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    plntanightlunch

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    plntanightlunch

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    パーソナルトレーナーのリョとGリーグでバスケしてる沢。
    中身は全部適当です。海外AVみたいなノリで読んでください。
    メリークリスマス!

    たべさせて?からりとよく晴れた12月、午前十時半、ジムの入り口で待っていたのは冬なのにハーフパンツをはいた男だった。いや、確かに東京の冬にしては今年はずいぶん暖かい。でも、だからって……足を冷やしたくない沢北栄治にしてみれば、うらやましさ半分、夜寒そうが半分。男は立ち止まったエージを見上げて、「サワキタさん?」と尋ねた。
    「そーっす、ミヤギさん?」
    「ええ、どうも。今日はよろしくお願いします」
    自然に出された右手を握る。誰かの手を握ったときにいつだって感じるちっさ……って感じは珍しくなくて、その新鮮さにおおっ?となった。背は小さいけど、手は結構でかい、バスケに向いてるななんてどうでもいいことを考えたせいで微妙に手を握っている時間が長くなっていたのかもしれない。からかうような視線に気づき、慌てて手を離す。
    「ここまで、迷いませんでした?」
    「え?」
    「あ、なんか普段アメリカにいらっしゃるって聞いたんで」
    「あー、はい。でもタクシーで来たんで大丈夫っす」
    「そっか。それなら迷うわけないか」
    いかにも営業ですっていう笑顔で男は笑う。こっちももうすっかり慣れた、よそ向きの笑顔を見せた。
    「じゃ、入りましょうか」
    男はカードキーをポケットから出してひらひらと振ると、顎をくい、と上げた。クリスマス秒読み、年末も迫った忙しい師走の街はどこか気ぜわしいはずだが、ここはそんな空気とは無縁だ。東京の冬特有の青い空、朝の澄んだ空気、都心だけどこのあたりは緑も多いから、鳥の鳴き声もしている。つまりはどこにも「そんな要素」はなかったはずなのに、そのしぐさにちょっと夜の匂いがしちゃったのは、男の笑顔がどこか色っぽく見えるせいか、それともエージが邪な考えを持っているせいか。
    「このあたりはね、午前中のこの時間が結構穴場で。大使館勤めとか金持ちビジネスマンが結構多いんだけど、そんな人は朝早いうちか夜仕事を終えてからしかジムに来ないし、そうじゃないサービス業の人たちが始動し出すのは主に午後でね。そうするとちょうどこの時間、ほとんど人がいなくなるんですよ」
    エレベーターのボタンを押して沢北を招き入れながら宮城は言った。なるほど、と相槌を打ちながら、自分より一回り小さい背中を眺める。
    「ついでにね、自転車こぎながら神宮の森が見えるんです。二人占めできるといいんだけど、どうかな~?」
    「それは楽しみ」
    エレベーターの扉が開く。先に入ってドアに手を添えた宮城が言う。
    「都心は息が詰まるって思うタイプっすか?」
    「いや、そんなわけでもないけど……でも」
    「同じ体動かすなら、気持ちよく動かしたいですよね?」
    「うん、それ」
    「あとは、貸し切りジムってめちゃくちゃ贅沢」
    短い会話から、沢北は探ろうとする。この人、俺のこと知ってるんだろうか。いや、きっと知らないよな。縁遠そうな人にしてって頼んだのは自分だ。

