中華BLっぽいもの 幼い唇から思わず感嘆の吐息が零れた。
神仙がこの世に顕現するなら、きっとこんな姿をしているだろう。
清水に咲く清廉な蓮の様なその少年は、真冬の冴えた空気の中で白い指を真っ赤にしながら泥だらけの衣を必死で洗っていた。雪の様に白い頬にも泥が飛んでいる事と先程までの喧騒とを鑑みるに、彼はあの騒動に関わっていたのかもしれない。
洗っている衣はこの洞山で支給される道衣だ。真っ白な道衣は黒い泥で汚れていて、彼はその泥を落とそうとしているらしい。
黎雪花(レイシュエホワ)には関わるな。
垣間見ていた少年はそんな話をふと思い出す。
それは由緒正しい道門である黎氏に入った者達の間で密かに囁かれる話だった。
古くからある道士の修行場として姚淵山黎氏は非常に有名だ。厳しい修行に励み、やがて仙道に至る為に研鑽を積む若者達が集まる修練場を設け、広く門徒を集めている。
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