祝祭#3と言っても、そうそううまくはいかないのが現実というものである。
紬と家族になるという約束をしてから、いつの間にか時間は過ぎ去り、初秋の優しい風が流れていた今でさえ、話は平行線を引いていた。もうこの時期になってくると、暑さすら散漫としていて、秋の穂が豊作だと言わんばかりにその秋の風を攫っているというのに、いまだにあのうざったい湿気がまとわり付いてくるように、夏から何も進展していない。潔はため息をつきながら、大きい大通りにある秋特有の木枯らしとイチョウの葉のカーペットを擦る。今日も何も足を踏み出せなかった話し合いに、木枯らしの絨毯に足を絡め取られるようで、段々と足が重くなった。潔の周りには秋特有の木枯らしのように、様々な親と小さい子達の色のついた幸せが吹いて捲れていて、少しばかり羨ましくその情景を流していく。きゃっきゃと高い声が耳を踊る中、潔は薄く笑うとまた足を進めていった。
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