マフラー 今日も三ツ谷の家に遊びに来た大寿は、家に入ってすぐにテーブルに置いてある小さなマフラー2つと刺繍糸が目に入った。マフラーにはそれぞれ、某テーマパークの某ネズミのキャラクターが刺繍されている。
「この刺繍、テメエがやったのか。」
「ん、そう。保育園で流行ってるらしいんだけど、キャラクターグッズって高えじゃん。」
だから縫ってみた、とこともなげに言う。一体どれくらいの労力がかかっているのか。三ツ谷は、相手に対する自身の行為を軽んじてるところがある、と大寿は思っている。
(この一鍼一鍼に込められているのは三ツ谷の愛だ。)
大寿は小さなマフラー達に施された刺繍をそっと撫でる。
「三ツ谷。」
「んー?」
「...俺のマフラーにも刺繍入れてくれっていったら嫌か。」
1286