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    DuzB1b

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    DuzB1b

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    世界はそれを愛と呼ぶんだぜな轟出
    大幅加筆修正(多分今後も加筆修正していく所存)

    『親愛なる僕の友へ。
    お元気ですか?
    卒業してからの君のご活躍を目にする機会は多いのですが、それでも聞いてしまうのは
    君が自分が元気であるのかないのかを顧みてほしいな、と思うからです。
    君は自分の事に無頓着な所があるように見受けられるので、どうか元気でいてくださいという僕の勝手な願いだと思ってもらえたら嬉しいです。

    さておき

    この手紙が君の手に渡る頃には、もしくは君が受け取りを拒否した頃には僕はもう、この世界のどこにも居ないのだと思います。
    なので、この手紙を受け取って欲しい気持ち半分、受け取り拒否をしてほしい気持ち半分です。
    己のうちに反対の性質が隠れているというものは、これほどまでに飲み込めないものだと言うことを改めて知り、君は性質が反対である個性をその身に宿しつつも、直向きでいたということに改めて畏敬の念を感じます。

    ああ、また脱線してしまいました。本題に戻りますと君が僕の手紙などどうでもいいと、扱ってくれればくれるほどに僕は安心します。しかしながら僕の知っている君はそ人の好意を、たとえそれがどんなものであれ無碍にするような人じゃないとも知っているので。
    君はカッコよすぎませんか?同じ男としては少々悔しい気持ちもあります。
    そりゃあ、そんなカッコいい君がそばにいたら、どうしたって君に惹かれずにはいられませんでしたから。
    そうです
    僕は君が好きでした
    いえ、好きでした、ではなく今現在ですらとてもとても好きなのです。

    そんなことを言えば、君は「俺もだ」と言ってくれるのを知っています。
    だって僕たちは友達だから。

    けれど
    申し訳ありませんが
    この気持ちは友達としての好きではないのです。
    独占欲も、触れたいと思う欲もないような、君の幸せを一緒に喜べるような
    そんな好きだったらどれほどよかったでしょうかと思わなくもないほどに
    僕の好きは独占欲も、触れたいという欲も、君と幸せになりたいという欲も内包しているものです。
    いうなれば

    恋をしています。


    君に




    友情を裏切られた、とどうか思ってください



    でも

    君の幸せだけは願わせてください
    どうか、いっぱい食べて、できれば蕎麦以外もだよ。
    そして沢山寝て、起きて、ヒーローになって

    心より愛せる誰かを大切に愛して、大切に愛されて

    そうして幸せになってください
    どうか


    最後の最期に君にこんな手紙を出すほどの、なにもできない木偶の坊より」

    ***********

    (右手、熱い)
    今日の検査ではなぜか手が熱くなるのか、なんて不思議に思いつつ目を横に向ければ
    ベッドサイドのパイプ椅子に腰掛けながら握った僕の手に、祈るように額を押し付けつつ寝ている紅白頭

    「ふぁ!???」

    そのあまりの衝撃的な光景から脳地直送の驚きが口をつけば、轟君はその声に反応したのだろう「ん・・・」と色っぽい声を一つこぼした一瞬後にはガバリと起き上がり、そのまま僕の両手首を掴んではベッドに押し付ける、所謂押し倒されたわけですが。
    (さすが轟君!)
    多分僕が声を出すまでは寝ていたのだろうから、そこから多少(多少とは何か、を考えてはいけない)の声で意識と身体を即覚醒させては、その場面にあったベストな戦法をとれるなんて本当にナチュラルにヒーローが過ぎるのに感動すら覚えつ・・・つ
    ん?
    ベスト?
    僕を拘束するのがベストだと彼が思った・・・っていうの???
    え?でも、彼が判断を誤ることなんて、きっと、無い
    ということは轟君は僕を拘束しなければならない理由があるって事で、え?なんで??
    僕は、確かに君から逃げる、という事は出来るけれど(多分)
    だけれど僕が君から逃げる理由はないのに?

