これからよろしくあれは高校三年の時だった。
あいつはいつだって俺の姿が見えなくなると探しにくるし、気づけばそばにいた。
言葉遣いは良いが口は悪く、俺をなめる奴が減ってもあいつだけは辛辣なことを言い続けるので俺はよくキレたが、案外それが居心地よくて、犬と猫の中間のような性格のデカい生き物をいつも隣に置いていた。
あの日は部活で熱くなりすぎ、皆が帰ったあと頭を冷やすためにしばらく体育館の裏に座り、ひとり考えごとをしていた。
スッキリしてきたしそろそろ帰るかと思った頃、砂利を踏む音が近づいてくる。
「光来くん」
慣れた呼び方と共に現れたのはもちろんあいつだった。
「なんだよ、まだいたのかよ」
「そろそろクールダウンできた頃かなと思って。一緒に帰ろ」
3510