祝祭 #2潔世一と紬が二人で話していた同じ空のとある日の昼下がり、30を過ぎても現役のサッカー選手としてフランスに在籍している糸師凛はある事のせいで、劣化の如く憤怒していた。まぁ、凛に限ってはいつでも怒っているようなものなのだが、今日はその比ではないほど腹の虫が治らず、先ほどからずっとタタラを踏んで貧乏ゆすりを繰り返している。
その時の機嫌は一瞬にして豪雨になりそうだったが、そんな凛の態度を嘲笑うように、いつも影っているフランスの空は青く染まっていた。太陽の光がチュールのように青い空を装飾している様はまるで”あいつ”がサッカーで凛のことを見ている時のようで更に腹が立ち、青い空を閉じ込めた窓の前にいる兄に舌打ちをうつ。
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