    アメリカのGリーグでプレーしています、と言ったところで、よほどのバスケ好きでなければ沢北のことを知る人は少ないだろう。昔に比べれば日本におけるバスケの人気も上がっているけれど、それでもサッカーや野球に比べれば大したことはない。ついでに世の中スポーツが好きじゃない人は思った以上に多く、化粧品の広告塔になって街中に顔が出ていいるわけでもないとくれば、認知度なんてたかがしれたものだ。街を歩いていたって、ちょっと規格外に大きい人いるね、くらいで終わる。
    今に見とけよ、NBA選手になって、大勢に顔を売ってやるからな。そんな思いを胸に、日々を過ごしている。だから本来ならこの時期にこんなところにいるはずではないのだが。
    今シーズンは幸先がいいと思っていた。出場機会ももらえ、短い出場時間を重ねながら、それなりにいい結果を出してきた。これはいけそうだ。そう思った矢先に足を痛めた。
    出場できてもパフォーマンスが悪ければすぐに交代となる厳しい世界だ。ロースターから外れたのは正直ものすごく痛い。しばらくチームにも帯同しない。手術になるような怪我でなかったのは不幸中の幸いだが、全治一か月と診断された。温存してリハビリ、そんな方針が決まった。来週からは軽いトレーニングで調整して様子を見るかという矢先、今度は母が調子を崩したという連絡があった。帰国するほどではない、と言われたが、ちょうどいいと思って帰国を決めた。自分が動きを制限されていてチームにも帯同できないとき、誰かのプレーを、美しいスリーやら、素早いドリブル、華麗なスティールに、技ありレイアップー―を見ているのは精神衛生上あまりよくない。幸いファミリーを大切にする文化は日本以上のアメリカだ。母親のために帰国したいと言ったら、ヘッドコーチ以下みんなからのお見舞いの言葉で送り出された。帰国したその足で会いに行った母は話に聞いていたとおり元気そうで、大事に至ることもなくしばらくすれば退院するという。
    シーズン中の帰国ということもあり、好んで誰かに会いに行くつもりもなければ、もちろんバスケの試合からもできるだけ遠ざかりたい。時間を持て余すことになるのは目に見えていたので、日本のエージェントに連絡して、パーソナルトレーナーをつけてもらうことにしていた。そこには少しばかり条件をつけた。同世代、バスケに興味がなさそうな人。できたら一緒に暇つぶしてくれそうな人。まあ最後の条件は冗談交じり。気が合えばいい時間を過ごせるけど、気が合わなければしょうがない。十日ほどの付き合いだし。
    そうしてエージェントが見つけてきてくれたのが宮城リョータくん。沢北と同じ年だという。オンラインでしか話してないけどいい感じ、というのはエージェントの言葉。彼もアメリカにいたらしいから気が合うんじゃないかな。それからメッセージのやり取りは数回。――気が合うかどうかはわかんないけど、ちょっと好みのタイプではあるね。頭の中で言ってみる。身長差がちょうどいい感じ。一回り小さいのって抱き込みやすい。バックハグをしたときに顎を肩に乗せてしっくりくる身長差だ。勝気な横顔もいいし、なによりスタミナありそうだよね……ってここまで考えるのはさすがに会って間もない人に失礼か。でもしょうがない、と沢北は思う。バスケという自分の世界の90%以上を占めるものから遠ざかって十日、あえて自分の世界からバスケを追い出し、頭を休ませ、ついでに体も否応なしに休息。普段は考えない思考が頭の中に流れ込んでくるし、何より体力が有り余っている。そんな余り余った体力とか、余計な思考は新たなストレスにならないうちに発散するに限るよね。そして手っ取り早く発散する方法っつったらセックスだよね。出すもん出したら体はすっきりするし、頭も冴えわたる。あーなんか考えたらちょっとむらっとしてきたな。若いんだからしょうがないよね?条件にもうひとつ付け加えるべきだったかもしれない。性的嗜好が同性にも向く人。そうなら、確実にベッドまで引っ張って行ける自信はある。ねー宮城くん、パーカーのフードで隠れたうなじを覗き込むようにしながら心の中で問いかける。俺の十日間のバケーションに付き合ってくれたりしない?ベッド込みでさ。絶対に後悔させないよ。

    エレベーターは間もなく音もなく開き、宮城は持っていたカードキーを再び通してジムの扉を開ける。それほど広くはないが、ひととおりのマシンは揃っているように見える。そして……視界には人の影はない。ほらね、というみたいに眉が上がった。
    「貸し切りみたいですね」
    「ラッキーだね」
    ゆっくり人の目を気にせず体を動かせる。そうして人の目を気にせず宮城くんのこと口説けるってことだもんね。特に考えるべきことのなかった頭に一度浮かんだ思考は簡単に消え去ることはなくて、消すべきことでもない気がした。勝負事は大好きだ。絶対に勝ちたいし、そのために戦術を組み立てるのも好き。となれば、今日やるべきことはもう決まったようなものだ。貸し切りのジムからして幸先がいい。世界に味方されてる感じする。怪我の功名ってこういうことをいうんじゃない? 一時間でベッドに誘うことができるかチャレンジ、よーい、ドン!

