体不43 ──38.5度。
体温計が指した数字は明らかに異常を示していた。どうやって言い訳しようか悩む間もなく、隣から伸びてきた手に奪い取られてしまう。
「風邪だな」
「う……ごめん」
ベッドに横たわる三宙を熱のない視線で見下げながら、四季は傍らで体温計を見る。平熱が高いだとか言い訳する必要もなく、紛れもない高熱だった。
最近の過酷なスケジュールによるものか、はたまた季節の変わり目に起因する何かか、流行り病か。何にせよ、今日の予定はキャンセルせざるを得ないだろう。
「熱以外に体調は?」
「大丈夫」
「言っといた方が身のためだぞ」
「……喉が痛いのと、頭痛デス」
冷ややかな視線と共に何やら不穏な指の音を立てられ、白状するしかなかった。せめて四季に感染っていないことを願うばかりだ。
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