沈んで、揺蕩って③ 納まりが悪い。わだかまりを抱えたまま四季は煉瓦街を特にあてもなく歩いていた。
時折、三宙と連れ立って珈琲を飲みに行くこともあるが、あんなことがあって以来お互いにそんな気分にはなれなかった。それどころか、訓練などの必要な場面以外では未だに避けられている。同じ部隊の一員として休憩に出向いている今も。
この街は元より居心地のいい場所ではないが、おかげでそれをいっそう顕著に感じる。
考えたくもないのに、気が付くと三宙と言い合いになった事が頭の中を巡っている。優しさなんていらない。なんで自分ばっかり酌んでやらなきゃならないのか。とは言ったものの、認めたくはないが心の隅に引っ掛かり続けているのは事実だった。
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