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    海老🦐

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    海老🦐

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    院生シン様×学部生ジャーファル 7
    現パロ大学生シンジャです。続きです。

    おそいうけ~~

    ##現パロ大学生シンジャ

    ----------------



    「ちょっ、ちょっとシン!?」
     わめくジャーファルを引っぱってエレベーターに押し込む。閉じるボタンを連打すれば、ゆっくりと扉が閉まってエレベーターは静かに上昇し始めた。もう逃げ場はない。それでも俺は手を放さない。
    「痛い、はなしてください」
    「はなさない」
     狭い箱の中で向き合う。俺は口を真一文字に結んで押し黙ったままでいる。明らかにジャーファルは戸惑っているけど、そんなことはどうでもいい。スマートフォンが鳴る。俺のじゃない、ジャーファルのだ。掴まれていない方の手でバックパックのポケットから引っ張り出したスマホを、俺はすかさずジャーファルの手から取り上げた。
    「あ、待って」
     鈍く光っている画面を見る。知らない名前だ。たぶん準ミスだろう。
    「返してください」
    「だめ」
    「さっきの彼女からです」
     だからだめなんだろうが。俺が答えないでいると、諦めたのかジャーファルはため息を一つ吐いた。
    「一体どうしたんですか、いきなりこんな」
    「おまえ、あの子とつきあってんの? 俺と別れて」
    「はあ?」
     ジャーファルは思いきり眉根を寄せた。
    「俺の代わりにあの子家に呼ぶのかよ」
     本当だったら俺と過ごすはずだったクリスマス・イブ。大体、誘ってきたのはジャーファルのほうだ。それをこうもあっさり鞍替えなんて、さすがに俺だっておもしろくないにきまってる。
    「これから二人でクリスマスパーティー?」
     エレベーターが止まってのろのろと扉が開く。掴んだままのジャーファルの腕をぐいと引っぱった。が、ジャーファルは動かない。足を踏ん張って動こうとしない。
    「違います、何言ってんですか」
     さすがに怒ったのか、声色が変わった。だけどそんなことくらいで俺は怯んだりしない。
    「戻ります。何も言わずにあの子置いてきちゃって、悪いことしました。探してると思うんで。スマホ返してください」
     ジャーファルの言葉は一切無視して俺はエレベーターの外に出る。手は放さないし、スマホも返さない。彼女には確かに申し訳ないけれど、今はそれどころじゃない。ジャーファルはほとんど引きずられるようにしてついてくる。そのまま部屋の鍵を開けて中に入る。
    「ここ、なんなんですか」
     がちゃん、と大きな音を立てて扉が閉まった。大の男が二人で並んで立つには狭すぎる玄関で、嫌でも体が密着する。俺は屈んでジャーファルの耳元に顔を近づけた。
    「いいから、入れ」
     後ろ手に鍵を閉め、靴を脱いで上がるように顎でしめす。大きく目を見開き何か言いたげな顔してしばらく俺を見上げていたジャーファルは、結局大人しく従った。ドアを開けると正面の大きな窓の外には夜の街が広がっている。大学の広いキャンパスのおかげで視界が開けていて、意外に遠くまで見渡せる。眼下には幹線道路と高速が入り組み、隙間を埋めるようにオフィスビルが乱立している。ジャーファルはひとしきり夜景に見入った後、ぐるりと部屋の中を見回した。違和感に気づいただろうか。バカラの花瓶に活けられた豪奢な花も、カッシーナのソファも、ドメティックのワインセラーも、壁にかかった藤田嗣治のシルクスクリーンも、テレビボードに積まれたファッション雑誌も、どれも男子大学生の一人暮らしには似つかわしくない。というか、そんなもの、普通はない。反対に俺の私物はと言えば教科書とノートパソコンくらいなもので、クローゼットには高級ブランドの服が詰め込まれてはいるけど、それだって別に俺のものというわけではない。
    「誰の部屋、ですか?」
    「俺の部屋」
    「でも」
    「うそ、正確には俺のつきあってる人の部屋」
     単に寝泊まりしてるってだけの部屋だ。部屋の持ち主には自宅がちゃんと別にあって、俺に会うためにしかここにはこない。だからって個人的に誰かを連れてきたりはしない。酔っ払ってうっかり連れ込んだことは何度かあった、でもジャーファルはそうじゃない。わざわざ引っぱってきてどうしようというんだ。こんなことして何になるんだ。後先なんて何も考えてなかった。ただ、あの子と二人きりでクリスマスを過ごすのを阻止したかっただけだ。でもここでジャーファルを邪魔したって意味なんかない。せっかくいい友人でいようって別れたのに台無しだ。こんなことして、友人ですらいられなくなる。だけど俺は自分を止められなかった。自分で自分の激情にちょっとひいた。
    「話したよな、つきあってる人がいるって。俺、その人に金出してもらって学校通ってんの。この部屋も彼女の持ち物。ただで住まわせてもらってるだけ。服だって飯食いに行く金だってみんな彼女のカード払い」
