半陰陽もありじゃないのかな・・・なんて・・・
私の腕の中で長い脚を小さく小さくたたんでは眠る子の、さらりと目元までを隠す髪を片手で掻き上げれば青白い顔色ではあるものの、穏やかな寝顔の子。
「まったく」
前世にひっぱられたのか、それとも力を行使した所為なのかは定かではない今、分かっているのは
晴明君が男でもありながら女でもあるということ。
「痛いのを隠さないでくれるようになるのはいつなんでしょうね?」
一か月のうちでもコロコロ変わるホルモンバランスに体調は引っ張られる。否応なしに。貧血やら腹痛、頭痛に食欲不振、それに私が気づいていないだけの不調。
「俺は気は短けぇつってんのになぁ」
それでも
『あの。えっと。お手数じゃなければ、ぎゅってしてもらってもいいですか?』
書生服の袂をぎゅっと握りながら不安げに、けれども初めて彼が私にワガママを言ってくれたから。
『お手数なわけないでしょう。ほら。こっちにおいでなさい』
腕の中に毛布と一緒に抱き込んで、その下腹に手を当てながら『嫌ではないですか?』と聞けば『暖かくて、嬉しいです』と眠気が来たであろう彼は笑うから
『眠いなら寝てしまいなさい。ずっとこうしてますから』
『僕。今日すごく贅沢してますね』
『贅沢ですか?こんなのが?』
『贅沢ですよ』
なんて。宝物のように笑ったから。
うう~ん。と腕の中で大切な生き物が零す寝言ごと
「まぁ、今はまだ、これで許していてやるよ」
そういって口の端を少しだけ舐めた。