警部補と僕の秘密先輩達と朝まで飲み明かした。
HLPDには配属されて早一年、まだまだ未熟者だけど、この街の治安をずっと護る警察官の一人として微力ながら日々頑張っている。
この街で一年間生き延びた記念として、先輩方がパーティーを開いてくれたのだ。
翌日は非番だからと調子に乗って飲みすぎてしまった事を悔やみながら、痛む頭を抱えて自宅アパートに向かっていた。
ふと気がつくと、いつからそこにいたのか数メートル先に直属の上司であるダニエル・ロウ警部補の姿があった。
昨夜のパーティーは協力関係にある組織との交渉があるからと行けないと残念そうにしていたが、残念なのは僕も同じである。
上司として警察官として人として憧れている警部補にこそ、僕はパーティーに来てほしかったのだ。
「ん?」
信じられないものを見た。
二日酔いがもたらした幻想かと思ったほど、信じられないものを僕は見ている。
警部補の背中に、白くて大きな美しい翼が生えているのだ。
まるで、天使のような。
幻想か、それとも僕の頭が変になってしまったのか。
何度目をこすって見てみても、背中の翼が消える事はない。
(マジか!)
思わぬ事実に呆然としていると、いつの間に僕に気が付いていたのか警部補がくるりと振り返り、唇に人差し指を当ててニヤリと笑った。
(内緒だぞ)
口パクでそう言っているのが分かる。
首を大きく縦に振って、僕はそれに答えた。
こんな素敵な秘密を誰が口外するものか。
HLの平和と警部補の秘密を護る為に力を尽くそうと、僕は固く心に決めた。