Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    let_it_tei

    @let_it_tei

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 24

    let_it_tei

    ☆quiet follow

    姿と花束について
    いつぞやの姿宮の対・答え合わせのような話

    #機龍警察
    machineDragonPolice
    #姿宮
    attire

    絶好のデート日和 城木は、先日起こった事件の被害者が入院している総合病院に向かっていた。作成していた資料に齟齬が見つかり、その確認を被害者に行う必要があった。城木が直接足を運ぶ必要があるのか、と宮近に訊ねられたが、学生時代から面識のある父の知人なのだと言えば、それ以上何かを言われることはなかった。
     道沿いには様々な店が軒を連ねているが、菓子店や花屋が多く見受けられる。おそらく見舞いの品として求められるのだろう。菓子店には飲食スペースが設けられているところもあった。
     花屋の前を通りかかったとき、聞き慣れた声がした。
    「じゃあそれで頼む」
     通りすがりで用がないのに覗くのも、と思いながら、つい店の中を見てしまった。そこには白髪を後ろに流し、ブルゾンジャケットを羽織った男が花屋の店員と言葉を交わしていた。
     城木が耳にしたものからして、ちょうど注文を終えたところなのだろう。店員は姿の元を離れ、花が活けられているフラワーキーパーから何種類か花を選び始めていた。
     姿は今日非番だ。休日を過ごしている部下に声を掛けるか否か、城木は僅かに迷った。そつないやり取りはできるだろうが、果たして彼はこの場で自分に話しかけられることを望んでいるだろうか。
     城木は今、聴取のためとはいえ、見舞いに向かっている。その道中の花屋で、部下である姿
    を見つけた。彼と花屋を発見した前後関係はともかく、これから向かう先の見舞いの品として花束を持っていくのはいいかもしれない。
     声を掛けるための口実は、点と点を結ぶような時間もかからず、滑らかに混ざった。良心の呵責――一瞬だけ過ぎったその言葉を、城木は強く握り締めて胸のうちに納めた。
    「――姿警部」
     瑞々しい花の香りを含んだ冷たい空気が城木の肺を満たす。
     名前を呼ぶ前からこちらの気配には気づいていただろうに、姿はさも今気づいたと言わんばかりに城木を見た。
    「城木理事官。この辺に何か用でも?」
    「高西病院へ聴取に向かうところです」
    「理事官自らってこともあるんですね。用心棒は必要ですか?」
    「いえ。非番の警部を連れ出すわけにはいきませんから」
    「休日手当さえ弾んでくれれば俺は構いませんよ」
     理事官である城木は、龍騎兵の搭乗員であるそれぞれの部付警部たちの契約条件を把握しており、その項目の中に命令に拒否権がないことも、どんなに困難な命令を下されても契約金以上の金額は発生しないことも分かっている。姿もそれを知った上で言ったのだろう。普段の彼の言動を踏まえればこれくらいの冗談はあり得る。
     姿が注文した花束を作っている店員とは別の店員が城木の元にやってくる。見舞い用であまり大ぶりではないものを、と注文を伝えれば、店員は慣れた手付きで花束を作り始めた。
     姿の注文を受けた店員の作る花束は、白百合を中心に作られていく。明確な違和感が城木の中に生まれた。見舞いに持参するには似つかわしくない花だからだ。現に見舞い用にと注文した城木の花束は、オレンジを基調とした定番のものに仕上がりつつある。
    「お待たせしました。お会計をこちらでお願いします」
     店員は白百合の花束をレジ横に置いて姿を案内する。会計する姿は財布を出すのに少し手間取っていて、彼でもそういうことがあるのかと城木は少し意外に思った。懐の銃を抜くのと同じくらい滑らかな手つきで何でもこなすと思っていたのだ。
    「……姿警部はよく花を買われるんですか?」
    「なんで」
    「いえ……買い慣れているというか、様になっているので」
     以前、色こそ違えども姿が花束を持っているところを見たことがある。あの日は、他部署との調整に向かう城木と入れ違うようにして、姿が理事官二人に宛てがわれた執務室のある方向へ歩いていたのだ。そして、そのとき姿が携えていたのが、オレンジ色の鋭い花びらがやけに鮮烈な花束だ。鋭角的なオレンジの花が鮮烈に過ぎたのか、庁舎で花束を携える男が目に焼き付いたのか――いずれにせよ、城木の記憶に姿と花束は強烈なものとして刻まれた。
     他部署との調整のため朝から残業が決まっていた城木とは違い、宮近は抱えている案件に一区切りがついたということで勤務時間を少し過ぎたところで帰ろうとしていた。
     庁舎の配置として、理事官の執務室は部付警部の待機室よりも奥にある。通りすがりということは有り得ない。姿は目的があって執務室に向かったのだろう。


    花束という非日常を携えていたのは

    その目的を

    無関心を装う



    あのとき、執務室にはまだ宮近が残っていた。




    花束持って墓参りに行くことを「デート」と言う姿

    前回の花束は宮近に渡すためのもの
    宮近の退勤間際に姿は花束を渡したが、ユーリと姿が交代だったように城木と宮近も入れ違いで、姿が宮近に花束を渡すところを城木が見ていた
    (ここまで前提)

    城木視点からスタート

    姿が事件現場(?)近くの花屋にいるのを見た城木
    声をかける


    まさかこの前宮近に渡しているところを見た、と正直に言うわけにはいかない。二人の空気はどこか秘密めいていて、何がそうさせるのかは分からないが、城木はあの光景を見ていたと本人たちを含め誰かに言いたいとは微塵も思わなかった。

    「そう見えてるなら光栄だな。男ぶりが上がるってもんだ」

    姿の頼んでいた花束が出来上がったらしい。店員が(花の名前か色)でまとめられた花束を姿に渡すと、彼は「どうも」と軽く笑みを浮かべて受け取った。

    「これからどちらへ?」

    特捜部の面々の動きは頭の中に入っている。特に突入要員の三人は特捜部の要だ。姿は午後から非番(?)となっており、だからこそこの場にいることが不思議なのだ。

    「デート」

    その言葉を聞いて、城木の頭に浮かんだのは、オレンジの鋭角的な花びらと同期の(顔の形容)だった。
    こみ上げてくる見てはいけないものを見てしまった気まずさと、これ以上追及してはならないという直感に従い、城木は会話を切り上げようとした。しかし、それよりも先に姿が城木の横を抜ける方が早かった。黙って見送れば、(花束の形容)がブルゾンの肩越しに見える。
    姿の行く先に、特捜部が入っている庁舎(?)は、ない。


    姿視点

    失敗したな、と思えど、遭遇をどう回避しろというのか。否、それは怠慢だ。ここは(特捜部か事件のいわくつきの場所の近く)なのだ。特捜部関係者が訪れるのは考えずとも分からなければならないことで、だからこそ避けなければならなかった。戦場ならば踏み込んだ時点で死んでいる。
    手短なところで済まそうと(怠慢じゃなくてサボる的な単語)したのが悪かったのか。

    これから向かう場所を考えればあまりにもよくない考えだった。姿は死ぬつもりはない。死を感じ取り、受け入れてしまったものから命を落とす。
    自分が殺した→姿が相手を死に導いた→相手が姿を地獄に引きずり込もうとしていても、今はまだ命を落としてこれ以上の地獄に落ちるつもりはない。

    「生憎とまだお前らと添い遂げるつもりはないんだ」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😊😊😊
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works