    「相変わらずだな緑谷」
    「えっと、ご無沙汰してます。えっととりあえず僕の上からはどいてもらっていいかな?」
    「駄目」
    「駄目ってなんで?」
    「だって、逃げようとすんだろ?」
    「逃げ?え?なんで」

    なんでってと嘯きながら轟君がベッド横のチェストに目を向けたから、同じように視線を移す
    白いチェスト上にある
    白地に緑色の透かしが入った封筒が見えて
    「ファ―――――――!?」
    「ミの音だな」
    「いや・・・音階の話じゃないから!!ってか、え?ソレ誰から??」
    「オールマイトからに決まってんだろ??」
    「いやそうだけど!そうなんだろうけど!?それしかないんだけれど!」
    「そう、の三段活用か」
    「国語の勉強でもないんだよなーー!え?てか・・なんで??なんで..Nande」

    その手紙は僕の死後、轟君に渡してほしいとオールマイトに託していた一通の手紙
    白地に緑の透かし模様が入った封筒に「あ、コレ僕っぽいな」って選んだものだから
    間違いなくあの手紙なんだろうけれど。
    (オールマイトオォォォォォォォォォォォオオ)
    いや、そうだよね。そうなるよね。
    「お節介はヒーローのサガ」って言っていたオールマイトだからね!
    そうですよね。あなたはそういう人でした。きっと彼は僕の最善を考えてくれた行動だと分かってる
    分かってるけれど
    (死後に渡すことができる手紙を生前に渡すなんて、夜中に書いた手紙以上に特級の呪物じゃないか!!)
    分かっているからこそ飲み込めないソレに思わず悲鳴のように片言になれば

    「てんぱり過ぎて言葉がローマ字になってんぞ」
    「メタ的発言はやめてね。えっと...一つお尋ねしますが。未読という可能性は?」
    「なんで敬語になってんだ?。ってか俺が読まないという選択肢はあると思うのか?」


    轟君はことりと不思議そうに首を傾げる
    そうだよね、君が読まないと筈が無いよね
    分かってる
    全く読まないと言う選択肢すらなかったんだろうね
    素直な彼が、僕という友達から送られた手紙(しかもオールマイト経由だ)を読んでないと言う可能性が全く見当たらないよ。ここになければありませんだよ!!あれよ!!
    いやまぁ、そういったことを無碍にしない君だからこそ、好きになっちゃったんだけどさぁ。

    そして思い至るのは手紙の内容
    夜中のテンションで書いた遺書(仮)なんて特級呪物と変わらない
    勿論、手紙に書いたことに嘘は一つもないけれど
    それでも僕が居なくなった後で、君が少しでも僕の事で泣かなければいいなんて思って綴ったものなんだ

    それでも今、手紙を読んだ君は僕の前にいる
    前にいる、というかマウンティングしているんだけれど

    (じゃあ、なんで?)
    「なん・・・で?」

    腹の中がねじり切れそうに痛いし、血の気なんて引きすぎてカタカタと震えそうになるのを叱咤して、真意を問えば射抜くような瞳

    「なんで来たのか分からねえ?」
    「えっと・・・君は実直だから、「俺たちいつまでも友達でいよう」って言いに来てくれたでファイナルアンサーなんだけど」
    「はぁ~~~~~~~~~~~~~」
    「え?・・・もしや」
    「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」
    「もしかして、せいか
    「違げぇ」

    僕を拘束しながらも僕の顔の横のベッドにボスリと顔を埋めた彼は本家ばりに貯めに貯めた溜息をつきながら不正解だと言った
    ちなみに耳の横で溜息つかれると君の声が僕の耳にダイレクトアタックすぎて攻撃力が高すぎるんだけれど

    此処にいるのは君が好きな男なんだよ!
    男は狼なんだよ!
    まぁ、何もできないし、というかすでに君を押し倒す体力すら僕にはないんだよ!畜生!・・・まぁ君に無いかをしようななんて思わないけれど。


    「ち・・・違うの?あと溜息長すぎだし、顔は怖いよ」
    「違う。全く違う。あと溜息がなげえのはお前の回答にイラっとしたからだ。顔はみれてねぇだろ。」
    「顔見なくても、君の声でどんな顔しているのかは大体想像つくんだって。絶対怖い顔してる。いうなれば中期ロキ君程度に」
    「中期ってどこらへんだよ?。体育祭後にはお前に懐きまくってたろ?。俺が一番に駆け付ける程度には」
    「そうだっけ?」
    「忘れてんじゃねえよ。たく、お前は俺の事が好きなんだろ?」

