求める(仮) まだ、なんだか頭が痛い気がするけど、さっきよりはマシかな。それより、話さないといけないことがあるね。だからまず目を覚まさないと。
撫でてくれる手がきもちいい、でも指輪あたってるよ、悪い日和。
「う、ん、ん」
「目ぇ覚めたか、気分はどうだ」
心配げにのぞき込む顔は
「燐音先輩、ここはどこ、なんで、ここにいるの」
「コズプロのプレイルームだ、たまたまビル内にいた暇なDomってことで副所長に頼まれた。一応同じ事務所で同室だしな」
あれ、でも確かパートナーがいたような気がするね。
「HiMERU も了承済みだ、ここが落ち着いたらケアをすることで待ってもらってる、ネックレスを預けてあるから少しはもつっしょ」
先輩が長くHiMERU くんと離れる時にする行動。首輪なんてあからさまなものはつけられないから、普段はブレスレットが首輪がわりって。
とっておきの首輪を設定しておくことで、忙しくなってもお互いに落ち着けるって言ってた。
「早く帰ってあげて、僕は大丈夫。時間は大したことないけどそちらにとっては大変なことでしょ、僕なら嫌だ」
「だろうな、そんな気持ちがなければ今日のこれはなかっただろうから」
指輪避けてたのが伝わったのか、何もない手でずっと撫でてくれている。もっとして、もう優しくしないで。愛して、でも僕への愛はない。
「まだ心配だけどこれ以上はさすがに、逆効果だな。ごめんな、一応寝ている間に抑制剤と安定剤を飲んでる、後で医者が様子見に来るって、何かあればホールハンズでP機関に連絡しろとさ」
じゃあな、ひらひらと手を振って出て行った、1人残されるとやっぱり不安になるけど、今は誰のplayも受け入れられそうにない。
だから、いっそ、眠ってしまおう、深く。
「メルメルお待たせ、いい子にしてたか」
ドアのすぐ外、俺っちの優しいパートナーは待っていた。形のいい唇を噛み締めて。
「HiMERU はいつでも完璧なのです」
そういう割にネックレスのトップを握りしめて、指先が真っ白。
「ほら、力を抜いて、そうそうゆっくり。いい子だ」
グーパーを繰り返して傷や動かしにくさがないかを確認してやる。
「ここでplayを始めないで欲しいのですが」
「わかってる、いつもの部屋を押さえてもらってるから、この手をつないで行こうな」
「HiMERU は公衆の面前でそんなことっ」
「いいんだ、俺っちがしたいんだから付き合って」
「っしょうがないですね」
「サンキュ、愛してるぜ」