総アラ総の赤ちゃんに転生した俺 俺はごく普通の社会人……だった。
仕事で上司から理不尽な目に遭い、帰宅途中にトラックにひかれて死んだはずだった。
だが、目を覚ますとそこは褐色美女の腕の中だった。天国か。
「お、起こしちまったか」
いや、どうやら状況から察するに、この褐色美女の赤ちゃんに転生したようだ。最高。
「オギャーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
俺は喜びのあまり、泣き出した。
「おーおー元気だな。ウンコか?」
俺のケツは今美しい。ウンコではないんだママ。喜びなんだ。
「オギャアアアアアアアアアアア!!!!アアアアアアアアア!!!」
しかし本当に喜びだけなのだろうか。
抑えられない叫泣衝動。
俺は気付いた。気が狂う程の空腹に。
「……オムツは汚れてねぇな。じゃあ腹減ったか」
すげぇ、流石俺のママじゃん。俺を知りつくしている。
俺は前世からの洞察力の良さにより、俺はまだ歯も生えていないような赤ちゃんだという事を察する。
つまり、俺を待ち受けている運命は褐色巨乳美女からの授乳という事になる。前世で徳を積んでいてよかった。
褐色美女は乳房を包んでいる布(ブラジャーともいう)をずらし、俺に美味の突起を見せる……わけではなく、キッチンと思われる方へ向かった。何故。
褐色美女は缶とおしゃぶり……というか、哺乳瓶の吸う部分みたいなパーツを取り出した。缶を開けて哺乳瓶の先っぽいのを取り付ける。な、なんだそれは……
まて、聞いたことがある。これは……液体ミルクというやつではないか。
分量調節し調理して温度も冷まさなければならない粉ミルクとは違い、調理済みでかつ常温で乳首型のアタッチメントをセットすればすぐに赤ちゃんにミルクをあげられて、おでかけ先でも授乳室を探さなくてもいいしお湯を持ち歩かずにすむ、あの優れモノって噂の液体ミルク!?
察するにかなり昔っぽい時代に転生している気がするが、液体ミルクは存在しているのか……あるいは、未来の技術を使える者がこの世界にいる可能性もある(憶測)。
「ホラ、口あけろ」
褐色美女は母親のほほえみを浮かべながら俺の口元に透明な乳首を近づける。
俺は本能からその透明乳首にしゃぶりついた。抗えねえよ。赤ちゃんとしての性がよ。
貪欲かつ強欲にミルクを飲んでいく俺を満足そうに見つめる褐色美女。
しかし、俺はその豊満で形の良い乳房から母乳を頂きたかった……。
でも、ママが文明の利器を扱うという事は俺の将来は明るい。俺はポジティブベイビー。
褐色美女が腹いっぱい液体ミルクを頂いた俺をげっぷさせていると、家に誰かが入ってきた。
「ただいま~」
そいつはヘアバンドをした男だった。
誰だ貴様は。俺とママとの時間を邪魔する奴め。
「おー、おかえり。アラジン」
アラジンというのかこの男は。
「あぁいん、あうあうぁううううああああああ」
「なんだ、お前もパパにおかえり言ってくれたのか?」
何ィ……!お前がパパか……エディプスコンプレックスを抱いてしまった……!
「あ、モルジの姉御が言ってた店のカレー買ってきましたよ。俺のはこっちで、総長はこっちです」
総長というのは俺のママ、褐色美女の事だろうか。総長って事はヤンキー……ヤンママってやつか?
あれ、ヤンママってヤンキー+ママ? ヤング+ママ?
どっちにしろ若そうだけど。
てか名前で呼べよ。夫婦なんじゃねえのか。
「ところで総長……話があるんですが」
「結婚はしねぇぞ」
何!?結婚してないんだ!?
でもそういうのってあるよね!愛とか家庭の形って様々だもんね!
俺のママ、人妻じゃないんだ!?興奮する!あウソ!ママに興奮してません!ウェヒヒヒ!
「いや、結婚もできたらしたいですけど……この前のカチコミで俺、結構成果あげてたじゃないですか」
「はぁ、褒美がほしいってか」
「そ、そうです」
「何がほしいって?」
「その……総長の母乳を飲んでみたいです……!」
は?
俺ですら液体ミルクだぞ。お前も液体ミルク飲ませてもらえ。
「……ったく、仕方ねぇな」
そこから俺が見た光景は、パパと称したアラジンという男がママである総長の乳房にしゃぶりつき白濁の液体を飲んでいる場面だ。
俺ですら摂取していないママの母乳を、アラジンという男は見せつけてはいないが赤子である俺の目の前ですすっておったのだ。
これを怒りと言わずなんというのだろうか。
ママの母乳をNTRされた俺は、ふと思った。母乳というのは母が子に与える乳だから母乳であって、男が女からもらう乳はなんというのだろう。どうでもいいな。
その後、アラジンとママはカレー食って風呂入って普通に寝た。結婚してないけど一緒に暮らしてるっぽいな。まあいろいろあるよね。
ところでパパの名はアラジンと分かったけど、肝心のママの名前が分かってないんだよね。