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    海老🦐

    しんじゃのSSまとめです。

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    海老🦐

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    院生シン様×学部生ジャーファル 4
    現パロ大学生シンジャです。続きです。

    SAN値が下がりそうなモブ女がたくさん出てきます。苦手な方はそっと閉じてください。

    ##現パロ大学生シンジャ

    ----------------



    「それって何の話?」
     さっきから楽しそうにきゃいきゃいはしゃいでる女の子たちの横で缶ビール片手に大鍋の中でくつくつ煮えているカレーをかき混ぜながら、けど、彼女たちの会話の内容はほとんど聞いてなかった。ええと、たぶんゼミの男子生徒の名前を上げては盛り上がっていた、ような気がする。
    「だから、うちのゼミでつきあいたい人は誰かって」
    「ちゃんと聞いててください」
    「あ、ごめん」
     ものすごくどうでもいい話題だな。それ、俺にふるような話か? とりあえず適当に愛想笑いしておく。カレーは、もうこんなもんでいいだろう。しかしすごい量だ。
    「カレー、もういいと思うよ」
    「ほんとだ、おいしそう」
    「私はシンドバッドさんがいいなあ、だめですか?」
     紙皿を握りしめ、女の子の一人がちょこんと頭を傾けて覗き込んでくる。あざといな。
    「え、何が? カレーいらないの」
    「だから、つきあうならって話です」
    「私も、私も」
     わらわらっと集まってきた二、三人に取り囲まれる。俺とつきあいたい人~とか言って、手を上げた女子全員とつきあうのか。無理。興味もない。
    「俺はゼミ生じゃないからざ~んねん、対象外ね」
    「ええ~~」
     いい加減、笑顔がひきつっているのが自分でもわかった。けれど、周りの誰もそんなことは気づいてないみたいだ、よかった。
    「先輩って、つきあってる人いるんですか?」
     そう聞かれてつい、背後を振り返りそうになる。そこで飯盒をひっくり返してる地味な男と。半月前ほど前から。なんて答えられるわけがないので愛想笑いをお返しする。つきあってるとか言ったって、別に何もしてないし。
    「それは秘密」
     いるよ、なんて答えて下手に詮索されるのも面倒だ。プラスチックのスプーンを袋から取り出していた別の子がぱっと顔を上げた。
    「わたしはジャーファルくんがいいな」
    「あ、わたしもつきあいたい~」
     他の子も賛同する。ジャーファルと?? そこであいつの名前が出てくるとは予想しなかった。へえ。
    「ジャーファルってもてるの?」
    「意外と狙ってる子、いますよ」
     そうなんだ。それはよかった。あいつに教えてやったら喜ぶだろうか。
    「妬けます?」
    「いや、全然」
     まったく、さっぱり、一ミリも。
    「どんなところがいいの、真面目そうなところ?」
    「試験前にノート貸してもらえるかなって」
    「つきあってないのに借りてるじゃん」
    「課題手伝ってくれそうじゃない?」
    「あ~わかる!」
     わかるんだ。何を??
    「あと、絶対に浮気しなそうだし」
    「それ大事だよね!」
    「やさしいところがいいよ~癒やしてもらえそう」
    「これから就活始まるし、つらいときに励ましてもらいたい」
     カウンセラーかよ。都合がよすぎるだろ。さすがにちょっと同情する。でも、そんなふうに見られてるんだな、あいつ。これをもててるというのかわからないけど、名前が上がるということはそれなりに男としてカウントされてるってことなのか。
    「ジャーファルくんて彼女とかいるのかな。いなそうだよね?」
    「合宿中に告白してみれば?」
    「え、本気?」
    「案外いけるかも」
     さすがに勝手にハードル下げすぎ。だんだん気の毒になってくる。
    「はいはい、盛り上がってるところ悪いんだけど、これもうよそっていいかな。米ってもう炊けてる?」
     ちょっとわざとらしく会話を中断する。どうせ告白したって断られるぞ。
    「あ、やりますやります!」
     目の前にいた二人が元気よく俺の手から紙皿を奪い取った。
     もし本当に告白されたらどうするんだろう。ジャーファルのやつ、彼氏がいるんです、とか。言うんだろうか。まさかそんなことまでは言わないだろう。言わないでほしい。詮索されてうっかり俺の名前を出されでもしたら困る。
     もしくは、ふられるのは俺の方だったりして。意外と女子にもてることに気づいたら、ジャーファルはさっさと俺からこの中の誰かに鞍替えしたりして。でも、もし本当にそんなことになったりしたらそれはそれでいいのかもしれない。何より俺からあいつをふらなくてすむ。願ったり叶ったりじゃないか。誰も傷つかない。
     咄嗟にそう考えている自分にちょっと驚いた。そんなふうに思ってたんだな、俺。やな奴。ジャーファルは何も悪いことしてないのに。でも、はっきりと断らないあいつだって悪い。あんな冗談でしかない酔った勢いの「つきあってみる?」なんて、断わるのが気まずいならせめて笑い話で片付けてくれればよかったんだ。笑い話か。笑い話なのにだんだん笑えなくなってきた。いつまでこんなよくわかんないことを続けなくてはならないんだろう。
     大体、今回のこれだって。あいつが余計なことを言うから俺まで参加する羽目になったんだった。ゼミ合宿なんて、俺にはもう関係ない。ゼミ生でもないのに、去年はさらりとうまく断ったのに。子どものお守りみたいなもんだ。しかもボランティア。
     偶然だったとは思うけど、教授がいる前でジャーファルのやつが「シンも一緒にどうですか?」なんて誘うもんだから、先生まですっかり乗り気になって半ば無理やり連れてこられてしまった。くそ。普段だったら今頃はクーラーの効いた部屋で優雅に昼寝か、誰かの誘いにのって飲みに出かけてたはずだ。間違ってもこんな山奥でカレーづくりなんてしてない。そもそも合宿所にはちゃんと食堂があって、うまいとは言いがたいが三食ちゃんと出るのに、なんでこんな中学生の遠足みたいなことしなきゃならないんだ。なんだかだんだんイライラしてきた。何にイライラしているのかわからない、もはや全てにムカつく。
     なんだかいろいろと面倒臭くなったので、カレー鍋を取り巻いて未だにきゃーきゃー恋話を続けてる女子を残して飯盒係を覗きに行く。釜戸の前にかがみ込んで薪をいじっているジャーファルの尻をサンダルでちょいと小突く。振り返って不思議そうな顔で俺を見上げるジャーファルにまでなぜか苛立つ。
    「ジャーファル、おまえさあ」
    「はい?」
    「はいじゃなくて」
    「どうかしました?」
    「うん、いや」
     やっぱりやめた。別にジャーファルは何も悪くない。俺が勝手にムカついているだけだ。大体なんだ、貴重な夏休みを潰して俺がこんなところまで飯盒炊さんなんかしに来なきゃならないんだ。でもよく考えたらそれはこいつのせいだ。やっぱりジャーファルが悪い。
    「飯、炊けた?」
    「はい、できてますよ」
     そう言って無邪気な笑顔を見せるジャーファルの、そのふくふくしたほっぺたを引っぱってやりたくなる。むにっと伸ばしたらどこまでも伸びそうな餅みたいなほっぺたしやがって。ほんと、のんきなやつ。