     そう、この生活が成り立ってるのは全部彼女のおかげ。
    「おまえと食った飯も、水族館も映画も全部そう。俺の金じゃない」
    「それって」
     暗闇の中で、ジャーファルの真っ黒な瞳がじっと俺を見つめている。
    「そうだよ、軽蔑した?」
     振り返ったジャーファルの表情はさすがに強張っていた。だからと言って俺は弁解なんてしない。
    「あの子とこの後どこに行くつもりだ?」
    「どこにも行きません」
    「本当のこと言えよ」
    「別に嘘じゃありません。ツリーを見に行こうって誘われただけで」
     ジャーファルは俺を睨みつけた。
    「それだけです」
     こいつが怒ったところなんて、初めて見たかもしれない。いつもにこにこしてるか、ぼんやりしてるかで、どっちにしろ俺に負の感情を見せたことはなかった。ああ、ジャーファルでも怒るんだなあ。
    「あの子とつきあうために俺に別れようって言ったのかよ」
    「そんなわけないでしょう」
     そんなわけなくないだろう、タイミングだってぴったりだ。言いづらかったんだろうけど。
    「おかしいと思ったんだよ。急に別れようとか」
    「彼女はただの友だちです。つきあってなんかないし、これからつきあうこともありません」
    「告られたんだろ」
    「何で知ってるんですか?」
     影で噂になってることは知らなかったのだろう、本当に驚いたって顔だ。
    「有名だよそんなの」
     そこはさすがにちょっと同情する。
    「確かにつきあってほしいとは言われましたけど、でもちゃんと事情を説明したらわかってくれました。友だちでいようって」
    「事情? つきあえない事情って何。なんであの子には説明して、俺にはしないわけ」
    「だって、あなたには説明する必要なんてないから」
    「俺には必要ないってどういう意味だよ」
     はた、とジャーファルの勢いが止まった。困ったように俺を見上げる。さっきまでの厳しい顔つきが一変、戸惑っているような笑ってるような泣きだしそうな複雑な表情になって、それから俯いてしまう。しばらく沈黙が続いた。
    「わたしは、女の子とはつきあえないんです」
    「へ?」
     急にテンションが変わって、俺は面食らった。
    「そういうの聞いたことありませんか?」
    「そいうのって、え、同姓が好きってこと? あ、友だちにも、いる、けど」
     だからなんだ。何言ってんだ、俺は。そうか、女の子とつきあったことないと言ってたのはそういうことだったのか。単に経験がないってことかと思ってた。
    「だから別にあなたにはそんなこと説明する必要はなかったんです。別れようと言ったのは、そもそも冗談で始まったことだったのに、中途半端なままいつまでもずるずると続けてしまって申し訳ないと思ったからです。それはこの間きちんと説明しました」
    「それは聞いたけど」
     そんなふわふわした理由じゃ納得できない。意味がわからない。
    「もう、いい加減あなたを解放しようと決心しただけです。それ以上のことはありません」
    「解放ってなんだよ、それじゃ俺が束縛されてたみたいじゃないか」
    「そうじゃないけど、でもシンにとっては重荷だったでしょう?」
     う、見抜かれてた。態度に出てたのか? だからって、さすがに重荷とまでは思ってないし。どうすればいいかわからなかっただけだし。それに、
    「つきあおうって言ったのは俺だぞ。冗談だったかもしれないけど」
    「それをわかってたのにわかってないふりしてたんです、ずっと。わたしはずるいんです」
     ずるいのはどう考えても俺だろ。ほんっとーにこいつ、真面目にもほどがありすぎる。てっきり彼女ができたから別れようとか言ってきたんだと思ってたけど、本気で違うのか?
    「じゃあ、なんでクリスマスに誘ったんだよ。おまえんちでケーキ食べるとか、言ってなかった?」
    「クリスマスにうちでちゃんとその話をしようと思ってたんです。さっきの彼女は全然関係なくて、最初からそのつもりだったんです」
    「は? クリスマスにわざわざ家に呼んで別れ話?」
     え、じゃあ本当に準ミスは関係ないってこと? 俺の勘違い?
    「まわりくどっ」
    「すみませんねえ」
    「なんでわざわざそんなめんどくさいこと」
     もし今言ったことがみんな本当ならジャーファルを責める理由はまったくなくなったわけだけど、振り上げた拳はなかなか降ろせないというか、引っ込みがつかない。結局、全部悪いの俺じゃんかっこわるい。なにこれ。どうすんの。
    「さ、最後の思い出にしたかったんです。クリスマス一緒に過ごすくらい、そのくらいいいじゃないですか」
     振り絞るようにそう言ってジャーファルは顔をそむけた。そむけたのはたぶん、恥ずかしいからなんだろう。なんでそこでいきなり恥じらうんだ。怒ったと思ったら泣きそうになって、今度は急に赤くなって、意外と感情的なんだ、そうだ、こいつはそういうやつだった。にこにこしてるばっかりじゃない、つまんなそうな顔して遠くを眺めてるばっかりでもない。そう気づいて、それが意外で、おもしろいなって思って、それを忘れてたんだろうか、俺は。
