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    matubahuki_2go

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    ヨの25年間
    捏造&妄想IFです。

    #ヨの25年間

    その3【ヨレのサバイバル森生活と、オクとの思い出】朝になった。
    夜の森は意外と温かく、馬と寄り添って眠った為に凍死はしなかった。
    「喉が乾いて干からびてしまいそう……。」
    ブル、ブルル……!
    起きたヨレンタに気付いた馬が、長い鼻先でヨレンタの身体をつついて、食事の催促をする。
    「ごめんね。お腹が空いてたのに我慢させちゃったね。」
    そう言って馬の鼻面を撫でた。
    ヨレンタは馬を連れて森を歩いた。
    早朝の森は白い霧が立ち込め、視界が悪かった。
    しばらく歩くと、サラサラという音が聞こえて来た。
     音に向かって行くと、ヨレンタが数歩で飛び越えられる大きさの小川が流れていた。
    「やった!」
    ヨレンタは、握った拳を天に突き上げガッツポーズをした。
    馬に水をあげ、ヨレンタも両手で水をすくい、ゴクゴクと飲んだ。
    「冷たい……!」
    喉を潤すと、体の底から生きる力が湧いた。
     川沿いを歩くと野生ベリーの茂みを発見した。
    小さな赤い実が、鈴なりに実っていた。
    馬がパクっと食べた。
    「あ!」
    (早くしないと全部食べられちゃう!)
    ヨレンタは慌てて、残ったベリーの房をかき集めた。
    手づかみで食べると、甘酸っぱい味が広がった。
     ふと、ヨレンタはオクジーとの会話を思い出した。
    オクジーに文字を教えていた時の事だ。
    ***  ***
    ヨ「”私はパンを食べます。(イェム フレップ)”は、
    ”Jem chleb.”と書きます。」
    ヨレンタは羽ペンにインクを付け、見本を書いた。
    オ「J,e,m, c,h,l,e,b……。」
    オクジーは、ヨレンタの見本を見ながら、一文字ずつ丁寧に書き写した。
    オ「パンと言えば…、俺、貧民の人達にパンを配ってるんです。バデーニさんがこの前急に、『私は少食なのを思い出した』と言って配給のパンを増やしてくれたんです。
     でも、大人の男の食べる量には全然足りなくて……。
    不自然ですよね?ヨレンタさんはどう思います?」
    ヨ「う~ん……。」
    ヨレンタは顎に手を当てて、唸った。
    ヨ「それはバデーニさんなりの優しさ、でしょうか?」
    オ「やさしさ、ですか?」
    ヨ「バデーニさん、絶対にプライドが高いと思うんです。」
    オ「それはそうです。修道士さまですから。」
    ヨ「そうです。だから、オクジーさんが文字の勉強を頑張っているのを応援したいけれど、何と言葉をかけたら良いか分からない。バデーニさんは優しい言葉をかける代わりに、オクジーさんへの配給のパンに、自分の分を上乗せしてるんじゃ……?」
    オ「なるほど。バデーニさん意外と不器用ですね。」
    ヨ「あのっ、いえ!これは私の想像なので、バデーニさん、もしかしたら本当に少食かもしれません!」
     ヨレンタは大慌てで、両手をブンブンと振った。
    まるで恋の相談を受けてるようで、恥ずかしかった。
    ***  ***

    「ふ、ふふふっ――……。」
    ヨレンタの目から大粒の涙が零れた。
    (あの二人は、天国に行けたのだろうか?)
    ヨレンタは泣きながら、ベリーを食べた。
    涙の塩味と、ベリーの甘酸っぱい味が混ざった味がした。

    ふわり、と空から白い物が落ちて来た。
    雪だった。
    それは、空から落ちてくる誰かの悲しみのようだった。
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