     飯盒炊さんカレーの後は食堂に集まって飲み会になった。毎年このパターンなのでよく知っている。俺も学部生の二年間は普通に参加してたから。相変わらず女の子に囲まれて愛想笑いを振りまきながらそつなくみんなを盛り上げる。ホストか。しかし俺はさっきから機嫌が悪い。ものすごく悪い。顔にも態度にも絶対に出さないが、いい加減疲れた。ジャーファルに「ちょっと電話してくる」とだけ言い残してみんなに見つからないようこそっと席を外した。
     とはいってもどこにも行くところなどない。街灯もろくにない山奥は日が暮れれば真っ暗だ。見渡せど黒い山影しか見えない。聞こえてくるのは虫の音だけ。駐車場の端っこのブロック塀に腰掛け、缶ビールを飲みながらぼんやり空を見上げる。星がすごい。これだけはさすが、なかなかいい眺めだ。街中に比べて涼しくて過ごしやすいところもいい。湿気でべたべたしないし。でもそれだけ。
    「どうしたんですか?」
     ジャーファルがこちらに向かってぺたぺた歩いてくる。どうしたもこうしたも、俺は疲れているんだ。
    「電話するんじゃなかったんですか? スマホ忘れてってますよ」
     ジャーファルからスマホを受け取る。それはわざとだ。どうせ気づいて持ってくるだろうなと思って、わざと置いていった。
    「ん」
     くすねてきたビールを一つ差し出す。
    「あ、どうも」
     ジャーファルは隣に腰掛けてプルタブを開けた。それからちらっとこちらを見る。
    「この間のスーツすごくかっこよかったですよ。セミナーのときの。似合ってました。モデルみたいで。正直ちょっと気後れしちゃって」
    「あ、そ」
    「身長があるといいですよね。顔もきれいだし、シンはなんでも似合います」
    「それはどうも」
     本当はTシャツにジャージが一番好きだけど。楽で。というか、なんでいまこのタイミングでその話を持ち出したんだ、こいつは。思い出してしまったじゃないか、あの妙に親しげな社会人のスーツは何者なんだって、結局それは聞けずじまいでそれもなんだかむしゃくしゃする。
    「なんか、怒ってます?」
    「別に」
    「機嫌悪いですねえ」
     そうですねえ。
    「何かありました?」
    「別に何もないって」
    「でも、」
     ジャーファルは何か言いかけて、そのまま黙ってしまう。じっとこちらを見ている。視線が痛い。
    「おまえのせいだぞ。おまえが教授の前で俺を誘うから、断れなかっただろ。おかげでこんな山奥でカレーつくる羽目になって」
    「そうですよね、軽率でした。やっぱり無理して参加してくれたんですね」
    「ゼミ生でもないのに合宿なんて面倒くさい」
    「シンがいたら楽しいだろうなって思って、ちょっと自分勝手でした」
    「俺は楽しくない」
    「すみません」
     まずい、さすがにこれは言い過ぎか。
    「うそ、ごめん。これはただのやつあたり」
     慌てて横を向くと、ジャーファルは予想に反してにこにこしていた。なんで? てっきり困りきった顔で、俺の機嫌を窺おうと必死になってるかと思いきや。
    「なに?」
     つい、思いっきり不機嫌な声を出してしまった。それでもジャーファルはひるまない。
    「いえ、なんか嬉しくて」
    「嬉しい??」
    「だって、シンが怒ってるところ初めて見たので」
    「は、あ??」
    「ふふふ、シンも怒るんですね。なんか安心しました」
    「そりゃ俺だって人間なんだけど」
    「でも、シンっていつも人前で機嫌を顔に出さないでしょう? 笑顔で明るく振る舞って、だからその、そんな不機嫌な顔するんだなって思ったら」
     ふいっと視線を逸してはにかむ。
    「なんかちょっと嬉しくて」
     そんな恥ずかしそうにされても困るんだけど。
    「だからなんで嬉しいの、そんなことが」
