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    9s0z9

    @9s0z9

    ちょそ推し五悠狂い

    ついったしたごゆの壁打ち置き場にしたくて。

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    転生パロ
    ショコラティエ悟×大学生ゆじ

    #五悠
    GoYuu

    ショコラ 有名ショコラティエ五条悟。彼が創り出すチョコレートは勿論だが、その容姿も相まって人気店。とは言え、どうにも表立って対応出来るスキルは彼になく、接客業務は専ら幼馴染が手伝いに来てくれていた。
     背中まである長い黒髪を頭頂で団子にし、切れ長の細目と薄い唇は常に弧を描く。物腰の柔らかい接客で、彼もまたイケメンと称される見目形の為、集客要因の一つだった。
     パフォーマンスとしてガラス越しに見える調理室。まるで動物園のパンダのように五条の仕事ぶりを客が眺め買い物をする。
     クリスマス、お正月、そしてバレンタイン。毎月事あるごとのイベントに託つけて新作を打ち出すが、中でも特段忙しいのはやはりバレンタイン。あっという間に二月に入り、毎日多忙を極めていた。
     十四日当日。皆事前に準備を済ませる事の方が多いらしく、昨日までの鬼のような忙しさに比べ、今日は客足も少ない。
     更には生憎の天気。夕刻までギリギリもった曇天は、まだここに一人、客を残したまま泣き出してしまった。
    「悟ー、ちょっと私、出かけて来るから店番頼めるかい? お客様、もし宜しければ途中までご一緒しませんか?」
     バッチリ決めた服装とメイク。きっとこれから勝負のデートであろう傘のない客は、店員のそんな申し出に何度もお辞儀して、一番高いバレンタイン限定チョコレートを持って店を出て行った。
     静かになった店内。調理場から出て来た五条は、エプロンを外しカウンターに座る。
     窓を叩きつけるような雨音に、今日はもう店じまいかな。なんて頬杖をついていると、頭を庇うように店の前に走り込んできた一人の青年の姿が視界に入った。勿論高々腕程度では免れず、桜色の短髪はぺったりと雨でしおれ、額から雨を垂らす。
     大半がガラスで出来た店構えは、雨宿りに来たであろう青年と頬杖をついて睨むように見つめる男の視線を容易く交えると、おずおずと青年がドアを開いた。
    「スミマセン、ちょっとだけ雨宿りしてもいいですか?」
    「冷やかしはお断り」
    「買い物します!」
    「だったら雨打ち込んでくるからさっさと入りなよ?」
     そう言って五条は、厨房入り口にかけてあったタオルを投げると、丁度ドアを閉めようと背後を向けた青年の頭にバサリとかかった。
    「うおっ、あ、有難う」
     青年は入口で立ち止まり、手にしたタオルで濡れた体を丁寧に拭いてから、カウンターへと足を進める。
     ヤンチャそうな風貌ではあったが、五条はそんな彼の行動に少し好感を覚えた。否、そもそも正直に雨宿りさせてくれと、自分に声をかけてきた時点で礼儀正しい子だと理解している。実を言えばそれこそ、目が合った瞬間から、五条の胸に惹かれるものがあった。
     わざと冷たい言葉を浴びせても、嫌な顔一つせずに真っ直ぐに答えたのもポイントが高い。
     観察するように五条がじっと青年を見つめていると、彼は照れくさそうにしつつも目を逸らさずに目の前に立ち、タオルを返却する。
    「これ有難う」
     そう言って笑う顔が可愛くて、五条は一瞬で恋に落ちた。とは言え、五条は別に男色だった訳でもない。胸のデカい女が好きだ。
     それがどうした事か。一目見てビビッときてしまったのだ。
     タオルを受け取る装いで、五条は青年の手ごと掴む。
    「ねぇ、お前、名前なんて言うの?」
    「え、っと、虎杖悠仁って言います。好きなタイプは、尻とタッパのデカい子です」
    「ふ~ん」
     そう言ってタオルを受け取ると、わざとらしく五条が立ち上がり、厨房に投げ捨てた。尻はアレだが、タッパはクリアしている。勿論五条はアピールのつもりだったが、虎杖はどこ吹く風。そんなことはつゆ知らず、ショーケースの中を見てはしゃいでいた。
    「チョコレート屋さんとか俺初めて来た。すげーお洒落だし、どれも美味しそう! え? これ一個で五百円? こっちは千円するじゃん!」
     目をキラキラと輝かせながら、中央に集められたチョコレートを楽しそうに見繕う。