    「クリスマス一緒にって、なんだよおまえは女子か」
    「クリスマスに性別関係ないでしょう」
     そりゃそうだけど。
    「そのくらいだったら最後にお願いしてもいいかなって」
     ジャーファルはすんっと鼻を鳴らした。
    「だからさっきからさあ、最後ってなんなんだよ。勝手に最後にすんなよ」
    「あなたこそなんなんですか、シン。わたしのことなんて何とも思ってないくせに。友だちになったんじゃなかったんですか、あなたがそう言ったんですよ? 友だちが誰と一緒にいようと関係ないじゃないですか」
    「か、関係なくねえよ。おまえがあの子とつきあうから」
    「だからつきあってないって言ってます! それに、もしそうだとしてそれの何が問題なんですか」
     そんなの問題に決まってるだろ。大体からして、
    「だって、おまえ俺のこと好きなんだろ」
     ジャーファルの顔が一瞬で凍りついた。口唇を噛み締めて震えている。たぶん言わないほうがよかったやつだ、これ。好きとか好きじゃないとか、そういうのを言われたことはなかった。俺だって言ったことなかった。でもきっとそうなんだろうなという気はしてたのだ。そのくらいは俺でもわかる。ただし、さすがに言い過ぎた。かもしれない、と怯んだ瞬間。ジャーファルは俺のダウンジャケットを力強く引っ掴んだ。へ? 身構えようとするも間に合わない、俺は思い切り投げ飛ばされていた。
    「う、わっ」
     背中からベッドに倒れ込む。い、たくはないけど、びっくりした。こいつ、意外と力がある。びっくりしすぎて仰向けに倒れたままぽかんとなってる俺の上に乗り上げて、ジャーファルはぎゅっと肩を押さえつけてきた。前髪の隙間から俺を見下ろしてる二つの目はぞっとするほどに無表情だ。ぎりぎりと骨が軋む。
    「じゃあ、あなたわたしのこと抱けます? 無理ですよね」
     聞いたこともないくらい冷たい声。思わず身震いする。これは本気で、怒らせてしまったのかもしれない、たぶん。
    「つきあうって何するんですか? 一緒に出かけて、ご飯食べて映画見て、別にわたしはそれだけで十分でしたけど。あなたはそうじゃないですよね」
     そんなんで十分てなんだよ、修行僧かよ。俺はそうじゃない。だから悩んでたんだ、ずっと夏からこっち、そのことで頭がいっぱいだった。つきあうって言ったら抱きしめてキスしてセックスするだろう、普通。少なくとも俺はそうしたい。
    「だったらおまえはどうなんだよ、俺とできんのかよ、そういうことが」
     猛烈に腹がたった。手が触れたくらいで飛び上がってたくせに。俺のことが怖かったくせに、ずっと。今さら何を言い出すんだ。
    「こっちが聞きたいくらいなんだけど」
     勢いよくジャーファルの襟ぐりを掴む。そのままベッドに引きずり倒して、仰向けになったジャーファルに馬乗りになる。形勢逆転。なんだこれ、柔道か。コート着たままの男が二人、電気もつけずになんでベッドの上で取っ組み合ってるんだ。でも、我に返る余裕なんてない。今はそんなことどうでもいい。
    「ちょっとやめてください」
     慌てて体を起こそうとじたばたもがくジャーファルをさらに強く押さえつける。さすがに体重は俺の方が重い。両手首を掴まえて、抵抗を封じる。
    「シン、痛い」
    「うるさい、じっとしてろ」
    「はなして」
    「抱けるかって? おまえ、よく俺にそんなことが聞けたな。だったら試してみろよ」
     かちん。と余計なスイッチが入った。自分でよくわかってる。俺は今頭に血が上ってるんだって。押さえつけたまま、強引に口唇を押しつける。キスというよりはむしろ口と口がぶつかった。
    「ん、んんん」
     ジャーファルは頑なに口を開こうとしない。それでも俺はあきらめない。舌で口を割り開こうとする。
    「やめて」
     すっかりムキになってた俺は、その一言で我に返った。力でねじ伏せるなんて趣味じゃない、押さえつけていた手を放す。
    「じゃあ、いい、無理にはしない。嫌だったらひっぱたけよ、やめるから」
    「え?」
     汗で額に貼りついた前髪をかき上げて、まずはそこに一度。それからまぶたの上に、こめかみ、頬にも一度ずつ。ジャーファルのあちこちに丁寧に口づけていく。
     抱けるかだって? そんなのできないわけがないだろう。俺を舐めすぎだ。相手が悪かったな、ジャーファル。手練手管も得意だが、実技はもっと得意だ。攻めて落とせなかった相手なんていない。夏からこっち、さんざんぐだぐだと悩んできたことなどすっかりどこか棚の上に押しやって、俺は俺の土俵の上にゆらりと立ち上がる。唾液で濡れてぽてりとふくらんでいる柔らかい口唇を人差し指でむにっと押した。
    「ここ、いい? キスしても」
     すっと目を細め、口角を押し上げる。
    「へあ?」
     かんっぜんに混乱しまくってる顔で、ジャーファルは間抜けな声を出した。
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    海老🦐

