マディ、ピート、ブラッドリー 何かが頬に触れる。それは髪を撫で、また頬を通って肩を撫でた。手だ。それも大きく温かい手。
「マーヴ、おはよ」
掠れた朝の声。ブラッドリーの声。
「んん……おはよう」
目を開くとブラッドリーは床に膝をついて、ベッドで眠る僕を見つめていた。
「よく眠れた?」
「ああ、眠れたよ」
答えながらあくびが漏れた。ブラッドリーは小さく微笑み、さっき手を触れた僕の頬にキスをした。
ブラッドリーのいるバージニアを訪ねて四日目。ブラッドリーは毎朝僕より先に起きていた。僕を起こす時、彼は決まって同じことを言って笑う。「俺、いつもはこんなに朝早くないんだよ」僕がいるから、興奮して早く目が覚めてしまうらしい。彼を子どもみたいだと思うことは時々あるが、まさか朝一番にそう思わされるとは、東海岸に来るまで予想もしていなかった。
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