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    kanamisaniwa

    pixivメインに二次創作(刀剣乱舞、ツイステ、グラブル、FGO等)やってます。超雑食でオリキャラ大好き病を患う腐女子です。ポイピクにはかきかけだったりネタだけの文章を投げたいです。

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    kanamisaniwa

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    超演算機兄妹+組織&デアン

    「あ、あわない…」
    「なぜだ…」
    組織(というよりほぼイルザ隊と呼んだ方がただしい)の会計係の四人が頭を抱えて撃沈していた。
    時は四半期決算佳境、まさに真っ只中だった。
    かつて組織が大きくなりすぎ中にさらに膿を抱えていた頃に比べれば、人数が減り扱う金額も減額ぎみ(それはすなわち予算が削られたということでそれはそれで問題だが)だが、それでも会計決算というものは面倒なのだ。
    それでも過去を教訓に金の流れを明確にしようというイルザの号令に忠実に従う彼らは四半期ごとに決算に挑んでいたのだが…どういうことか今期にかぎって出納簿の借方と貸し方で一致しない。
    四人がかりでやれ請求書だ領収書だとひっくり返したがそれでもどうしてもあわないのだ。
    金額的には微々たるもので、使用不明金として計上しても問題ない、が、やはり過去の苦い経験から1ルピたりとも差額をだしたくないというのが、憧れのイルザ教官から新組織の財布をまかされた彼らの矜持だった。
    だったのだが、ここにきて揺らぎそうになって撃沈しているのである。

    「失礼します。先輩方、イルザ教官から差し入れっす」
    「ありがとうグウィン…休憩しましょう」
    「うおぉぉ、グウィン、イルザ教官ありがとうございます…チョコの甘味がしみる…」
    「ホットタオルが目にしみるうううう…」
    「……先輩達、大丈夫、じゃなさそうっすね」

    グウィンの気の毒そうな言葉に会計係四人は全員が同時に頷いた。

    「よければ、自分手伝いましょうか?実家で帳簿つけてたんで多少見れますよ」
    「え?まじ?……いやいや、お前今日非番だろ。甘えられん」
    「そうそう…これ食い終わったらまた頑張るし」
    「おのれ決算整理仕訳が憎い…!でも頑張る!」
    「そこが原因かどうかもわからんがな…ぜってー借方と貸方あわせてやる」

    四人は口々にいいつつ差し入れを噛み締める。会計は組織の中でも地味な裏方だが、無くてはならない部署でありそこをイルザに任された事務方の矜持である。
    グウィンはそんな先輩達を尊敬の目でみつつ、しかしげっそりした彼らをほうっておけず折衷案を出した。

    「それじゃ、先輩達が休憩してる間だけみますよ。主納簿これっすよね」
    「気を遣わせて悪いな、ほんといいから」
    「あった。ここ、借方が6で貸方が0になってます。手書きの領収書かなにかを誤読したんじゃないっすか?」
    「「「「は?????」」」」

    会計係四人はグウィンの言葉の意味を理解しそこねて変な声をあげた。
    グウィンは出納簿をぱらぱら捲って二分もしないうちに差額を見つけてしまったことになる。

    「ぐ、グウィン?お前いまどうやって??」
    「?どうやってもなにも、差額の原因探して普通に」
    「いや、いやいやいや!お前紙一枚に数秒しか見てなかったよな?!その数秒で把握したのか?!」
    「電卓すら叩いてないって、ことは計算は暗算で?!」
    「………あ、これやっぱ早いんですかね?家族に確かに助かるって誉められた程度のものっすけど」

    はやいどころじゃねぇよ、とその場の全員の喉からでかかったが、あまりの衝撃に会計係の四人は声も出ず……リーダーが帳簿を見返し「ホントに6と0の誤記入だ」と呟いてひっくり返ることになった。



    「え?帳簿?うーん、苦手なんだよなぁ…あ、でも凄く綺麗に纏まってるしこれなら。ここだね、6と0の誤記入だ」
    「ほら、やっぱり!元々綺麗にまとまってる帳簿だから流し見でわかるっすよイルザ教官!」
    「…2分12秒」
    「嘘でしょ…」
    「」



    **********


    「ねえ、デアン。これ何かわかるかい?ギアの内部に取り付けられてるパーツなんだけど、他のパーツと一切リンクしていないし、なんのために使うのかわからなくてさ」
    「む…かなり古いが、おそらく記録媒体だ」
    「記録媒体?こんな棒状のものが?ううん、月の技術は未だに把握しきれない…記録にしたってこれどうやって見るんだい?」
    「この規格では直接電脳に有線するしかない」
    「となると、僕は見れないな。デアン、悪いけど何が記録されているか確認してくれないかい?」
    「了解した」