    DOODLE院生シン様×学部生ジャーファル 10-2
    これで最後です。
    おつきあいくださりありがとうございました!
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     ちょうど改札を出てくるところだった。手を振る前にこちらに気づいて、へらっと笑った顔がかわいかった。シンの、そういうちょっとした仕草が愛おしくてたまらない。
    「二次会、ジャーファルも来ればよかったのに。三年も結構来てるやついたぞ」
     駅構内にはまだ人がたくさんいるのに、シンは構わずに抱き寄せてくる。人前だろうがなんだろうが隠れたりしない。
    「いやですよ、だって絶対シンが酔ってべたべたしてくるもん」
    「なんでだよ、別にいいだろ。俺、みんなの前でおまえとつきあってるって言ってもいいよ。むしろ言いたい」
    「ぜったいにダメです」
     むーーっと口を尖らせて寄せてくる顔をブロックして体を引き剥がす。シンは抵抗ないのかもしれないけど、わたしはさすがにちょっと人前は。
    「ええ、何それひどくない? 俺とつきあってるって知られるのやなの?」
    「嫌ですよ、ゼミの中だけでもあなたのこと好きな女子が何人いると思ってるんですか? あなたは卒業したら関係ないかもしれないですけど、わたしはまだあと一年あるんですよ? いたたまれないですよ、そんなの」
    「へえ、ジャーファルってそう 4653

