言い訳が長いにもほどがある1月も終わりのある明け方、目覚めたら隣で眠っていたはずの夏彦の姿はなくて、就寝時には確かに枕元の充電ケーブルに繋がれていたスマホも見当たらなかった。
普通なら、シャワーを浴びているのだろうとでも思うところかもしれない。でも、そこは腐っても兄弟だ。妙な予感にベッドを出て玄関に赴いてみると案の定、夏彦の上着とスニーカーが消えていた。
「あのアホ……」
電話をかけてももちろん出ないし、メッセージを送っても未読のままだ。さてどうしてやろうかと思ったその時、思い当たった。夏彦は俺のワイヤレスイヤフォンを勝手に使っていて、いつもボディバッグの中に入れている。
スマホでイヤフォンの位置情報を検索すると、10kmほど離れた海沿いにいることが分かった。俺の車は使っていないようだから、タクシーにでも乗ったのか、徒歩で行ったのか。
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