酔っ払いの主張 俺も三ツ谷も仕事の繁忙期を乗り越えた金曜日、明日はお互い休み。とくれば自然と夕飯は外食になり、久しぶりに2人でゆっくり過ごす時間に、飯も酒も進んだ。こんな深夜まで飲んでいると、いつもは帰りにタクシーを使う。しかし今日は、酒が入って上機嫌な三ツ谷が
「明日休みだし、折角だから夜の散歩と洒落込もうよ。」
なんて店を出て1人先に歩き始めたものだから、30分ほどかけて自宅まで歩いて帰ることになった。まぁ俺も三ツ谷も相当飲んでいたので、酔い醒しにはなるだろう。
――
大通りから一本外れて、人気のない道を進む。
「さみぃ!」
途端に、三ツ谷が俺のコートのポケットに手を突っ込んできた。さっきまでマフラー暑いって騒いでたのは誰だ。
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