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    せしる

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    せしる

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    ちょうど去年の今頃、原稿用に書いていたらしいお話があった模様でそれを読み直していたら『あれ?ちょっと続き書いてみてもいいんじゃない?』って思えた話がコチラ。
    本当はまだもう少し続きがあるんですけどとりあえずそっと投げてみる(*^^*)

    #快新
    fastNew
    #大学生
    collegeStudents

    快斗は背中に大の大人を背負って夜の街を歩いていた。
    「おーい。くどーさーん」
    「はぁい」
    「いいお返事ありがとうございます。で、そろそろ教えてもらえませんか?くどーさんのお部屋」
    「まだだめでーす」
    ご機嫌な様子で答えてくるその返答にどうしてこんなことになったのだろうか、と快斗はため息をついた。

    今夜は大学の友達に誘われて飲み会に参加していた。よくある合コンみたいなものではなく男同士の飲み会。別に合コンでも参加していたのだろうけれど、友人曰く『おまえが合コンに参加すると女子がみんなおまえに群がるから呼ばない』とのことらしく、華のある場で飲む方が同じ店の酒でも何倍も美味しく感じるのになぁ~と思いつつ踏み入れたその場には女子も霞むほどの『華』が存在していた。
    「工藤新一?」
    「黒羽は工藤がいる時にはたいてい参加してなかったからな」
    「え?あぁ……」
    同じ大学にいることはわかっていたし、一方的にその存在に視線を奪われていたこともあった存在。お互い、仮の姿の時には遠慮なくやり合ってたりもしたけれどそれももう懐かしさを感じるほどの年月が経っている。気にならないのか?と言ったら気になりすぎて仕方がない存在だけどなかなか近づけなかった存在だったから今まで新一のそばに近づかないようにしていたのだ。そんな存在が合流した快斗とその友人に視線を向ければ
    「おっせーぞ!早く来いよ」
    とご丁寧に手招きをしてきた。その視線はまっすぐ快斗へと向かっていて自分の隣の席をポンポンと叩いている。
    「お?工藤はお前のことなんかご指名みたいだな」
    「ものめずらしいんだろ?」
    今まで飲み会で一緒になることもなかったし、と誘われるまま新一の隣に腰を下ろせば新一は快斗にしか伝わらないほどの小さな声で
    「待ってたぜ」
    とだけ以前やり合っていた時と同じ探偵の雰囲気を一瞬纏って囁いた。
    「え?」
    快斗は思わずマジマジと新一を見たけれどもうそこには大学生な新一の姿しかなくてさっきのは……?と思いつつも始まった飲み会に意識を向けていった。

    飲み会が始まってから、あのほんの一瞬の出来事以外、特に目立った絡みはなく、たまに
    「おい。次、何飲む?」
    などとグラスが空くと聞いてくるくらいの会話くらいで快斗の気持ちを複雑に絡ませていく。
    そしてそのまま終わった飲み会。帰ろうとしたところ腕にもたれかかってくる感覚があって視線を向ければそこにはご機嫌な様子の新一の寝顔があった。
    「えっと……工藤?」
    「ん~」
    「もう帰りたいんだけど」
    「俺も帰りてぇな」
    「だったら早く帰ればいいだろ」
    「なんだよ、さみしーこと言いやがって」
    そんな快斗と新一のやり取りを見ていた友人が
    「あ~。久しぶりに工藤のソレ始まったか」
    と苦笑いを浮かべる。
    「ソレって?」
    「たまになんだけど隣に座ったヤツに妙に甘えるヤツだよ」
    「え?」
    今までもこんなことを他のオトコにしていた?自分は嫉妬する立場にないというのに無防備にすり寄ってくる新一に無性に腹が立った。
    「ま、でもすぐ離れて帰るんだけどな」
    「へぇ……それじゃ置いていっても平気だな」
    快斗がそう告げた途端、新一が快斗の腕にぎゅっと抱きついてきたのだ。
    「なに、これ?」
    「次のステップだよ」
    「意味わかんないんだけど」
    「工藤は最終的にそうやって腕に抱きついて王子様を探してるんだ」
    「は?王子様?」
    「そう。でも今までは『違う』ってすぐ離れてたんだけど」
    「みつけた」
    腕にすりすりと頬を寄せながら微笑んでいる新一がいる。
    「そっか。工藤の王子様は黒羽だったのか」
    「……おい、全然話が見えてこねぇんだけど」
    「だから工藤には何だかずっと探してるやつがいてそれが黒羽だったってことなんじゃね?」
    「わっけわかんねぇ」
    「工藤じゃないから俺にだってわかるわけないじゃん。ま、でもこのままココに置いていけないだろ?とりあえず店出ようぜ?」
    「出ようぜって言ったって……」
    「黒羽が王子様なんだ。何とかしてくれよな」
    飲み会に参加していた面々は翌日が休みということもあり新一を快斗に任せて次の店に移動するべく店をどうするか相談しはじめ2人はすっかり置いてけぼりだ。
    「まったくなんなの?この人」
    惑わされてばかりでいったい何がしたいのかもわからない。でも店に迷惑をかけるわけにはいかないので新一を背負って店を出ればすっかり行き先が決まった様子の仲間は薄情にも次の店へと向かってしまって今に至る、というわけだ。

    「あのですね、俺もそろそろ終電なくなるし早く工藤のこと送り届けて帰りたいんだけど」
    「だったらウチに泊まってけ。部屋ならいっぱいあるぞ~?」
    「あれ?工藤って一人暮らしじゃなかった?そんなデカいとこ住んでんのかよ」
    「あ……間違えた。黒羽が知ってる方の家には今住んでなかった」
    「俺が知ってる方、って……なにそれ?」
    快斗は新一がキッドの正体に気付いていてカマをかけているのかと思ったけれどすぐに返事が来ることはなくまた寝入ってしまいそうになっているあたり、正体はバレているのだろうけれどただ単にぽろりとこぼれ出た言葉なんだろうと思い少し下がってきてしまった身体をよいしょ、ともう一度しっかり背負い直す。
    「それにしても軽いなぁ~。名探偵は」
    あの最後の邂逅以来声にしなかった彼にしか投げかけなかった呼び方がするりと口からこぼれ出る。そう、飲み会が始まる時に言っていた『待ってたぜ』にもどんな意味があったのだろうか?と思い出しつつ快斗は歩を進めていった。
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    せしる

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    快斗は背中に大の大人を背負って夜の街を歩いていた。
    「おーい。くどーさーん」
    「はぁい」
    「いいお返事ありがとうございます。で、そろそろ教えてもらえませんか?くどーさんのお部屋」
    「まだだめでーす」
    ご機嫌な様子で答えてくるその返答にどうしてこんなことになったのだろうか、と快斗はため息をついた。

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    「工藤新一?」
    「黒羽は工藤がいる時にはたいてい参加してなかったからな」
    「え?あぁ……」
    同じ大学にいることはわかっていたし、一方的にその存在に視線を奪われていたこともあった存在。お互い、仮の姿の時には遠慮なくやり合ってたりもしたけれどそれももう懐かしさを感じるほどの年月が経っている。気にならないのか?と言ったら気になりすぎて仕方 2287

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