「隊長さんと学園長って仲がいいですよね」
晴明君の寮の部屋。
今日も今日とてお邪魔して。
うん?不法侵入じゃないよ。僕は正真正銘、晴明君の彼氏だし。合鍵だってもらってるもん。
閑話休題
こたつでぬくぬくしながら他愛のない会話。
この子には僕とあっちゃんが仲が良くみえるらしい。
ん~~~~~~~(↑)ん~~~~~~(↓)
そりゃぁ約1000年の付き合いだから、仲が悪いって事はないけど。
仲が良い、悪いというよりもお互いの癖が分かっているだけだし
なんなら、今は仲が悪いんだと思うけどなぁ?。
いい加減僕と晴明君の交際を認めればいいのに保護者面して「うちの可愛い職員に手をだしやがって」なんて言うんだもん。あ、思い出したらイラっとしてきたのそのままに「そうかな?」と疑問を呈せば。
「仲良しだと、思いますよ?」
と仲良しを肯定されるし。
え~~~~。なんか癪。
「ちなみに、どんなところが?」
「え?・・お互いに結構扱いが雑ですよね?」
「そりゃあ、1000年の付き合いがある相手に気なんか今さら使ってられないって。君
だってあのカマイタチの子と酒呑童子の子には結構雑じゃん」
それこそたまにあのカマイタチの子と酒呑童子の子と仲良すぎて、ちょっとだけもやっとしたものを感じてしまう程度には。まぁ、大人だから態度には出さないけどさ!。
「たしかに、そうですね。」
「でしょ?」
「あ、でも」
「ほかに何かある?」
「飲酒量とかも把握してるんだな、って」
「あ~~~~。あれね。」
何回言ってもベロベロに酔っては絡み酒を発揮するあっちゃんなんだけど
前だったら介抱してやっても良かったんだけどさぁ、今は晴明君がいるじゃん?
晴明君に絡み酒なんて発揮させたくないもん!
僕の晴明君に絡むあっちゃん絶許という心で、あっちゃんの酒量をセーブさせているだけであって。彼が一人で飲んでるんだったらほっておくよ?
まぁ、酒量は分かってるといえば言えるんだけど。
「あれは絡み酒されるのが面倒だから適当なところで切り上げさせているだけだよ?」
「は~~~!すごいですね!」
「僕、えらい?」
「隊長さんは偉いです!」
とりあえずちょっとだけぼかして晴明君に伝えれば、彼の善性によって、僕があっちゃんを助けていることになったらしく。キラキラした目で褒めてくれるし。うん優しいのは君なんだけどなぁ。まぁ君がキラキラした目で賞賛してくれるのはありがたくうけとっておくけど。
「だからさ、あっちゃんと僕は仲良しっていうかビジパだからね?」
「はぁ~」
ビジパって大人の響きですね~なんてほわほわ言いながら
「あ、でも」
「ん?ほかに何かある?」
「・・・・ちょっとだけ。愛称っていいな、って思います」
えへへ、なんて真っ赤な顔を隠すようにお茶を飲む君。めちゃめちゃ可愛い。
僕の愛する人が可愛すぎると胸をキュンキュンさせながらも、冷静な部分では
なるほど。君が言いたかったのはそこだよね?と思った。
愛称、愛称ね。愛する君を称するんだよね?
僕としては君を「はるあきくん」って呼ぶのは好きだけど
君から「隊長さん」って呼ばれるよりは「蘭丸さん」って呼ばれた方が嬉しい。
にやり、とこの機を逃す手はない、と思った僕は。
だから間違えてしまったのだろうけれど。
「だったら呼び方変えちゃう?せー」
いや馬鹿だろう僕!!!!!
馬鹿すぎる。
なんでせーちゃんだよ?セーラー大好き晴明くん、って言うのが頭の中にログインしちゃったのも悪かったし。なんなら「せー」で止めっちゃった分、どうやったって
「せいめい」を連想させちゃうじゃん!
心の中で絶叫をしつつ顔をあげれば
「そ、の名前は嫌ですね」
ふにゃりと眉をハの字にして笑う子。いっそ怒ってくれたら開き直れるのに。
いっそ泣いてくれたら抱きしめられるのに。
しょうがない、なんて君は笑うから。
(頭がいい癖にそんな不器用なところも、僕が君をどうしようもなく好きなんだけれど)
ぎゅっと膝の上で握りしめた晴明君の両手を取って、硬くなったソレをほぐすように両手で緩やかに包む。
「ごめんね。本当に「せいめい」に間違えたわけじゃなくて」
「はい」
「ちょっとだけ「セーラー大好き晴明君」って言いたかったら途中で噛んじゃって」
「はい」
「だけど、だからごめんね」
握りしめた指が柔らかく解けて、包んでいた僕の掌の中指をそっと握って君は泣きそうに笑って
「だったら、隊長さんのあだ名は「晴明だいすき隊長さん」ではーちゃんでもいいですか?」なんて笑うから
ごめんねって想いと愛しさと哀しさと優しさとそういうものが溢れて
視界が歪んだ