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    海老🦐

    DOODLE院生シン様×学部生ジャーファル 2
    現パロ大学生シンジャです。続きです。

    ほんとシン様が女の子にだらしないので、苦手な方は避けてくださいー
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     研究室の冷房はいつも効きすぎていて、長時間籠もっていると外がどんなに猛暑でも手足が冷える。俺は特に、素足にサンダルだし。
    「はい、どうぞ」
     紙袋から取り出したホットコーヒーの紙コップをキーボードの横にちょこんと置くと、ジャーファルが顔を上げた。眼鏡の奥からこっちを見上げる目が真ん丸だ。
    「え? あの」
     明らかに戸惑っている。
    「この間のお詫び。せっかく誘ってくれたのに断ってごめんな」
    「そんな、お詫びだなんて。こっちがお礼をしたかったのに」
    「いいの、いいの。この部屋寒いだろ? ホットの方がいいかなと思って」
     ためらいがちに手を伸ばして紙コップを手に取る。ジャーファルがふわっと笑った。またあの笑顔だ。なんでかそれを見て安心した。
    「ありがとうございます、嬉しいです」
     ジャーファルはおずおずと両手で持ってふーふーしながら口をつけた。女子かよ! 喉まで出かかった突っ込みをごくりと飲み込む。蓋に小さくくり抜かれた飲み口からいくら息を吹き込んだところで無駄だろう。
    「ところで教授は? もしかしてお昼行っちゃった?」
    「いえ、出かけてます。戻りは 3879

    海老🦐

    DOODLE院生シン様×学部生ジャーファル 3
    現パロ大学生シンジャです。続きです。

    前回から間があいてしまってすみませーん!
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     俺は本当にばかなんだと思う。もう二度と酒なんか飲むべきではない。何やってんだ。
    「なら俺とつきあってみる?」
     じゃない。つきあってみるわけがない。いくら酔ってたからって、何であんなことを言ってしまったんだろう。ジャーファルだってジャーファルだ。そんなの、何ふざけてんですかーとか、適当に笑い飛ばしてくれればよかったのに。大体つきあうって何だ。何をするんだ。あいつと俺で。自分で言っておきながら何もわからない。想像しかけて途中でつらくなる。それはあり得ない。俺は女の子が好きだ。かわいくてやわらかくて華奢で抱きしめたらいい匂いがするような女の子が好きなんだ。
     ああ、ジャーファルも同じように酔っ払ってて、都合よく全部忘れてくれてればいいのに。今はその可能性にかけたい。

     そっと研究室の扉を開けた。おそるおそる覗き込むとパソコンモニタの向こう側のジャーファルと目が合った。俺に気づいたジャーファルは恥ずかしそうにためらいがちにちょっとだけ微笑んで、それからさっと視線を手元の資料に戻してしまう。耳たぶが赤い、ような気がするたぶん。
     俺は心のなかで二十回 7218

    海老🦐

    DOODLE院生シン様×学部生ジャーファル 7
    現パロ大学生シンジャです。続きです。

    おそいうけ~~
    ----------------



    「ちょっ、ちょっとシン!?」
     わめくジャーファルを引っぱってエレベーターに押し込む。閉じるボタンを連打すれば、ゆっくりと扉が閉まってエレベーターは静かに上昇し始めた。もう逃げ場はない。それでも俺は手を放さない。
    「痛い、はなしてください」
    「はなさない」
     狭い箱の中で向き合う。俺は口を真一文字に結んで押し黙ったままでいる。明らかにジャーファルは戸惑っているけど、そんなことはどうでもいい。スマートフォンが鳴る。俺のじゃない、ジャーファルのだ。掴まれていない方の手でバックパックのポケットから引っ張り出したスマホを、俺はすかさずジャーファルの手から取り上げた。
    「あ、待って」
     鈍く光っている画面を見る。知らない名前だ。たぶん準ミスだろう。
    「返してください」
    「だめ」
    「さっきの彼女からです」
     だからだめなんだろうが。俺が答えないでいると、諦めたのかジャーファルはため息を一つ吐いた。
    「一体どうしたんですか、いきなりこんな」
    「おまえ、あの子とつきあってんの? 俺と別れて」
    「はあ?」
     ジャーファルは思いきり眉根を寄せた。
    「俺の代わりにあの 5976