その5「 逃げながら、アントニとシモン(新茶)を考えるヨレンタ」【逃げながら、アントニとシモン(新茶)を考えるヨレ】
ヨレンタは空腹で倒れそうだった。
雪が溶けるまで洞窟に籠っていた為、数日まともな食事を
していなかった。
馬が食べる草を、自分も食べてみた。
飢えは満たされたが、お腹が痛くなった。
(おなかいたい……都市だったら、お金があればパンが
買えるのに。お金がなくても、運が良ければ、
教会の入口で配っているパンを貰えるのに……。)
馬に乗り、川沿いに進んでいる為、水はあった。
水のお陰で、まだ倒れてはいない。
ヨレンタは、森で冬を過ごす無謀さを感じた。
雨や風を防げる洞窟は見つけた。
しかし、衣服が足りない。
保温性の高い服が何枚も必要だ。
汗をかいて、雨に濡れても、交換する服がなかった。
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