ふる〜てぃ〜ず“とまと”--ずっと、隣で見ていた。
両家の仲が良かったこと、同い年だったことで共に育てられた。いつも、比べられていた。
しかし彼女にとっては嫌なことではなく、むしろ私もこうなりたいと願うことになるような、憧れの的だった。
「お荷物をお持ちします、きゃろさん。」
「あら、よろしいのですか?」
「ええ、もちろん。」
彼女に頼られることが何より嬉しかった。
それは月日が流れ、高等部に進学しても変わらない。
黒縁眼鏡に文字通り赤毛をアシンメトリーに結った、ツンとした印象を受ける彼女は輝赤とまと。王立オルス学園高等部生徒会にて副会長を勤めている。成績優秀で努力家であるが、きゃろには1歩及ばない。だがしかし、それは彼女たちにとっては当たり前のことで、きゃろは旺橙苺の人間としてトップでいなければならないし、とまとは尊敬するきゃろを超えるなんてとんでもない事だった。
誰よりも尊敬するきゃろをお守りするのはとまとの役目で、誰よりも理解しているつもりだ。
しかし、最近どうも両親の様子がおかしい気がする。成績はどうだったか、魔力の向上は見られるかとそればかりで自分を見てくれていないような気がしていた。
「お父様、お母様?最近どうしたのですか…?最近ちょっとおかしいと感じてしまうのです。」
--国家に不信感がある。
そう両親に告げられた。
間違っている?不信感?きゃろさんが?
そんなわけないじゃない。
だってきゃろさんよ?あの方が間違っているはずがないじゃない。ねぇ、どうして?
--なんでも勝たないように頑張ってきたのに。
どうしてそんなに悲しそうなの?どうして謝るの?
どうして……。
ーーーどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして……!
私は、どうすればいいの?