独りの少女と猫その日、私は一匹の黒猫と出会った。
少し暑くなり始めた頃。
その日は午後から雨が降った。
高校生である私は数年前に両親を亡くし、大学までは困らないほどの遺産を遺してくれてはいたけれどもアルバイトをしていた。
学業との両立は忙しかったけれども、そのほうがいろいろと気が紛れていたから。
アルバイトが休みの日だった。
雨足が強くなり始めたから学校からの帰り道を急いでいた。
もうすぐ家に着くというとき、ふと視界に見慣れないものが写った。
何かと思いきや1つのダンボール箱。
おそるおそる近付いてみると、中から物音がする。
(今朝まではこんなのなかったはずなのに…)
そぉっと開けてみると…そこには寒くて凍えてしまったのか、震える一匹の黒猫。
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