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    岩藤美流

    @vialif13

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    岩藤美流

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    アズイデワンライお題「福袋、ウィンターホリデー」

    2人でゴロゴロしているだけの話。たっっっっぷりが本題のような気もしないでもないです。

    ##ワンライ

    「はぁ~~~~ッ、アズール氏、何も言わずに拙者のタブレットをタッチするだけの簡単なお仕事しない?」
     薄暗いイデアの部屋。ベッドの上では、イデアのタブレットが煌々と彼の顔を照らし出している。何を見ているのかは大体わかっているので、隣に寝転んでスマホを眺めていたアズールは、生返事で「対価は?」と返した。
    「はい、また対価~。そんな対価対価要求しないでくださる? 我々一応、恋人同士なんですぞ?」
    「そうですね。僕がオフの貴重な部屋デートの機会を、ソーシャルゲームに費やすような恋人のいる関係です」
    「あっ、なに、もしかして怒ってらっしゃる!? ちがくて! これはその、ほら、ログボっていうか? 日課のガチャっていうか?」
     言い訳をすればするほど相手は腹が立つということを、イデアはまだ気付いていないようだ。アズールは彼を見もせずに、「好きにしてたらいいですよ」と素っ気なく返して、自分もスマホを眺めている。アズールはカレンダーアプリと睨めっこをしていた。オフ日の確認と調整である。
     ウィンターホリデー期間も間近に迫ったとある日だった。先日オーバーブロット事件を起こしたアズールは、まだ本調子ではないだろうとラウンジの仕事を双子や寮生に取り上げられることもままあり、おかげでこうしてイデアの部屋に転がり込む機会も増えていた。恋人は最初の頃こそ、泣いて無事を喜んだり、もう貯め込んでバブバブしないようにと甘やかしてくれたものだが、今となってはこうである。
     ホリデーに入れば、イデアは嫌々でも実家に帰るだろうし、自分達はラウンジの営業も無く暇を持て余す。そしてホリデーが明ければ、またアズールは忙しい支配人へと舞い戻る。そうすれば、こうしてのんびり二人で過ごす時間もどれぐらい取れるやら。
     それがわかっているのかいないのか、イデアはいつもの調子で、「ハァーーーつら、ガチャは悪い文明……課金しちゃおっかな……」と言いながら、タブレットを見つめているのだ。なんでも、推しキャラの限定カードが実装されたらしいけれど、ガチャを回すための石がもう尽きて残り1回分しかない、これで出なければ課金しなくてはいけない、とか。
    「そもそも、ガチャなんて運要素しかないものにマドルを払うことが全く理解できませんね。課金したところで目当てのものどころか、ゴミしか手に入らない可能性も有るんでしょう?」
    「アズール氏、わかってないですなあ! 1%にも満たないその確率の中から、見事推しを引き当てた時のあの感動! 脳からやばい汁が出るんですわ!」
    「搾取されて喜んでいるの間違いでしょう。何が当たるかわからないものにマドルを支払うなんてお止めなさい」
    「違うの! 違う! アズール氏は何にもわかってない!」
    「あなたよりはわかっているつもりですけど」
     イデアがあんまり力説するものだから、アズールは呆れた顔をしてスマホから目を離した。イデアはタブレットの画面に映る、可愛らしい女の子のイラストを見せながら言った。
    「このカードは今を逃したら来年のこの時期にしかもらえないの! もしかしたらそれがラストチャンスかも、ってことは今回引けなかったらどっちみち来年どうにかするしかないわけ。絶対手に入れないとダメなの! それを期待して祈ってお願いしますって頭を下げて賭けるのもまたガチャの楽しみってことなんですわ!」
    「先程、悪い文明とか言ってませんでした?」
    「言いましたー! 言いましたけどー!」
     堂々巡りだ。埒が明かない。アズールは呆れた溜息を吐き出し、またスマホに目を戻そうとして、その時ふとひらめいた。
    「……イデアさん、人は『何が入っているかわからないもの』から『当たりを引いた』と思う時、快感を得るんですか?」
    「そりゃーもう、脳汁ドバドバですわ! なんなら動画見る? 神引きした実況配信とかめっちゃ叫んでてやばいですぞ」
    「いえ、それは結構。……なるほど。こういうのはどうでしょう? モストロ・ラウンジに新年を記念して、中身の見えないバッグを用意するんです。中には各種土産の品が入っていますが、稀に限定品が混ざっている……これを販売すれば好評を得られるのでは?」
    「ははあ、アレですな、なんか、東方で言うところの福袋って奴ですな?」
    「そういう物が有るんですか」
    「そそそ。新年を祝って売るんだけど、普通は入ってるのって在庫処分品とからしいよ。定価で買うと福袋の値段がお得に見えるけど、在庫処分って考えると結局店が儲かるシステムになってる、的な? ま、最近はその限りでもないみたいッスけど」
     タブレットに福袋の写真を表示して見せてくれるのを、アズールは興味深そうに見る。マドルになりそうなことなら興味を持つのだ。その生き生きした表情が、イデアも好きではあった。
    「なるほど、ウィンターホリデーの間に準備して、開店と同時に数量限定で発売してみましょう。ふふ、新年が楽しみになってきました」
    「じゃあじゃあアズール氏、情報提供の対価に、どうぞ1回だけでいいから画面をタッチして下され~」
    「そもそもどうして僕がタッチしなきゃいけないんですか、あなたのガチャでしょう」
     ガチャの画面を表示してタブレットを差し出してくるイデアに、アズールは眉を寄せながらもそれを受け取った。イデアはアズールを拝みながら、「こういうのは物欲が無い、無欲な人が回すと来るってジンクスがありまして」と答えた。
     無欲な人、ですか。アズールは皮肉が効いていると思いながらも、面倒なのでさっさとタッチをし、すぐタブレットを突き返した。
    「ほら、押しましたよ」
    「ハアーーーッ! お願いします、お願い……アッ、アッ!? 演出、アッ! あーーーっ!!!!!! き、きた!!!!!! 来ましたぞ!!!!!! 期間限定SSR! エッ嘘、ホントに!? アズール氏、神過ぎる、嘘だろ、うわーーーっ、ふじこー!」
    「落ち着いて下さい、たかがガチャぐらいで……しかし興味深いですね。限定品一つそこまで祈ったり喜んだりできるとは、これはいい商売になりそうです」
     タブレットを抱え、床を転がって狂喜乱舞するイデアを冷めた目で見つめながらアズールが呟く。具体的に思いつくことをスマホにメモしていると、イデアがベッドに乗り上げてきて、「お礼、お礼する、何でも言うこと聞く!」と土下座してきた。残り1回のガチャで神引きをした、という事実が、人にこうまで言わせるのか。アズールは興味深く人間心理というものを感じながら、微笑む。
     そしてアズールは、イデアに顔を上げさせ、その顎をくいと指で持ち上げながら囁いた。
    「では、僕との貴重な部屋デートの時間に他の事ばかり考えていたイデアさんには、たっ……ぷりと奉仕して頂きましょうか。ホリデーで会えない時間の分も」
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    岩藤美流

