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    あもり

    @34182000

    二次創作小説置き場です。
    現在格納済み:fgo、遙か3、バディミ、スタオケ、水星の魔女、マギなど色々

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    あもり

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    マギの二次創作、まさかのユナンとウーゴくんの話が出力されたのはさすがに書いてる本人が1番の予想外でした。ユナンは聖宮でのあの姿(ルフ)だと話せない、と言ってたけどもし話せてたとしてもウーゴくんってさぁ…まぁお喋り権限与えてあげるのも、神様だから容易なんだよなぁ…となってたら書き上げてました。

    別名、若かりしころのユナンの神様へのちょっとした八つ当たりです

    #マギ
    magi

    聖宮問答、あるいは存在しない幕間「おかえり、ユナン」
     何度目かのマギとしての命が終わり、再び聖宮に召し上げられた時のことだった。連続した記憶の中と変わらぬ番人が、悲しそうに微笑みながらも出迎えてくれた。これもいつものこと。
    「今回は長かったね」
     ルフだけの存在になって初めて会える番人がそっと僕のルフに手を差し出した。手のひらにのって、感情を一度落ち着かせ、暫くの後また送り出させれる。これもいつものことだった。けれど。
    「……初めて他のマギにもあったよ」
     驚いたようにパチパチと瞬きをして、番人はこちらに視線を合わせてきた。ルフの状態で言葉を使うことは、特に聖宮の中では酷く疲れる。それでも口を開いたのは理由がある。そんなことを知ってかしらずか、彼は嬉しそうに僕に語りかけてきた。
    「ユナン、この状態でお喋りするのは初めてだね。そうか! 世界の文明が大陸の端と端が繋がるほどにまで進んだんだね。他の子達も皆、元気にして「ねぇ番人」
     番人の楽しそうな言葉を遮って、僕はそのまま問いかける。
    「どうして僕だけが今までの記憶を持っているの?」
     これが普通だと思っていたのに、今回生まれて初めて、他のマギと出会い、話しているうちに気づいた。
     聖宮の番人のことも選んできた王様のことも、他のマギたちは何も覚えていないのだ。
     
     ー僕の今まで選んだ王様はみんな、優しかった。強かった。まぶしくて、あたたかくて、側にいられることが幸せだった。この人なら世界を救ってみんなを幸せにできる。何度も信じて信じて信じて、そしてー裏切られた。
     みんな誰もが最後「王」という運命に翻弄され、狂っていってしまう。僕だって見ているだけじゃいられなかったから、何度も変えようとした。一緒に悲劇に抗おうとした。けれど顛末はいつだって同じ。
     王様はいなくなる。僕は死ぬ。
     
     マギは王を選ぶ。前世の過ちを忘れないからこそ、次こそはという切実な願いのなかで選んでいると思っていたのに。マギだけはみな、この苦しみを背負っていると信じていたのに。
     
    「もうやだ。僕は疲れた。早く記憶を消してよ。他のマギにやっているんだから出来るだろう? ねぇ、どうして僕ばかり覚えてるの? どうして僕だけが覚えていないと行けないんだい? こんな悲しいこと、もう忘れさせてくれよ」
     
     そうじゃなかった。そして次に浮かぶのは、悲しみだった。どうして僕だけなんだろう。どうして他のマギは覚えていないんだろう。どうして僕だけが、忘れることを許されていないんだろうか。
     
    「お願いだから僕の記憶を消して、聖宮の番人。もしまた地上にこのまま僕を降ろすなら、王様なんて選ばないで死んでやる」
    「ユナン」
     言いたいことを全て吐き出すと、途端に疲れがどっと襲ってきた。それでも癒されたくなくて床に蹲り部屋の隅、ルフの魂を丸めて小さくなる。困ったような声で呼び掛けられたが、聞こえなかったふりをした。  
     ……もう番人の顔なんて見たくもなかった。あなたの言うことなんてもう、聞きたくない。一度だって、僕のお願いを聞いてくれないくせに。
     そうやって起こしたささやかな抵抗も、番人が僕を軽々と持ち上げられることであっさりと終わりとなった。まばゆい掌の上に載せられた僕を、悲しそうに見つめる大きな顔とかち合う。
    「ユナン、そんなこと言わないで。一人くらい覚えていてくれる子がいないと、何かあった時にみんな困ってしまうだろう?」
     答えになってない、と反論したかったがもう気力が出ない。
    「それに君はマギなんだ。王様を選ばないなんてそんなこと、絶対にないよ」
     まるでぐずる赤子をあやすかのように、僕のルフを愛おしんで撫でる番人の指先はとても優しかった。柔らかく、あたたかい穏やかさが僕の悲しみを攫っていく心地がする。やめてくれ、と言葉にしたかったが、ひとなで毎にその気力が失われていく。
     なんとか少しでも微睡に抵抗しようと、ルフの瞼を僅かに開く。視線の先、番人が慈しむ瞳の奥にあったのは優しさだけではなかった。
     