    「自惚れだってわかってるんですよ、でも、そういう顔をわたしには見せてくれるってことじゃないですか。それってなんだか少し特別な気がしてそれが」
     何を言ってるんだこいつは。
    「嬉しいんです」
    「はあ」
     意味がわからない。
    「普通は機嫌悪いやつなんてうっとうしいだろ」
    「そうかもしれないけど、でもシンだから」
    「は、あ、ははは、はっ、それはどうも」
     中途半端な笑い方をしてしまった。なんだこれは、笑っていいところなのか、真面目な話なのかもはや判断がつかない。ジャーファルは別に笑っていない。冗談じゃないのか。
    「何か嫌なことがあったんですよね。いいですよ、もっとやつあたりしても」
    「もういいよ、なんかどうでもよくなってきた」
    「いいんですか?」
     そう言って、ちょこんと頭を傾げる。じっと俺を見上げる目がふっと笑う。なんだろうこのあざとい角度。昼間の女の子たちを思い出す。でも彼女たちとは何かが違う。別に嫌な感じはしない。きっと今、ジャーファルは何も考えてないだろうし、何も狙ってない。俺に対して下心があるわけでもない。からだろうか。
    「またいらいらすることがあったら、いつでも呼んでくれていいですよ」
     そんなのいちいち呼ぶか。自分の機嫌くらい自分でとれる。
    「すみません、ちょっと飲みすぎたかも。本音が出てしまいました。忘れてください」
     酔った勢いとかじゃなくて本音なのかよ。それだってよくわからない。そういえば、こいつはどう思ってるんだろう、俺のこと。先輩? 友だち? 恋人? 恋人と言えるようなことなんて何一つしてないのに? それはさすがにないか。だったらなおさら何なんだ。仲良くなれば誰に対してもこんなふうなのか。相手に勘違いされないんだろうか。大体、こいつは何もわかっていない。酔っ払った勢いで男につきあおうとか言われて断れない人間なのだ。他の誰かなら? 例えば、昼間、カレーをつくりながら恋話で盛り上がってた彼女たちの誰か、とか。本気で合宿中に告るつもりだったら。
    「おまえ、絶対ゼミ内で彼女つくるなよ」
    「え、はい?」
    「いいか、合宿中に告られてもノリとかでオーケーするなよ」
    「何言ってんですか?」
    「絶対だぞ。あの子たちはやめておけ」
     自然と語気が荒くなる。そうだ、つきあったところでどうせ都合よく利用されるだけに決まってる。
    「はあ」
     ジャーファルはとぼけた声で答えた。そんなふうにぼんやりしてると簡単に流される。俺に流されたみたいに。
    「先輩からのアドバイスだ。いいな、黙って聞け」
    「大丈夫ですよ、だって」
     ビールを一息に飲み干したと思ったら、急に俯いて、まるで地面に報告してるみたいにジャーファルはぼそっとつぶやいた。ほとんど聞き取れないくらいの小さな声で。
    「わたしが今つきあってるのはシンですから」
     暗闇の中でも顔がめちゃくちゃ赤くなっているのがわかった。さすがの俺もたじろぐ。なんだろうこの展開。
    「あ、そうだよな」
     たっぷり十秒は間をあけてしまった。ジャーファルはうつむいたまま何も言わなかった。
     そうか、やっぱり俺とつき合ってることにはなっているのか。ということがわかった。え、それで? 俺とつきあってるから、他の女の子とはつきあわない、ということか。そうか、それはよかった。俺はちょうどいい虫除けなわけだ。それっていいのか?
     やっぱりよくわからない、よくわからないけどさっきまであんなにイライラしてたのが嘘みたいにどうでもよくなっている。
     ああ、それにしてもまたしても言えなかった。「ごめん、あれは冗談だったんだ」の一言が。
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    海老🦐

