Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    subaccount3210

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 46

    subaccount3210

    ☆quiet follow

    https://poipiku.com/8254300/9992248.htmlの続きに描いていただいた漫画の続き。
    ハッピーエンドですがえっちなシーンとかっこいいおじさんはいません。

    ##K暁

    KKは何とか足を動かして崩れ落ちた暁人の身体を受け止める。目に映るのは酷い惨状の下半身とぐちゃぐちゃの顔。耳に響くのは見ないでという力なき願い。
    (全部オレがやった)
    全身の血流が激しく移動しているようで視界が明滅する。手足が痺れ喉が渇く感覚。耳元で己の心臓がうるさいくらいに鳴っている。空気が十分あるはずなのに息が苦しい。
    激しい混乱と後悔に処理能力が限界を超えて痛む頭の中では数分前までの自分の言動と先程の暁人の痴態が繰り返し再生される。暁人のそういう姿を想像したことは何度もある。けれどもこんな、あまりにも一方的なものではなかった。
    (考えるのは後だ)
    まずは暁人を何とかしなくては。
    ジャケットを脱いで下半身をくるみワイヤーで緩く縛る。
    「少しばかり我慢してくれよ……」
    自分に触れられるのも嫌だろうが、他の人間に見られるのはもっと嫌だろう。
    これ以上体液が溢れ落ちないよう尻が上になるように肩に担ぎ上げて部屋を出る。
    早く掻き出した方がいいがここはエーテルが使えないしいつまで安全かわからない。
    今度こそ悪霊を祓った雑居ビルに戻ってKKは大きな息を吐き出した。霊視しても何も出てこない。
    しかしこの辺りは歓楽街から遠く、この状態の暁人を連れてグラップルは使えない。
    幸か不幸かKKの家が近い。少し遠回りになるが詳しいKKなら人を避け裏道を通って行ける。
    「選択肢はないか」
    今更嫌われる理由が一つ増えたところで絶縁されることに変わりはない。せめてKK自身がこれ以上後悔することが少ないように行動するだけだ。
    KKはいつになく慎重に歩きだした。

    勝手知ったる我が家のゴミを蹴散らしながら浴室に暁人を運び込んだKKはまず凛子に連絡を取り、無事に依頼は達成したがアクシデントがあり後処理のため細かな報告は明日にすると伝えた。それから暁人の介抱に移る。泥酔者の介抱は前職柄慣れている。KKとしては他人の口に手を突っ込んで嘔吐させるより暁人のアナルに指を入れて己の精液を掻き出す方がまだマシだ。男とは悲しい生き物で指に伝わる温かさや柔らかさ、時折漏れる暁人の声に不要な火が点きそうになる。それを振り払って綺麗になった暁人になるべく新品の服を着せて布団に寝かせ、自分の服も洗濯機に突っ込み身綺麗にする。冷蔵庫にある総菜とレンチンするだけの白米を持って布団を覗いても暁人は眠ったままだった。
    霊障は見られず、単に心身ともに疲弊しているだけだ。KKにできることは肉体を奪おうとする悪霊が来ないように見守ることだけ。
    KKも疲れているが眠れるわけもなく、かといっていつ暁人が目覚めるかわからないのにアルコールを摂取できるわけもなく悶々と時間を過ごすのだった。

