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    warabi_hq

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    warabi_hq

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    🥫フー🍙×🕵️🌾 出会の直後
    書きたいところだけ

    🌾さんはお姉ちゃんを攫うと脅されて渋々この国でスパイ活動させられています。早く抜けて実家に戻って米農家をやりたい。

    双子は赤子の時に攫われてきてこの国にいます。あんまり記憶ないからどっちでもええ。って感じだけど、🌾さんの話を聞くうち自分もついて行きたいってなっていきます。

    #治北
    theNorthOfTheCountry
    #おさきた

    添い寝「なぁ、やっぱアンタ俺のモンにならへん?」
    「人の気持ちを物みたいに言うんは好きやないな。欲しかったら頭でちゃんと考えて自分でなんとかせえ」

    北信介はここ数日の自分の行動を激しく後悔していた。
    任務の途中、ふとしたきっかけで出会った青年にうっかり危機を救われ、そのまま仔犬のように懐かれてしまったのだ。
    どこまでもついてくる彼をうまく撒いたつもりが、彼は平然と宿近くにまで現れ、にこにこと後ろをついて歩いた。
    このまま宿まで来られても困る。仕方なくいつもは寄らない食堂に入り(腹一杯メシ食わせたったら帰るやろ)と、助けてもらったお礼に夕飯をご馳走すると宣言したものの、彼は嬉しそうな顔でとんでもない量を平らげた。

    青年の名は治と言うらしい。遠く離れた異国で耳にした同郷の名に、信介は懐かしさを覚える。彼はどう言った事情でこの国に暮らしているのだろうか。姉を攫うと脅され、よくない組織に手を貸している自分とは違う、良い意味での能天気さのようなものを纏う彼を羨ましくさえ思う。

    なぜこれほどまでに自分に構うのかと聞くと、一目惚れだと言う。
    俺はそんな大層な人間やないで。信介は心底そう思った。

    会計を終え店を出ると、彼は向かいの屋台の肉まんにあからさまに興味を惹かれていた。キラキラとした視線を無視できず、買ってやることにする。彼は部屋で一緒に食うためにどこかでお茶も買いたいと浮かれていた。

    「これ持って帰れ」

    そう言うと、彼は幸せそうな顔から一転、この世の終わりを目にしたような顔をした。
    しょんぼりと来た道を引き返す彼の後ろ姿を眺めていると、なぜかとてつもない寂しさを覚えてしまったのだ。

    「……なあ。……添い寝。添い寝くらいなら、ええよ」

    その言葉に振り返った彼の顔は、ぱあ。と明るく、やはり仔犬のように駆け戻ってきた。ただ、仕草が仔犬のようであるだけで、実際は虎やライオンほどの大きさがある。

    なぜそんなことを言ってしまったのか、今となってはわからない。自分の浅はかさを後悔していた。

    「コラ、変なとこ手入れるな」
    「ええやないですか、減るもんやなし」
    「ハラは減るもんや。特にお前のはな」

    軽口に反して、後ろから抱きしめる治の腕は逃れようにもびくとも動かない。シャツの裾から入り込んで腹の辺りを撫でていた掌がゆっくりの上の方へ移動する。

    「ふふ。アンタの肌、色も白いしすべすべのもちもちで、さっき食うた肉まんみたいやな」

    安い宿のシングルベッドは成人男性二人で寝るには小さすぎ、必然的に密着することになる。治は信介の首筋に顔を埋め、大きく息を吸った。
    信介は頬にあたる髪がくすぐったく、少し肩をすくめると、徐に首根っこを甘噛みされる。

    「おい、腹減ったからって俺のこと食うなよ」
    「食うてみたいのは山々ですけど。食ったらそれきり終わりなんて勿体無い」

    もっと楽しませてくださいよ。
    耳元で囁かれ、身体の奥がぞくりとする。治の手のひらが信介の脇腹を撫でた。

    「痛たたたたた!痛った!」

    信介は表情ひとつ変えず、治の二の腕をつねり上げ、地味な痛みにのたうちまわる治をベッドから蹴り落とした。

    「もうあかん。お前はソファで寝ぇ!」
    「えぇー、添い寝してくれる言うたやないですか」
    「明らかに添い寝以上のこと期待しとるやろ。そんな奴の寝床はソファや!」
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    warabi_hq

    MAIKING途中書きのどんきつねさん的なきたさん。
    まだようやく両片想いになったくらいの段階。
    治はこの頃お店の2階に住んでいます。
    小さなキッチンに見合わない大きな冷蔵庫を置いていて、部屋は和室なのでテーブルじゃなくちゃぶ台で食事。
    お店が軌道に乗ってきて、時間的にも金銭的にも余裕ができてきたらもうちょっと広い近所のマンションに引っ越します。
    白狐宮治にとって『飯を食う』という行為は、人生の中で1番の幸福な時間であった。ところがこの数日、落ち着いてその至福の時間を過ごせていない。

    おにぎり宮の営業を終え、一人暮らしにしては立派な冷蔵庫のある部屋に戻り、一日頑張った自分のために拵えた夕飯の並んだちゃぶ台の向こうに、ちょこんと正座する想い人、北信介の姿があった。いつもと変わらない服装のそのひとには、本来あるはずのない、狐のものと思われる真っ白いふわふわの尻尾と、頭の上にはツンと立ち上がった同じく白くふわふわの三角形の耳が存在していた。彼は治が食事を摂る間、きちんと正座をしたまま、じっとその様子を見守っている。

    これが、治がここ最近落ち着いて至福の時を過ごせていない大きな理由だった。そもそも実家で農業を営んでいる彼が、こんな時間に街中の治の部屋にいるはずがないのである。
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