    ふわりとどこまでも嬉しそうに突き付けられた言葉にヒュっと喉に息が詰まった

    「ご・・・めん」

    「ン?なんで謝ってんだ?」
    「だって」
    だって

    「君は『友達』、っておもってくれているんだろうし、それに」
    さあっと血の気が引いた
    どっちにしろ
    ―どうか僕の恋慕を喜ばないで―

    「ごめ
    「違う」
    拘束を解こうと足を動かせば、轟君の両足で絡めとられ
    「ごめんなさい」
    「違うってんだろ」
    腕を動かそうとするならば、指一本すら動かせないようにと片手で掌から拘束されて
    「ごめ
    「謝んな!」

    ギシギシとなるベッドが、落ち着くころには
    全身で抱きしめられる形になっていて
    だから
    謝ることしかできなくて
    (それでも泣くことはしない。絶対に)

    「ごめん
    「違う。そうじゃねえ。・・・ちがう。お前の其れが『恋』で俺は嬉しい。
    嬉しかったんだ。
    あの手紙もらって、すぐに読んで、で、嬉しくて、嬉しすぎて、でも、お前は俺が『友情』だと思っているって気づいて、だから会いたくて、俺も好きだって言いたくてここに来た」

    密着したからだから鼓動の音がする

    「オールマイトは『衝動じゃなくて、よく考えなさい』って言われた。けど
    でも、少しでも早く、お前に会いたかったんだ。俺も一緒だ、好きだって言いたかったし、お前意外じゃダメだって、言わなきゃいけねぇって思った」

    好きだよ
    大好きだよ
    俺の方がずっとと囁く声が鼓膜を震わせる

    ―ああ、失敗をした―
    そう思った
    ―両想いを、素直に嬉しいと喜べたらどれほど良かったろう―とも



    だから
    もっと謝らなきゃ

    だって

    「ごめん」
    「緑谷?」

    いぶかしそうな硬い声
    そりゃあそうだよね。君は両想いだと思ってくれてしまったんだもん



    ごめんなさい
    僕は見誤っていたんだ
    君は君の中にある僕への気持ちは一片のゆるぎないほどに『友情』だと定義付けているということに。

    だからあの手紙を書いた



    君の僕に向ける心は友情という認識を強固なモノにしてもらいたかった

    だって
    僕は君が僕の事をどう思っているのかなんて分からないほど愚かにはなれなかった
    きっと僕がいなくなったら君は泣くんだ。泣いて泣いて、そして君の中にあったものが恋慕だと気づいてしまうのが何よりも怖かった


    僕が君に手紙を書いた意味は、ラブレターだけど破れた、なんだよもっというなら、破られてほしかったんだ
    あの手紙はね、最初に書いた通り、受け取って欲しいけれど、受け取って欲しくなかったんだ


    仲の良い友達、であれば一緒に過ごした日々は綺麗な思いでになれると思うんだ
    でも恋人として、一番近くに受け入れた他人を君に喪わせたくはなかった

    お節介だと思うよ
    僕が居なくなった後の君を、勝手に僕が心配するんだもの
    だけれど

    僕の本質はお節介だったのになぁ

    結局は、ネタばらしをしなければならないんだ
    自業自得だけど
    泣く事なんておこがましいほどの自業自得だけれど

    「あの手紙のね、いつかは、いつかの話じゃないんだ」

    「OFAの継承者は短命なモノが多かったんだけれど。無個性な僕なら継承してもそれほど寿命に影響はない筈・・・だった」

    だったは過去形
    君の喉が引きついて、言葉を飲み込んだのが分かった
    個性の制御が揺らいで、空気が凍る音がした

    (ごめんね)

    「だけど、急ごしらえをした僕という器では、支えきれなくなったんだよ」
    急ごしらえの器
    必死になって作ったそれに力を注ぐ。
    最初のうちはまだいい、けれど注がれた力を利用すればするほどに器は欠片ずつ削れていく。
    そして決められた期限