    完全フリーでやってんの?それともどこかと契約してる?パーソナルトレーナーになってどのくらい?なろうって思ったきっかけは?今まで当たったことがある一番変なお客ってどんな人?ロッカールームに荷物を預けながら、思いついた質問を投げかけていく。宮城くんはぽんぽんと調子よくその質問に答えながら、パーカーを脱いだ。特定のスポーツに特化した筋肉というよりは美しく見せるための筋肉という感じもあって、そこら辺がトレーナーっぽい。よくわかんないけど。
    「なんか、人気ありそー」
    なんとなく口をついて出た一言に、宮城くんが振り返る。
    「へ?」
    「人気あるでしょ? さわやかイケメンで、人当たりもよくて。ちがう?トレーニング終わった後でよく声かけられない?このあと一緒にお食事いかがですか、いい店知ってんですよ、から始まってあわよくばベッドまで?とかさ」
    それとなく言葉巧みに誘導なんて回り道はしない。ストレートに問うと、宮城くんがにやりと笑った。
    「気になる?」
    そう来るか。もちろんここで照れるような男じゃないだろうとは思ってたけどね。
    「どーでしょう?」
    「どっちでもいいけど、沢北さんほど好きにつまみ食いできるほどモテるわけじゃないです」
    さらりとそうやってかわしてくる感じが自分以上に慣れてるって感じする、と沢北は思う。
    「じゃ俺が宮城くんに一緒にお食事いかがですかって言ったら、ついてきてくれるの?」
    冗談半分、本気半分(まあ、そんなに簡単にいくとは思わないし、いったらつまらない)の問いかけには、ふはっと気が抜けたような笑い声が返ってきた。それがちょっと子供っぽくて予想外だった。もしかしてこっちが素?
    「トレーニング終わるころには俺のことたぶん嫌いになってますよ。鬼トレーナーって言われてるんで」
    ちょっと唇を尖らせた宮城くんのどこに「鬼」の素質があるのかわからなかったが、まあ、それはそれで面白いよね。人間っていろんな面を見られたほうが楽しいじゃん。
    「へー、ますます楽しみだね」

    更衣室を出て、宮城くんはモバイルを操作しながら事前のリクエストと今日のトレーニングメニューを確認していく。
    「右足の状態今どんな感じです?引きずってないように見えたけど、普段歩くのに痛みはなくなりました?違和感は?」
    大丈夫だけど、ジャンプは少し不安かな。今日のメニューはそれほど足首に負荷がかかるようなものはないので大丈夫だと思う、君が鬼じゃなければの話だけど。さっきの話、忘れてないからねって気持ちも込めてそんなことを言ってみる。
    「さー、どうでしょうねえ。沢北さんならついてこられるんじゃないかな」
    カウンセリングが終われば、軽くストレッチ。
    「沢北さん、すっごいいい筋肉ですね。この肩、見とれる」
    少しかすれた声で宮城くんが呟く。そのまま見とれてくれてもいいんだけど、肩より胸がセクシーでいいよ。あとで触らせてあげるチャンスがあるといいんだけど。
    「さ、始めましょうか」