    DONE歌詞から着想を得て書くシリーズ①であり、ワンライの「さようなら、出会い」お題作品の続きです。参考にした歌は「A Love Suicide」です。和訳歌詞から色々考えてたんですけど、どうも予想通りタイトルは和訳すると心中だったようですが、あずいでちゃんはきっと心中とかする関係性じゃないし、どっちもヤンヤンだからなんとかなりそうだよな、と思ったらハッピーエンドの神様がゴリ押しました。イグニハイド寮は彼そのものの内面のように、薄暗く深い。青い炎の照らしだす世界は静かで、深海や、その片隅の岩陰に置かれた蛸壺の中にも少し似ている気がした。冥府をモチーフとしたなら、太陽の明かりも遠く海流も淀んだあの海底に近いのも当然かもしれない。どちらも時が止まり、死が寄り添っていることに変わりはないのだから。
     さて、ここに来るのは初めてだからどうしたものか。寮まで来たものの、人通りが無い。以前イデアが、うちの寮生は皆拙者みたいなもんでござるよ、と呟いていた。特別な用でもなければ出歩くこともないのかもしれない。さて、寮長の部屋といえばもっとも奥まっている場所か、高い場所か、あるいは入口かもしれないが、捜し歩くには広い。どうしたものかと考えていると、「あれっ」と甲高い声がかけられた。
     見れば、イデアの『弟』である、オルトの姿が有る。
    「アズール・アーシェングロットさん! こんばんは! こんな時間にどうしたの?」
     その言葉にアズールは、はたと現在の時刻について考えた。ここまで来るのに頭がいっぱいだったし、この建物が酷く暗いから失念していたけれど、夜も更けているのではないだろうか。
    「こ 5991

    れんこん

    DONE第二回ベスティ♡ワンライ用
    フェイビリ/ビリフェイ
    お題「HELIOS∞CHANNEL」
    何度も何度も震えるスマホ、画面も何度も光って、最早充電も尽きかけてしまっている。
    鳴り止まなくなって電源ごと落としてしまうのも日常茶飯事ではあるけれど、今回は規模が違う。
    ……今朝おチビちゃんが撮ってエリチャンにアップロードした写真がバズっている。
    その写真は新しく4人の体制となったウエストセクターで撮ったもので……それだけでも話題性があるのは確かだけれど、それよりもっとややこしいことでバズってしまった。

    『フェイスくん、この首の赤いのどうしたの!?』
    『これってキスマーク……。』
    『本当に!?どこの女がこんなこと、』

    「はぁ〜……。」

    止まらない文字の洪水に、思わず元凶である自分の首を撫でさする。
    タグ付けをされたことによる拡散の通知に混じって、彼女たちからの講義の連絡も合わさって、スマホは混乱するようにひっきりなしに泣き喚いてる。
    いつもはなるべく気をつけているからこんなこと滅多にない。……ただ、昨夜共に過ごした女の子とはまだ出会ったばかり……信じて寝入っている間にやられてしまったらしい。
    今日はタワーから出るつもりがないから別にそのマークを晒していてもわざわざ突っ込んでくる 2313