添い寝「なぁ、やっぱアンタ俺のモンにならへん?」
「人の気持ちを物みたいに言うんは好きやないな。欲しかったら頭でちゃんと考えて自分でなんとかせえ」
北信介はここ数日の自分の行動を激しく後悔していた。
任務の途中、ふとしたきっかけで出会った青年にうっかり危機を救われ、そのまま仔犬のように懐かれてしまったのだ。
どこまでもついてくる彼をうまく撒いたつもりが、彼は平然と宿近くにまで現れ、にこにこと後ろをついて歩いた。
このまま宿まで来られても困る。仕方なくいつもは寄らない食堂に入り(腹一杯メシ食わせたったら帰るやろ)と、助けてもらったお礼に夕飯をご馳走すると宣言したものの、彼は嬉しそうな顔でとんでもない量を平らげた。
1395