Aの肖像 新たに合流した少年、アキラはなんとも不思議な雰囲気を持っていた。短く刈られた白い髪や十歳と言う年齢にしては上背もあり体格も良い。スポーツを嗜んでいるか外を元気に走り回るヤンチャのようにも見える。しかし血のように深い赤色の瞳はキラキラと輝いているようにも、老成しているようにも見える。しかし全体的には子どもらしく、会話も行動も思いつくままなところがあった。
「与一の薔薇は、赤いんだな」
与一に懐いたようで、手を繋いで歩きながらアキラが言った。
「そうだね。アキラくんの薔薇は……」
「黄色!」
少しだけ嬉しそうに語尾が上がるのが自慢げで可愛らしい。
「駆藤のは青い薔薇なんだな」
前を歩く駆藤の手元を見ながらアキラが言った。
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