    「マギである以上、君は王様に出会うんだ。絶対にね」
     優しさの奥、ぐるぐると渦巻いてたのは『執念』。
     
     どうしてそんなにまで誰かに世界を救わせたいんだ、という問いかけの思いは、やがて微睡の中に落ちて静かに消えていった。
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    あもり

    PAST24年3月17日春コミで出した、無配ペーパーの小話再録です。そのに。
    2のこちらは、ムーとティトスです。新刊準拠の話ですが読んでなくても「本編最終章終了後、ジュダルが行方不明になったので単独で白龍がレームへ訪問しにきた後の二人の会話劇」とさえわかってれば問題ないです。
    私の割と癖が強く出た話となりました。こっちはしっとり目です。ノットカップリング。
    受け継がれるもの 練白龍が去った後、次の面談先へと元気よく歩くティトス様とは裏腹に、色々と考えあぐねてしまう自分がいた。練白龍は割合、裏表がない青年だ。今回の訪問もどちらかと言えば公人としての彼ではなく、私人としての立場に近いのだろう。だからこそ、あそこまでさらけ出したともいえる。しかし、自身が腹の内を掻っ捌いたようなものだからと言って、それを、同じだけのことを相手に求めさせるのはあまりにもリスクが高すぎる。落ち着いたと思ったが全くそんなことはない。やはり練家の男だと、かつての紅炎を思い出す。
    「ムー」
     くるりとティトス様が振り返った。丸い瞳をこちらに向けてじっと見、そして俺の顔に手を伸ばそうとしていたためすぐに屈む。なんでしょう、と言えば少しだけ笑って口を開いた。
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    あもり

    PAST24年3月17日春コミで出した、無配ペーパーの小話再録です。そのいち。
    アラジンと白龍、2人のデリカシーゼロな話です。
    カップリング要素は白龍とジュダルですが、この話にジュダルは直接出てきません。あとアラジンと白龍はカップリングではありません。2人は飲み友マックスハート!って感じです。そうかな?
    めちゃくちゃ楽しく、カラッとかけました。
    デリカシープラスマイナス お酒というものは、人が普段理性で押さえている様々な箍を外してしまいやすい。アラジンは滅法それに強かったが、対面に陣取る白龍はめちゃくちゃに弱かった。お酒の席はある程度まではご愛嬌。その中で繰り広げられる、馬鹿らしさも面倒くささも、味ではあるのだが。

    「白龍くん飲み過ぎだよ」
    「今日は全然飲んでませんよ」
    「後ろの空の酒樽みてから言ってくれる?」
    「大体こんなに飲みたくなるのはあいつが悪いんです」
    「ジュダルくん?」
    「そうです」
     また勢いよく杯を空ける。あーあーと思いながらも、アラジンは黙って眺めていた。ここまで勢いに乗った白龍の、お酒を止める方が面倒だと経験則でわかっているからだ。
    「俺はずっとアイツがいつ遠征から帰ってきてもいいように色々と準備をしていたんですよ、こっちは!それなのにアイツときたら勝手に色々と初めておいて、」
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    あもり

    PAST先日のたかやま先生ぴくちゃ~日向南ズが空港だったこと、自分が同人誌に書きおろし収録した日向南のふたりの話の舞台も空港で、おまけに「これからの始まりにワクワクするふたり」だったよなあと…。終わりに向けての書き下ろし絵が日向南の2人が空港だったこと、たまたまの巡りあわせですがぐっと来たので期間限定で再録します。当時お手に取っていただいた方、そして今から読む方もありがとうございました!
    ホームスタート、隣には 窓の下、鮮やかな夕日が静かに夜へ落ちていく。小さい窓に張り付いている幼馴染の肩越しにその光を見たとき、ああ僕らは故郷を出ていくんだと実感した。

    ***

     やっとのことで地元の空港のチェックインカウンターに辿り着いたのは、予定時間ぎりぎりのことだった。いざ出発するとなったらどこから聞きつけてきたのか、高校の同級生やら近所のお好み焼き屋のおばさんやらであっという間にわいわいと取り囲まれて、遠慮なく別れを惜しんでくれた。といっても本拠地は相変わらず日向南だというんだけど、みんな勘違いしてないかこれ。そのうち単位交換ではなくて転校したという話に切り替わってそう、というか後半そんな感じで近所のおじさんに言われた。ただもう説明する回数が多すぎたので最後の方の対応はもう拓斗にやや放り投げてしまった。
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