけくそになって震える手を彼が挟む雑誌に伸ばす。
    ひぃーーっ!雑誌とはいえ、股の延長じゃん?えっち!
    でも負けるかー!



    「わーん!絶対!服できたら着てよねーっ!!」
    「着てやる着てやる。おまえさんがやり遂げるならば叶えてやるさ。」

    わたしの叫びにテスカトリポカは声を弾ませて答えた。

    この時のわたしは、モヤモヤの理由もわたしがやるとわがままを突き通した原動力もわからないまま、なんでダメって言っちゃったんだろう!?と大後悔するばっかりで。
    わたし以外のみんながわたしの気持ちに気づいているとは、全く思ってもみなかったのだった。



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    Si__Vales_Valeo

    DONEポカぐだ♀ です。ふたりがただイチャコラしてるの書きたいなぁと思っていたところ、日曜の朝が寒かったので思いついて、起き抜けに書いたお話です。(そして二度寝してしまったという…)
    まだしばらく寒い日が続くみたいですので、朝、お布団の中でぬくぬくしながら読んでいただけたらなと思っております。

    ……年齢制限しなくても大丈夫かな。直接的な表現ないし……?。
    ポカぐだ♀ / ほのぼのイチャイチャジリジリジリ……

    遠くから不快な音が聞こえる。引っ張られるように、ふわりふわりと、意識が浮上していった。
    その音は頭上でけたたましく鳴り響く、ヘッドボードに置いた時計の起床せよと命じるアラームだった。


    ……うるっさいなぁ。まだもうちょっと、寝てたいのに。



    まどろみの中、小さく唸って寝返りを打つ。首元から冷気が入り込み、ぶるりとからだが震えた。普段、部屋は空調が効いていて適温なのだが、寝る時はそれを切っているため朝方には外気温に近いほど温度が下がるためだ。からだを包む布団のありがたみを痛感する。



    あったかい。ぬくぬく。お布団最高。



    あたたかさに包まれ再び意識が沈みそうになるがアラームがそれを妨げる。
    わたしはしょうがないと眉を寄せ、布団の中から片腕だけをにゅっと突き出した。途端、ひんやりした空気が肌を刺す。長袖のパジャマを着ればマシなのだろうが、布地が多いとどうにも落ち着かず半袖のTシャツ・短パンで寝ているせいだ。
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