愛しい小鳥「ん?」
窓をコツコツと叩く、微かな音が聞こえた。
白いレースのカーテンを開け、小さな来訪者に頬を緩める。
「おや、すっかり常連ですね」
みかん色の羽の小さな鳥。
一度餌をあげたからか、たびたび訪ねてくるようになった。
妻が起き出す前のわずかな時間。コーヒーを啜っていると、この小鳥は姿を表す。
窓を開けてやれば、チュン! と一鳴きしたその子がなんの警戒もせずにこちらの手に飛び乗った。
早くご飯ください、と言わんばかりに首を傾げている。この子の為だけに買っておいた鳥の餌を、もう片方の手のひらに乗せた。
「さあどうぞ」
嬉しそうに鳴いたその子が朝食をつつく。
その様子を、手のひらに乗せたままじっと観察していた。
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