「コレ一冊クダサイ」
「ハイ、毎度あ、りがとう、ございます」
受け取ったお金をお釣り箱に仕舞い、笑顔を作って顔を上げると目の前に立っていたのは白い肌に白い髪、金色の瞳。見知った顔がアタシの本を指差しながらアタシより背が低いのに見下ろすという器用な事をやっていた。
「テメェ等全員人気だな。並ぶだけで苦労したわ」
「いやぁ、おかげさまで結構売れてます」
「へぇ…俺受けで?」
「白サン受けで」
白サンの後ろの方がアタシと話してる事で迷惑そうに白サンを見上げたがアタシの本と白サンを交互に見て黄色い悲鳴をあげた。その悲鳴で周囲が何事と白サンを見て全てを察した。
黒いツナギで中のTシャツは白だった黒崎サンと色違いのTシャツが黒で白いツナギ姿の白サンは肩にトートバッグを掛けていた。ちゃんと勉強したのか動きやすいように来ているらしい。
財布から本の金額ピッタリの硬貨を取り出して差し出してくる手をギュッと握り、滑らかな肌を指先で撫でる。
「白サン、この後のご予定は?」
「予定聞くのに手を握るんじゃねえよ。あと触り方が気色悪ぃ!この後は予定があるし無くてもテメェと何かする気はねえ」
「いつもながら酷いっすねぇ。喜助悲しい!」
「うっぜ」
振り払われた手でお金を受け取って本を差し出すと態度の割に丁寧に受け取ってトートバッグに仕舞った。何冊か入ってるって事はどこか寄ってきたんスかね。どこ行ったんでしょ。
「ありがとうございました〜」
「おう。じゃあな」
一歩横にズレて手をヒラっと一度振って去ろうとした白サンにそういえばと手を伸ばし、ギリギリ届いた人差し指を握って引き留めた。
「あ、白サン。ご予定って何か聞いても?」
「一護と斬月サンとラブホ行くんだよ。今のラブホってオフ会とかに使えてすげぇんだろ?気になって一護達に言ったら行こうって話になったんだ」
「え」
「じゃあな。頑張れよー」
え?ラブホ?ご一緒させてほしいんですが!?