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    棚ca

    @CRtanaaaca

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    棚ca

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    シコシコとエロ小説を書く傍らで筆休めに書いたものすごくラフな雑文。仕上げる予定はないです

    #鯉月
    Koito/Tsukishima

    閑話休題 月島が鯉登の部屋に入ると、鯉登は眉間に深い皺を刻んでいた。

    「何かお困りですか」
    「ああ、官能小説を読んで脳内で月島に置き換えているんだが」
    「……」
    「……? 官能小説を読んで脳内で月島に置き換えているんだが」
    「いえ、はい、聞き取れてますよ、絶句してしまっただけで」
    「すまんな、お前にしか相談できなくて」
    「そうですね」

    ---とりあえず、まぁ、話を聞きましょう---

     鯉登はしけた顔でパラパラと冊子を捲っている。本人いわく、野暮な友人将校が一方的に譲ってきたらしい。ソイツは旗手になるとかで、納得のいかないような、いくような。

    「それでなんだ、まぁこれに限らず世に出回っている官能小説というのは圧倒的に男女の営みだろう? 脳内で月島に置き換えようにもなぁ、滑らかで柔い肌だの、濡れたカラスの色した髪だの、丸いくるぶしだの……違うな、って」
    「違いますね」
    「稀にある男同士のものはもっとしんどい。女役が必ず美青年で私が犯されている気分になる」
    「さぞ気苦労がありましょう」
    「あっ、でもこの台詞はいいな、置き換えられる。『ご主人様に抱かれること他考えられませぬ』」
    「言ったことありませんけど」

    ---言っても構わんのだぞ、月島ぁ?---

    「と、いうより下手に私に置き換えようとせずにそのまま楽しまれればよろしいのでは?」
    「え、月島は嫌じゃないのか」
    「私? 何故です」
    「お前の男が自分以外の人間に性欲を向けるんだぞ」

     月島はその感覚が心底分からず、首をひねってしまった。

    「……私のことなどお気になさる必要はありません。ことさら自涜については空想じゃないですか」
    「は? お前は自涜のとき私以外に想いを馳せるのか?」
    「いえ私は刺激だけでいけますので」

     嘘であった。かなり色々使っていた。この時の疑惑から月島は鯉登の前でオナニーを強いられるのだが、それはまた別のお話。

    ---ンッ、も、ぅいいでしょう……? ッハア、これ以上、無理です。貴方に抱かれることの他、考えられません……---

    「あとは私をお呼びになれば良いのでは? 時間が少なくとも手か口かで対応させていただきます」
    「それこそ! おいが嫌じゃ!」

     鯉登は声を荒らげて立ち上がる。

    「お前を性欲処理のように呼ぶなんて……『私を大切にし過ぎです』だなんて言ってくれるなよ。私がお前をそう扱いたくないんだ」
    「鯉登少尉殿……」

     月島は鯉登を見上げて、じっと視線を送った。そして、そっと近寄って囁く。

    「今のお言葉は効きました。体が貴方を求めてしまうほどに」
    「月島……」
    「ですので今後はご自身でされずに気兼ねなく私をお呼びください。サクッと抜いて差し上げますので」
    「おい!!」

     憤る鯉登だったが、僅かに笑みを浮かべた月島はさらに耳元へと近寄った。

    「今すぐ貴方に抱かれたいと思ったのは本当です」

     では、と踵を返して部屋を立ち去る月島を鯉登は固まったまま見送る。そしてハァと大きな溜息をついた。

    「おい……」

     そう独りごちて、部下の次の非番がいつだったか、考えるのであった。
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    suzumi_cuke

    DONE20230116まだ添い遂げると思ってない鯉月。金塊争奪戦後最初の冬くらい、事後。


    軍曹は軍人であるうちは右腕となって助けようと決めてたけどまさかその後も一生右腕するとは思ってなかったので、この時点では好きになりすぎないように…とセーブしてたんじゃないかという妄想。望んだ春は来なかったがもっとウルトラハッピーな春が来る。書いてる途中で「DEPARTURE○だな…」と思ってしまった。
    望んだ春は来ない 耳を澄ますと、雪の降る音が聞こえた。雨のようにはっきりとではないが、雪にも音がある。さらさらと、屋根を、前栽を、粉雪が払いながら落ちる音だ。月島は足を止めて、音のするほうへ首を巡らせた。
     外はもう夜の帳が下りていて、ガラス障子を隔てて縁側から望む月島には庭の様子が朧げにしかわからない。雪明かりがでこぼこと庭木の不安定な輪郭を形作っている。
    「月島ぁ」
     眠たそうな鯉登の呼び声が、縁側を挟んで庭の反対側、まだ明るい部屋のほうから聞こえてきた。
    「はい」
     つい立ち止まってぼんやりしていた月島は声の方へ足を向けた。ミシ、と雪音を掻き消す無骨な音が響いた。

     寒風が入らないよう、明障子を細く開けて、隙間から月島は身体をさっと滑り込ませた。
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