    「もって、10数年だと思う」


    シン、と静まり返る部屋は耳が痛くなるほどの静寂

    「ごめんね」
    「謝るんじゃねえよ」

    「でもさぁ」
    「でもも、へったくれもねぇよ」

    「そっか」
    「そうだ」

    すっと拘束が少しだけ緩んだから、僕の頭の横にある、ベッドにうつ伏せになったままの君の髪の毛を撫でる
    さらさら
    さらさら

    「なぁ、緑谷」
    「なぁに」

    ズッと鼻をすする音、泣かせちゃってごめんねと思いつつ
    呼ばれた名前に返事を返せば

    「俺と結婚してくれ」と彼は言った
    「は?」
    「指輪はおいおい用意するとして、」
    「ひ?」
    「まずは婚姻届けだな。ああ、その前にご両親にご挨拶の方が先か・・・これは緑谷から連ら「ちょっと待って!え?何!!?」
    「うちの親父の事なら心配いらねえぞ?」
    むしろ最近じゃあ、あの親父とプラス母さんが緑谷を未だに嫁にできてねぇ俺に対して『軟弱者―――――――!』やら『奥手が過ぎるのはよくないわよ』なんて言ってくるからな。
    「結婚式も挙げよう。白無垢はきっとお前に似合う」
    姉さんが言っていたけれど結婚衣装は「あなた色に染めてください」らしいから
    紅白の白無垢なんてお前が俺のだって一目見てわかるのがいい。

    「いい」じゃない
    なんかめちゃめちゃ納得したように言ってるけど
    いやいやちがうちがうそうじゃない
    確かに両想いだよ。
    両想いだけど

    「10数年って期限が決まってるんだけど」
    「余計に早くした方がいいな。顔合わせは明日でいいか?」

    「ちょっ、最速の称号は君のモノじゃないだろ?!。えっと君をいやすことができるような柔らかい身体じゃないし、きっとどんどん弱っていく姿をみるようになるんだよ?」
    「最速の称号なんていらねえって、早くお前が欲しいだけだ。あと別に柔らかい身体で癒されるってわけじゃねえだろ?てかお前の存在に癒されるぞ、俺は。後は、なぁ、お前が弱っていくのになんにも出来ねえほうが嫌だ」

    「それに僕は君に何も残せない・よ」
    愛されて、介護をされて、大事にしてくれる愛しい君に、後世に残るもの一つ残せない。唯一残るとしたら君の戸籍の×だけだよ、なんていえば


    君はうつぶせた身体を起こして僕の両頬をその両手で包みながら

    「聞きしに勝るナンセンスだな。残るに決まってんだろ?結婚したら一緒に住んで、笑ったり泣いたり怒ったりして、そんな日々が、その後の俺の一生に残って、俺を生かすよ」

    どんな敵にあたったとしても、死んでたまるかって思うぞ。

    さらりと頭を撫でられて
    拘束されたと思っていた身体は実際のところ抱きしめられていたのだと気づけば
    もうダメだった


    目の前が涙で滲む
    泣いたら駄目だ、と思う事は嘘じゃない
    泣いたら受け入れることになるって必死で止める心も嘘じゃない
    だけど

    「変わらんねぇな。その責任が涙を流させねえ所」

    しょうがないと、君が苦笑しながら
    僕の涙が浮かんだ目じりを薄い唇が這う

    「だから、どうかいま、泣いて」

    **********:

    やっとかぁと思ったのが一番だった
    あの青春時代からお互いがお互いを大事に思っていたのをやきもきとしてみていたから。
    だから
    結婚式の招待状が届いたときには本当に嬉しかったし
    式だけの案内に、披露宴は書いてなかったから
    忙しいのかな?とは思いつつもそれでもお祝いはしたくて、二人を抜かしたクラスラインでサプライズ二次会の予定を立てつつ(ちなみにクラスラインの流れの速さと激しさは、筆舌としがたく)

    そして迎えた式当日

    余りに綺麗すぎて絶句したのだ

    真っ白い白無垢に、襟と袂から見える深紅の襦袢。ふわりとかぶせられた綿帽子
    着物というのは普通は体形が分からぬように裡に何枚もタオルを巻きつけるのを成人式を経験した私は知っている
    知っているのだ

    だから

    紋付き袴の轟君にふわりと抱き上げられたデク君の襟から見える細い首や、袖から露出する細い手首、それだけで彼が今どんな状況なのかを分かってしまう

    うん
    だって私だってヒーローだから
    経験で分かってしまう



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