    DOODLE院生シン様×学部生ジャーファル 10-2
    これで最後です。
    おつきあいくださりありがとうございました!
    ----------------



     ちょうど改札を出てくるところだった。手を振る前にこちらに気づいて、へらっと笑った顔がかわいかった。シンの、そういうちょっとした仕草が愛おしくてたまらない。
    「二次会、ジャーファルも来ればよかったのに。三年も結構来てるやついたぞ」
     駅構内にはまだ人がたくさんいるのに、シンは構わずに抱き寄せてくる。人前だろうがなんだろうが隠れたりしない。
    「いやですよ、だって絶対シンが酔ってべたべたしてくるもん」
    「なんでだよ、別にいいだろ。俺、みんなの前でおまえとつきあってるって言ってもいいよ。むしろ言いたい」
    「ぜったいにダメです」
     むーーっと口を尖らせて寄せてくる顔をブロックして体を引き剥がす。シンは抵抗ないのかもしれないけど、わたしはさすがにちょっと人前は。
    「ええ、何それひどくない? 俺とつきあってるって知られるのやなの?」
    「嫌ですよ、ゼミの中だけでもあなたのこと好きな女子が何人いると思ってるんですか? あなたは卒業したら関係ないかもしれないですけど、わたしはまだあと一年あるんですよ? いたたまれないですよ、そんなの」
    「へえ、ジャーファルってそう 4653

