どうやって一人で生きてきたのか疑問に思うことが、ままあった。働きもしないクセして出所不明の黒いカードと駅近高級タワマンのワンフロア持ち。衣食住に困らないのは差し置いても、生活力は皆無と称して良い程に見当たらない。カップラーメンも作れないし、レンチンも出来ない。音楽に没頭するとベッドで寝る事すら忘れる。嘘だろって思うような生態がそこには存在していた。
何処を切り取っても無機質な部屋に、ある時ふと、檻のイメージを重ねたが、飼い主の姿を見た事は未だかつてない。ならばコイツは、捨てられた獅子なんだろうか。道化のメインステージに無理矢理立たされた後はもう用済みになってしまったのだろうか。
いつ死んでもおかしくない男。
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