    結局暁人が目覚めたのは日が昇りきった頃だった。
    起き上がった暁人を見て色々とシミュレーションしたのに一言目が出ないKKを見、自分の状態を見、一言。
    「お腹空いた」
    「……オマエな」
    思わず呆れた声が出てしまう。
    暁人は食事でも回復するタイプなので言いたいことはわかる。が、状況が状況だし元々つまみしか常備されていないKKの冷蔵庫はただのビールセラーと化している。
    とりあえず予想通り喉を傷めているので水を与える。
    グラス一杯飲み干すのを確認してKKはその場で土下座をした。
    「悪かった」
    「えっ、ちょ……いきなり何!?」
    慌てふためく暁人に今の状況が理解できるかと問うと赤くなり眉を下げたので覚えてないわけではないらしい。
    二杯目の水を用意してから少しずつ話を聞き出すと、用事も夕食も風呂も済ませて家でくつろい寝かけていたところ気が付けば壁に挟まれた状態で、エーテルも使えないし何故かタクティカルジャケットを着ているのでこれは今でもわずかに魂が繋がっているらしいいKKに引き寄せられた、つまりは怪異に巻き込まれたのだろうと判断して抜け出す方法を模索していたところKKが入ってきたと言う。
    KKと暁人で体感時間がまるで違うのはそのまま部屋ごとで流れる時間が違ったのだろう。時計が動かなかったことからも部屋を出た時にほとんど時間が経っていなかったことからも間違いなさそうだ。
    「……その後はKKも見てただろ」
    「ああ、全部オレのせいだ。 通報するなり訴訟するなり好きにしてくれ」
    再び床に額を擦りつける。妻子に渡したので今のKKには大した貯蓄はないが元々欲のない暁人の要望を全て叶えたとしても足りない。
    「……まずは何があったか説明しろよ。 今の状況だとKKを怒ることも許すこともできない」
    「だが……」
    思わず顔を上げて暁人の様子を伺う。冷静に戻った暁人は真剣な表情でKKを睨みつけた。
    「言いたくないなら言うことが罰だよ」
    暁人の言うことも尤もだ。申し開きをして減刑を求めようとは思わないが事実を知ることは当然の権利である。
    KKは当初伝えた通り悪霊を祓ったこと、色情霊の不意打ちを食らったこと、変な部屋に転送されて色情霊を祓ったこと、『壁の尻に中出ししないと出られない部屋』という文面と壁から生えた下半身のこと、それを幻か人形だと思って好き勝手したこと、満足して部屋を出たら暁人がいたことをなるべく己の感情を抜いて話した。
    暁人は黙って聞き、最後に水を飲むとため息をついた。
    「ならKKも被害者だろ」
    「オマエに対しては加害者だろうが! 似てると思ってたのに、ここにいるはずないと思い込んでた。 気付いてれば別の方法……奥まで突っ込まねえとかできた。 そもそもあの色情霊の口ぶりだと、オマエが呼ばれたのだってオレのせいだぞ!」
    「……あのさ」
    必死に己を責めるKKは暁人の頬が再び赤くなっていることにも声が震えていることにも気付いていない。
    「さっきからKKの話を聞いてると『僕がす、好きで凄いえ…っちなことしちゃった』って言ってるように思えるんだけど」
    正しくその通りなのでKKは黙った。
    伝えるつもりもなかったのにこんな風に伝わってしまうとは昨日までは想像もしていなかった。あの色情霊を引き戻してボコボコにして祓い直したい。祟り屋に言えば何とかできないだろうか。いや、絶対に祟り屋にこの話はしたくない。KKは拳を握り締めた。
    案の定暁人は顔を手で覆い呻き声を漏らした。
    暁人の気持ちはわかる。KKも以前は完全な異性愛者で、昭和の人間なので同性愛に理解があるとは言い難く、口汚く罵ったりはしないが息子がそうなら勘当していただろうし己が告白されたとしたら全否定していただろう。
    しかし暁人の口からこぼれたのは
    「僕も相棒としてKKを看取るので満足だったのに」
    という謎の将来予想図だった。
    「は?」
    年の差や喫煙歴を考えれば当然死ぬのはKKが先だろうが、何故今その話が出てくるのか。
    「確かにあんなのは二度とゴメンだよ。 でも僕が今思ってるのは『KKが相手で良かった』ってこと。 ……意味わかる?」
    喉から意味のない音が漏れる。己も水分を摂るべきだった。
    「それは……」
    『オレが好き』の五文字を口に出せない。果たして現在進行形でいいのか疑問と不安が残る。だってあんなに酷いことをしたのに。あれだけの欲望が己の中にあってそれを発散できることが今さらKKは怖くなっていた。エーテルで初めてマレビトを倒した後のように。
    「わかってるなら今度やり直してね。 僕は麻里みたいな乙女思考はないけど、さすがにあんな初めては嫌だ」
    「今度ってオマエ……嫌じゃねえのか?」
    相棒または師と思っていた相手にモノのように扱われ欲をぶつけられたのに。
    更には男なのに男のモノを本来違う用途の場所に捻じ込まれて快感を覚えさせられて強制的に絶頂させられた。
    トラウマにならないほうがおかしい。
    「だからアレは頭も体もメチャクチャになって死にそうだったから嫌だけど……KKこそ僕の身体嫌じゃなかった?」
    最高でしたとは言えるわけもなく。かといってあんな風にしておいて悪くなかったもあり得ない。
    黙っているKKに本当はさ、と暁人は苦笑いをした。
    「あの時、KKに助けに来てくれなかったのが一番辛かった」
    「それは……」
    「えっちなことされてる僕のことが気持ち悪いのかなって」
    「それは違う!」
    うん、と暁人はKKがしたんだもんねとはにかんだ。
    本気でKKを許すらしい。正気とは思えない。
    恐らく異常な状況にアドレナリンが過剰に分泌されて正常な判断ができなくなっているのだ。
    そう思っていてもKKはそれを口に出すことができない。
    こんなチャンスは二度とない。
    最低の考えを暁人の顔を見て殴り飛ばす。
    彼の前ではまだ誠実な自分でありたい。
    「あのな、暁人」
    「言っとくけど許すんじゃなくて責任を取れって言ってるんだからな! アンタのせいでその、お尻がまだ変な感じなんだぞ!」
    「オマエ……ソレ逆効果だぞ」
    無自覚に煽ってこられてKKは今までと別の意味で頭を抱える。
    昨日は下半身だけだったが全身ならキスもできるし咥えさせられるし男にしてはボリュームのある胸もどうこう。
    「あっ、でも今度は僕の自由にさせてよ!」
    「もう……好きにしてくれ」
    オレは朝飯を買ってくると言えば暁人は顔を輝かせて希望のメニューを複数あげてきたのでまずはすべて買い与えるところから暁人に看取られる人生を始めることに決めた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏👏👏👏👏☺☺☺💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖😍💒💖🍑🍑🍑🍑🍑🍑💖❤💖💖💖💖💖💖💖☺💗💗💗💗💗💗💗
    Let's send reactions!
    Replies from the creator