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    海老🦐

    DOODLE院生シン様×学部生ジャーファル 2
    現パロ大学生シンジャです。続きです。

    ほんとシン様が女の子にだらしないので、苦手な方は避けてくださいー
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     研究室の冷房はいつも効きすぎていて、長時間籠もっていると外がどんなに猛暑でも手足が冷える。俺は特に、素足にサンダルだし。
    「はい、どうぞ」
     紙袋から取り出したホットコーヒーの紙コップをキーボードの横にちょこんと置くと、ジャーファルが顔を上げた。眼鏡の奥からこっちを見上げる目が真ん丸だ。
    「え? あの」
     明らかに戸惑っている。
    「この間のお詫び。せっかく誘ってくれたのに断ってごめんな」
    「そんな、お詫びだなんて。こっちがお礼をしたかったのに」
    「いいの、いいの。この部屋寒いだろ? ホットの方がいいかなと思って」
     ためらいがちに手を伸ばして紙コップを手に取る。ジャーファルがふわっと笑った。またあの笑顔だ。なんでかそれを見て安心した。
    「ありがとうございます、嬉しいです」
     ジャーファルはおずおずと両手で持ってふーふーしながら口をつけた。女子かよ! 喉まで出かかった突っ込みをごくりと飲み込む。蓋に小さくくり抜かれた飲み口からいくら息を吹き込んだところで無駄だろう。
    「ところで教授は? もしかしてお昼行っちゃった?」
    「いえ、出かけてます。戻りは 3879

    海老🦐

    DOODLE院生シン様×学部生ジャーファル 3
    現パロ大学生シンジャです。続きです。

    前回から間があいてしまってすみませーん!
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     俺は本当にばかなんだと思う。もう二度と酒なんか飲むべきではない。何やってんだ。
    「なら俺とつきあってみる?」
     じゃない。つきあってみるわけがない。いくら酔ってたからって、何であんなことを言ってしまったんだろう。ジャーファルだってジャーファルだ。そんなの、何ふざけてんですかーとか、適当に笑い飛ばしてくれればよかったのに。大体つきあうって何だ。何をするんだ。あいつと俺で。自分で言っておきながら何もわからない。想像しかけて途中でつらくなる。それはあり得ない。俺は女の子が好きだ。かわいくてやわらかくて華奢で抱きしめたらいい匂いがするような女の子が好きなんだ。
     ああ、ジャーファルも同じように酔っ払ってて、都合よく全部忘れてくれてればいいのに。今はその可能性にかけたい。

     そっと研究室の扉を開けた。おそるおそる覗き込むとパソコンモニタの向こう側のジャーファルと目が合った。俺に気づいたジャーファルは恥ずかしそうにためらいがちにちょっとだけ微笑んで、それからさっと視線を手元の資料に戻してしまう。耳たぶが赤い、ような気がするたぶん。
     俺は心のなかで二十回 7218

    海老🦐

    DOODLE院生シン様×学部生ジャーファル 7
    現パロ大学生シンジャです。続きです。

    おそいうけ~~
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    「ちょっ、ちょっとシン!?」
     わめくジャーファルを引っぱってエレベーターに押し込む。閉じるボタンを連打すれば、ゆっくりと扉が閉まってエレベーターは静かに上昇し始めた。もう逃げ場はない。それでも俺は手を放さない。
    「痛い、はなしてください」
    「はなさない」
     狭い箱の中で向き合う。俺は口を真一文字に結んで押し黙ったままでいる。明らかにジャーファルは戸惑っているけど、そんなことはどうでもいい。スマートフォンが鳴る。俺のじゃない、ジャーファルのだ。掴まれていない方の手でバックパックのポケットから引っ張り出したスマホを、俺はすかさずジャーファルの手から取り上げた。
    「あ、待って」
     鈍く光っている画面を見る。知らない名前だ。たぶん準ミスだろう。
    「返してください」
    「だめ」
    「さっきの彼女からです」
     だからだめなんだろうが。俺が答えないでいると、諦めたのかジャーファルはため息を一つ吐いた。
    「一体どうしたんですか、いきなりこんな」
    「おまえ、あの子とつきあってんの? 俺と別れて」
    「はあ?」
     ジャーファルは思いきり眉根を寄せた。
    「俺の代わりにあの 5976