マヴ愛され/お題:ハロウィン「Trick or Treat」
子どもたちの楽しげな歓声が風にのって聞こえてくる。
ピート・ミッチェルことマーヴェリックはそちらへと首を巡らせてからふと振り返った。
「君たちも、こんなところにいないで楽しんできたらどうだ?」
視線の先には一年前の作戦で共に飛んだ教え子たちが、格納庫で出番を待っている機体を眺めたり整備士たちと会話をしたりと思い思いに過ごしている。
「こっちも楽しいですよ」
「向こう行ったら手伝わされるじゃないですか」
「俺たち観客の方なんで」
若者たちは実にドライだ。いや、一年前に二週間ほど飛行技術を教わった(後に生死をかけた作戦に共に参加した)相手にわざわざ会いに来てくれるのは義理堅いと言うべきか。
2172