    トレーニングを始めてみれば、なるほど、鬼、というわけではないが、とてもテンポがいいなという印象。だらだらする時間とか無駄な時間はあまりなくて、それがつらい人にはつらいかもしれない。事前によく話し合っていたせいもあるが、宮城くんが立てたメニューは適切で、負荷もちょうどよく、治りつつある足は大切にしつつ、しかし上半身にはきちんと負荷をかけていく。故障者リストに入るときはいつでもそうなのだが、焦りが勝り、とかく自分を追い込みがちになる。こんなときは近くに誰かがいて、きちんとトレーニングをコントロールしてもらえることでそれが抑制できるのはありがたい。
    ――そう、いいですね。その調子。沢北さん、毎日トレーニングしてる感じですよね。体の動かしかたもよくわかってるし……っていうか本当に俺必要ですかね?あ、そこ、もう少しキープしてみましょうか、そうです。
    声掛けに答えながら体を動かすと、トレーニングで眠っていた筋肉が目覚めていくのがわかる。その感覚が気持ちよくて、いつの間にか邪な思考もどこかへ行ってしまっていた。しばらくの間は。
    「呼吸忘れないで。そう、いーち、にー」
    ベンチプレスでちょうど上を見上げたとき、それが目に入った。少しくたびれたTシャツの襟元からまっすぐ浮き上がった鎖骨がのぞいていて、その少し上の小さなほくろ。沢北は知れず唾を飲みこんだ。
    ――めっちゃえろいな。
    ひかえめなほくろ、普段は見えないところにつつましやかに、それでもしっかりと存在を主張しているそれは、一度目に入ってしまえば、目が離せない。触ってって言ってるようなもんじゃん。いや、舐めて、かな。舐めて吸って、この小さな黒い点の周りに赤い花を咲かせたい。そうしたらどんな顔をするだろう。
    勝気で飄々とした美人が好きなのは、そのつんとした表情がぐずぐずにとけるところが見たいから。美しい弧を描いた眉が歪み、尖った視線が涙で潤い、きゅっと上がった口角が震え、いつもとは180度違った顔を見せるのが最高にいい。そうさせているのは自分だというプライドもくすぐられる。相手はプライドなんて忘れたみたいにすがってくる。ねえ、お願い、ちょうだい、って――。
    たぶん、目の前の宮城くんもそーいうタイプじゃないかな。勝気に光る瞳は勝負心をくすぐるよね。口だって達者だし、お前には負けないよって感じを醸し出してる。だけど、見た目によらず快楽には弱いんじゃないかな? 希望も存分に含まれてはいるけど、だけど当たらずしも遠からず、じゃない?
    そうだな、どうしたら喜ぶタイプか当ててみようか。優しいのよりは痛いくらいのほうがいいんじゃない?フェザータッチは物足りないタイプでしょ?乳首は舐められるよりちょっと力入れてつねられるくらいのほうが好み、噛まれるのも好みじゃない? お尻叩いてヨガるなら、俺としてはうれしい限りだけど。声出さないように耐えた唇の端からこらえきれない息が漏れるのもいいな。あと、思いっきり焦らされて泣く顔も見てみたい。ほしいところに刺激がもらえなくて、涙をこらえた潤んだ瞳でちょうだいってお願いされちゃったら、ハートを射抜かれちゃうね。潤んでいるのはもちろん瞳だけじゃなくてさ。ペニスもきっと触られなくてもぐじゅぐじゅに濡れて涙ひっきりなしに流すんだろうね。あー、えろい。そんなことを考え始めたら緩んだらしい表情を宮城くんは見逃さなかった。
    「はい、集中」
    早速声がかかる。いや、ごめん、もう集中とか無理かもしれません。
    「なに? なんか楽しいこと思い出しでもしました?」
    宮城くんが笑いながら問う。このままの体勢でいればかわいいほくろを見てられるかなと思ったが、宮城くんはすぐ姿勢を正したので、宝石はTシャツに隠れてしまった。
    「いやあ、こっから見上げる眺めがよくて」
    「へえ? そっから窓の外見えます?」
    片方の眉をちょっと上げるだけのしぐさは、今の、考えようによっては直截的ともとれる会話を完全に理解しながら面白がっていると確信した。ちらりと時計に目をやる。それに気づいた宮城くんがしれっと返す。
    「メニューはひととおりこなしましたね」
    「そうだね」
    「あとはストレッチして終わりです。ストレッチエリア移動しましょうか。あっちは眺めがいいかどうかわかんないけど」
    視線が絡み合い、別れる。眺めはいいに決まってるよね、っていうのは胸の内にしまって、宮城くんのあとについて歩き出す。
    うなじを眺めながら、思わず呼びかける。
    「ねえ……」
    「なんだっけ? このあと一緒に食事でもいかがですか? 俺いい店知ってんですよ? だっけ?」
    さっき軽く言った言葉をそのまま返される。あー、もうそんなひねりのないことは言わないってば。言いかけたところで宮城くんが振り返る。振り返ったその顔が完全に笑っていて、そこで悟った。――なんだ遠慮いらないじゃん。だから、手を伸ばした。宮城くんは逃げなかった。耳に触れた。やっぱり逃げなかった。耳から頬へ。それでも逃げはしなかった。
    「いい店は知らないんだけどさ……」
    ――寝心地のいいベッドは提供できるよ。もちろん そんな野暮なことは言わない。それに目の前にいかにもおいしそうなものがあるのに、それを食べないで話を続けるなんてのも失礼だよね。だから、迷わず自分の唇をそのおいしそうなものに近づけた。それでどうだったかって? 存分に味わったよ、舐めて、吸って、絡めて、擦って、甘噛みした。予想に違わず、いや、予想以上にすてきだった。甘くてちょっとスパイシー。間違いない、きっとほかのところはもっとおいしいはず。唇がやっと離れたときは、二人で大きく息を吐いた。お互いの吐息が頬にかかる距離のまま、しばらく見つめ合う。
    「めちゃくちゃおいしそうだなってずっと思ってたんだよ」
    「運動すると腹がへるからね」
    「そうそう、もうおなかぺこぺこで」
    宮城くんがこっちを見上げながらふはっと笑う。
    「ほんとだってば、おなかすいたから、宮城くんのこと、たべさせて」
    耳元にそうお願いを吹き込んだ。最後に耳を舐めるのも忘れない。
    「へー、食べたいんだ、どうやって? 頭からがぶっと?」
    こちらを見上げる瞳は挑戦的に光っている。そんなこと言って煽って大丈夫? いや、もちろんそれもベッドの上のスパイスになるけどね。
    「どうかな……」
    それはベッドの上でのご相談? だけど次の瞬間、宮城くんにTシャツの襟首をつかまれている。ちなみにさ……ぐっと近づきゼロ距離になった宮城くんが背伸びをして、俺の首元に顔をうずめる。かわいい、じゃなくて――。
    かぶり。
    そんな音がするくらい肩に思いっきり歯を立てられた。
    「俺は食うならこっからって決めてる」
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