    デアンは棒状のそれの一画を押すと、そこから出てきたコネクタを摘まんで引き出す。コードが伸びたコネクタをデアンは首の後ろの己のデバイスに繋いだ。

    「ーーー」
    「デアン?大丈夫かい?」
    「問題ない。アイザック、これは記録というよりも記憶といったほうが正しいようだ」
    「記憶…?えっ?!記憶?!!ご先祖様のかい?!」
    「容量から70年分と思われる。空の世界に来て以降の記憶をすべてコピーしてあるようだ」
    「なんだってそんなこと…いや、あぁ、そうか」
    「なんだ?」
    「うん…たぶん、それは御先祖様なりの日記なのかなって」
    「日記?空の民の日報のことか?」
    「日報…いや、報告書じゃないよ。私的な記録みたいなものさ。空の民は月の民のように情報を完璧に脳内で保存はできないからね。時間がたてばたつほど曖昧になるし。だから、書き記すことで記憶の補助をする、そう、私的なバックアップだと思ってくれ」
    「了解した。アイザック、この記録をお前が参照する必要はあるか?必要ならばカシウスに協力を依頼しデータを何らかの形で変換を」
    「いや!いやいやいや!必要ないよ!御先祖様とはいえ人様の日記を覗くなんて不躾すぎる!あ、きみはノーカンだよ!僕が頼んだ不可抗力だから!!」
    「?」
    「と、ともかく不要だから!…その記録媒体はギアの元のところにしまっておくよ」




    「ああぁ~、可愛いね可愛いね!グウィンはマルタにとてもよく似てるよ。アイザックはヨハネかな、いやルカにも似てるような。どちらにしても可愛いよ私の子供達!」


    「………で?月からの刺客はどこにいる」
    「ええっと、グウィンとアイザックの間にいる、かなー?」
    「あたしにはグウィンとアイザックにデレデレしてる若い男がいるようにしかみえないんだけど」
    「ーーー目視スキャンの結果、少なくともあの男は月の民だが」
    「いやうん、そうなんだよ、そうなんだけど!一応、大変だったんだよ?」


    団長曰く、その男は
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    kanamisaniwa

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    三ヶ月後。
    アズール先輩からの提案で参加を申請したアジーム家雇用希望者の選抜試験当日、私はジャミル先輩、エリムさん、そして面白がってついてきたフロイド先輩(本当は諸々ド素人の私を心配してついてきてくれたのをちゃんと知ってる)と一緒に熱砂の国にあるアジーム家所有の別荘の隣に設置された試験会場控えにいた。
    エリムさん曰く、アジーム家所有の不動産の中では中規模ながら市街から遠くて使い勝手が悪く最低限の手入れしかしていなかった別荘で、確かに選抜試験をするには丁度良い物件だとか。なんなら爆発させても大丈夫ですよ、と言ったエリムさんの顔はわりとまじだった。
    そしてその別荘の隣に建てられた仮設の集合場所兼待機場所で簡単な説明を受けた。といっても事前にアズール先輩が収集してくれていた情報と内容はほぼ同じで、あえて追記するなら試験会場である別荘のあちこちにライブカメラもとい監視カメラが設置されていて、その映像はリアルタイム公開されるので別荘内の様子はもとより他の参加者の様子を逐次確認できること、そして本当に魔法でもなんでも使用可、建物への損害も免責するから全力で目標を破壊してみろ、という言葉が説明担当からあったことくらい。
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    kanamisaniwa

    DONE第五回デアアイワンドロ参加作品呪文を唱えるように彼の名前を呟いた。
    空の民にとっては恐怖そのものだろう彼の名前を。
    「デアン…」
    彼は侵略者でありあまりにも強すぎる戦士であり、何より空の世界の敵だった。
    それゆえに空の民は全力で彼と戦い、倒したという。当初予定していなかった、ほとんど反則じみた武器ヤーマを使って、細胞レベルで分解することでやっと止められた、と。
    あまりにも強すぎる戦士だったと、封印武器の中でも特異なグロウノスと半融合しなお肉体と精神のコントロールを失わなかった空の民のなかでも極めて優れた戦士であるバザラガをしてそう言わしめた。
    それなのに、そんな彼の最期の言葉は、『これで、ようやく眠れそうだ…』と、そんならしくないものだったとも。
    「アドレナリンが過剰だから眠ることができなくなった、そんなことを月で言ってたっけね…まさか最期の言葉にするほど困っていたなんて…知らなかった、は卑怯だね。僕が、僕だけが、知ることができたはずなのにその努力を怠ったんだから。君は月であれだけ僕を気に掛けてくれたのに…僕はなにも返せないまま自分の事だけに精一杯であげく裏切って逃げ出して…はは、僕は本当にひどい奴だね」
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