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    門キラ手紙本の没原稿、その3。台詞とト書きのみ。この辺から不穏。

    Dear Deer, From Moyuk -3-【飲み会】
    ・酔ったキラウㇱ、珍しく可愛い
    ・門倉に寄りかかってきてどぎまぎ
    ・キラウㇱ寝落ち、仕方ねえなあと寝顔を眺めているうちにだんだん絆されていく門倉も寝落ち
     
    【夢】
    ・座敷に充満する獣の臭いで目が覚める
    「そろそろ食ってもいいぞ、門倉」
    ・何かが鍋でぐつぐつと煮え立っている
    「うん、旨ッ……ところでこれ何の肉?」
    「ラッコだ」
    「へえ〜、ラッコ……ラッコ⁉︎」
    ・ラッコ鍋の効用を以前聞いた門倉、咽せる
    「なんでんなもん食わせるんだよ!」
    「構わないだろ? もう結婚したんだし」
    「結婚⁉︎」
    ・目を剥く門倉
    「待て待て待て待て、いつからそんなことになった?」
    「花札で俺が勝ったら結婚するって言ったじゃないか」
    「いくらなんでもいい加減すぎるだろ……」
    ・門倉、頭を抱える
    「……火照ってきたな……」
    ・ルウンペを脱ぎ出すキラウㇱから目を逸らす門倉、衣擦れのみ響く
    「門倉……」
    ・振り向けば全裸のキラウㇱ
    「馬鹿お前服着ろ、ッ⁉︎」
    ・キラウㇱにしなだれかかられ、平静を装えない門倉の耳朶を甘噛みしてキラウㇱ囁く
    「食っていいぞ。お前の好きなように」
    ・門倉、ごきゅり、唾を飲み込む。あれほど忌避していた色恋に自ら溺れていく
    ・キラウㇱの頰に手を触れかけるも、肩を掴み
    「ッ⁉︎」
    ・キラウㇱを突き飛ばす
    「門倉……」
    ・据え膳に乗らなかった門倉へ、明確な軽蔑の眼差しが刺さる
    ・舞台、暗転
    ・再び明るくなった門倉がいたのは、かつて家族と暮らした部屋
    ・玄関に嫁と娘が立っている。それぞれ大きな荷物を持ち、門倉に背中を向けている
    「あ……」
    ・彼女達が振り向く。妻は何の感情もなく、娘は酒まみれの吐瀉物でもみるかのような目つき 呆然とへたり込む門倉は手を伸ばし
    「……待っ」
    ・二人は出ていく
    「待ってくれ……‼︎」
    ・懇願空しく、妻も娘も出ていく。彼女達を追って玄関を出た先、視界が濁る
    ・今度はがたごと揺れる汽車、周囲は第七師団の死体の山。惨状の中、独り刀を提げて立っているのは
    「ひじかたさ」
    ・門倉に微笑む。頭は柘榴のように割られ、白髪は血に染まっていた
    「あ……」
    ・門倉、へたりと膝を屈する。びゅお、と寒風が吹き荒ぶ。この凍てつく寒さは網走監獄、床は血まみれ。立ち上がって何かを踏んだ
    ・紺色の鉢巻。着物。白い毛皮。靴。血の気のない手、青褪めた顔、それは。
    「……ぅわぁあああああッ‼︎」
    ・門倉、絶叫
    「キラウㇱ、キラウㇱ、キラウㇱ‼︎」
    ・死体を揺さぶって何度も名を呼ぶが、濁った目に映るのは虚空のみ。
    「おい、起きろよ。こんなところで寝てるんじゃねえよ、貧乏人」
    ・震える声で促して、右手を両手で強く握りしめるも、固まった冷たい手が握り返すことはなかった。
    「ほらな、どうせ最後はこうなる」
    ・聞き覚えのある声に振り向けば、看守服姿の門倉、家族と暮らしていた時の普段着姿の門倉、黄金争奪戦時の門倉、子供の門倉に
    「なんでこいつだけ特別だと思った? 人でなしのくせに」
    「お前に他人の心なんてわからねえよ」
    「俺の凶運のせいでみんな不幸になるんだ」
    「父上は敗けた。あの新撰組だって敗けた。おれなんかが勝てるわけがない」
    ・看守門、門倉を見下し「勝てねえ喧嘩はしねえ主義だろ」

    【現実】
    ・目覚めた門倉、はぁ、はぁ、と息が乱れる。額には脂汗がべっとり、顔を押さえる
    「門倉」
    ・いつのまにか起きていたキラウㇱ、門倉を案じる
    「大丈夫か?」
    「……もういいって、そういうの」
    ・肩にかけられた手を外す
    「お前さぁ、いちいち他人の世話焼きすぎなんだよ。ガキじゃねえんだぞ」
    「放っておけない」
    「放っておけよ‼︎」
    ・門倉の大声が寝室を劈いた。びくりと怯んだキラウㇱを睨みつけ、
    「いつもいつも近すぎるんだよ、お前は。人様の領分にずかずか入ってきやがって」
    「……悪かった。そんなつもりじゃなかった」
    ・ひどく傷ついているキラウㇱに良心が疼きつつも、あくまでこれからもいい友人としてやっていきたい旨を告げる門倉
    「友人……」
    ・絶望的な声で復唱するキラウㇱ
    「……そう、だな」
    「それじゃ、おやすみ〜」
    ・絞り出した欠伸ひとつ放って、キラウㇱに背を向けるようにごろりと横になる。
    「……アプンノ シニ ヤンおやすみ
    ・消え入るような声で呟いたキラウㇱから、逃れるように目を瞑る門倉
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