     時刻も時刻。想定より売れ残ったものの、宝石箱のように並べられていたショーケースの中は、幾分の空白。それでも店主として、常にお客を楽しませる為にショーケースの陳列には常に目を光らせている。
    『これしかないの?』そんな顔をさせる事なく、虎杖の様子に、五条もまた笑顔になった。
    「悠仁にはちょっと高級すぎたかな?」
    「高級高級! 俺がよく食べるチョコなんて、この値段出したらこれよりデカいのに二十個は買えるよ?」
    「ふふ、悠仁が好きなのはブッ〇クサンダーか。あ、じゃあこれちょっと試食してみてよ」
     そう言って五条が再び厨房に戻ると、中からいくつかのショコラを皿に乗せ、カウンターから出て虎杖の横に立つ。
    「わ、五条さんって背デカいんだね」
    「今?」
    「いやだって顔小さいしそんな背高いと思わなくない? カウンターが高くなってんのかと思ってた」
    「なるほどね。それよりほら」
     摘まみ上げたショコラを虎杖の口へ寄せる。突然の事に虎杖が戸惑っていると、『早くしないと溶けちゃうよ?』なんて急かすもんだから、大人しく口を開けてパクリ。
     五条がわざとショコラを指の奥で摘まんだ所為で、虎杖は五条の指まで咥える羽目になった。
     五条の指が引き抜かれると、一瞬にして虎杖の表情も蕩ける。両頬を抑えて、にんまりと口元が綻び目を細めて。
     虎杖のそんな姿に、五条は誇らしげに胸を張ると、自分の指に付いていたショコラを舐めとった。
    「美味~い」
     虎杖はすっかりその美味しさに魅了され、先程の五条の行動など気にも留めずに五条を見つめる。
    「試作品なんだよね。ビターものは割と人気が高いから、今展開してるのもあるけど、そろそろ新しいのも作りたくてさ」
    「え、これ売り物じゃないの? めちゃくちゃ美味いのに。入れた瞬間鼻からカカオが抜けるっつーのかな? でもちょっとピりってしてるのは何だ?」
     五条が答えようと口を開くと同時に、店のドアが開く。
     叩きつけるように降っていた雨は、いつの間にか行儀よく空から地面へと落ちていて、先程お客を送り届けに出て行った店員、もとい夏油が戻ってきた。
    「ただいま~。こんな日に珍しいお客さんだね。いらっしゃい」
    「あ、雨宿りついでにお邪魔してます」
    「ふふ、正直な子だ。そんな子にはコレをあげよう」
     虎杖がペコリと頭を下げると、夏油は笑いながら虎杖の隣に立ち傘を差し出す。『え、いいんですか?』そんなやりとりが始まるぞという時に、二人の間に割って入る人物がいた。勿論この場合五条しかいないのだが。
    「悠仁は今テイスティング中なんだから邪魔しないでくれる?」
    「悠仁? ……それは失礼。それにしても君、そんな顔も出来たんだな。他の客にも今みたいに愛想よくしてくれよ。外から見てて気持ち悪かったけど」
    「は?」
    「え、ちょ……」
     喧嘩でも始まるんじゃないかと虎杖はヒヤヒヤして、思わず五条の背中を引っ張ると、五条はすぐに虎杖へと向き直り、ぶりっこな笑顔を見せる。夏油はそんな五条の姿に必死に笑いをこらえながら、『着替えて来る』と言い残しスタッフルームへと消えていった。
    「あの人もお店の人だよね?」
    「そ。腐れ縁ってやつ? 何だかんだ高校からずーっと。って、まさか悠仁、アイツに気があるとか?」
    「いやいやいやなんでそうなんの? 五条さんもだけど、ここの店員さんってイケメンさんだなーって」
    「ホント⁉ 悠仁僕の顔好き?」
    「え、んー、好きかどうかは分からんけど、かっこいいと思うよ?」
     顎を手で掴みながら吟味するように五条を見つめたかと思えば、そんな答えに、五条がこれ見よがしに腰に手を当て前に出る。
    「でもほら、僕タッパはあるよ?」
    「そうだね。ん? 五条さん、どったの?」
    「悠仁にアピールしてんの」
    「ふはっ、何それ、五条さんって面白いね。あ、雨弱くなったみたいだし、今のうちにチョコ買って帰ろうかな」
     何か察知したのか、虎杖は五条から少し離れてそそくさとショーケースに向き直る。警戒されてしまったかな。なんて内心思うも、依然として余裕の佇まいで、五条がさり気なく虎杖との距離を詰めた。
    「傑も帰って来たし、送ってってあげるからゆっくり選んでいいよ?」
    「え? いやいや傘も借りたし大丈夫だって」
    「気にしない気にしない。どうせそろそろ店閉めようと思ってたし。あ、ちなみに……」
     小皿をカウンターに置き、五条が虎杖に耳打ちする。
    「僕のおすすめは、僕!」
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