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    もがみ

    @mogamidesu

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    もがみ

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    カインくんバースデー2022のカドストねたばれが含まれています
    何でも許せる人むけ

    特別な日「……やった。やったぞ。成功した!」
    そう言って、夜を見上げる姿が、やけに眩しかった。
    どうやら、最近練習している旋風の魔法に成功したらしい。風の渦がゴウゴウと大きな音を立てている。木々を揺らし、枝葉を中心に巻き込むその性質は、どこかカインに似ていると思った。

    ものの数分もしないうちに、旋風は消えた。故意的に魔法を解いたからだ。カインは賢者様と話をしていた。

    赤とか、騎士とか、目標とか。
    そんなカインらしい単語が次々と聞こえてくる。

    「……」
    僕の視界は、信じられないくらい、チカチカと煩かった。
    本当に鬱陶しい。いく千の星々より、絶対的な厄災より、今は剣を持つ男が何よりも眩しい。僕が、おめでとう、なんて言うわけないでしょ。

    きみが嫌いだよ。

    僕からの祝福の言葉を受け取って。


    ​───────​───────​───────​───────



    「おや、どうぞこちらの席へ」
    その日の日付が変わる前に、気まぐれでシャイロックのバーに寄った。店主は僕の顔を見るなり、席を進めてきた。指先の方向には、見覚えのある姿が。カインはグラスを持ったまま、間抜けな顔で眠りこけていた。

    「……サングリア。死ぬほど甘くして」
    僕は促された席の1つ隣に座った。素直に言うことを聞くのも釈だし、全く違う場所に座るのも逃げたみたいで嫌だっだ。

    「先程まで、中央の魔法使いたちと楽しんでいらしたんですよ。明日に響くといけないと、オズがリケとアーサーを送っていったんです。ふふっ、本当に可愛らしい方。オズが戻る前に、寝てしまうなんて」
    僕が席に着いた途端、店主はカインのことをペラペラと話し始めた。
    「そんなこと聞いてない」
    「ふふっ、心配なさらないで。ただの独り言です。付き合って頂いたお礼に、あなたが好きなチョコレートをサービスしますよ」
    僕が睨んでも、店主は面白可笑しそうに微笑むだけだった。西の魔法使いに付き合うと録なことがない。それでも、僕が此処に来るのは、この店のカクテルがどれも別格だからだ。だから、僕が此処に来たのも、今すぐ帰らないのも、仕方がないことだった。


    「……んっ」
    カクテルを飲んでいると、小さな呻き声が隣から聞こえてきた。
    右を見れば、カインが少し苦しそうな顔で唸っていた。どうやら、夢見があまり良くないらしい。

    「……うっ」
    眉間に皺がグッと寄る。
    グラスを握る手に力が入ったのが分かった。
    一体、カインはどんな悪夢を見ているのだろうか。
    苦手な蛇と戦う夢?
    それとも、僕に負けたあの屈辱的な日の夢?
    後者だったら、良いと思った。夢でも僕に苦しまされるなんて、可哀想な騎士様。今、お前の隣には、その天敵がいるんだよ、と、何だか無性に知らせてやりたくなった。

    「ふふっ……」
    僕はカインにそっと近づき、起こす準備をした。心臓が飛び出るくらい、ぎゃっ!と悲鳴を上げさせるくらい。そう企みながら、呪文を唱えようとした。その時。

    「しずか……こ……きゅう……せいじつ……せい……れい」
    カインの口から、途切れ途切れに、単語が紡がれた。

    「あ……」
    呪文を唱える筈の口は、間抜けな母音だけを発していた。

    静かに、呼吸、誠実、精霊

    カインの発した単語は、僕が教えた言葉だった。
    そのことを飲み込んだ途端、急に酔いが回ったのか、全身が熱くなった。酔いが回ると頭が悪くなる。だから、その時の僕はとても馬鹿だった。何を思ったのか、呪文を唱えた。自室へ繋ぐ転移魔法だ。


    「はぁ……はぁ……何なの……」
    自室について、初めて気づいた。息が上がっている。汗をかくのも久しぶりだった。

    ドアを背もたれに床へ座り込む。
    腕の中にいる、チョコレート色は穏やかな寝息を立てていた。
    何で、僕はカインも連れてきたんだろう。
    考えたって、分かりやしない。
    それよりも、早くしないと。
    カインが起きる前に、早く部屋から放り出さないと。
    そう分かっていても、すぐには動き出せなかった。
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    もがみ

    DONEオーカイwebオンリー開催ありがとうございます!! カインくんお誕生日おめでとう!!
    お誕生日に関係ないお話でごめんね。夏生まれが、8月生まれがとっても似合うと思っています

    以下、注意書き
    ・第2部20章のセリフを一部引用しています
    ・基本、二人が殴りあっています
    ・本編から数年後の世界で、上手く悪意を取り込めなくなったオーエンと混乱するカインのお話です
    何時でも、捨てられる筈だった※注意書き必読でお願いします


    北の魔女は言う。

    私たち北の魔法使いは強く、自由に、生きるためには、無くてはならないものを、持ってはいけない。

    この世で最も孤独な魂。
    それ故に、無敵なのだ。

    ​───────​───────
    ​───────

    「誰だ」
    真夜中に、カインは文字通り飛び起きた。
    眠りの中で感じ取った悪意に引きずりだされ、掛け布団を盾の代わりに構える。寝台の上に小さくしゃがみ、右手には魔道具の剣を握っていた。

    「って……オーエン。どうしたんだ、こんな夜中に?」
    視界が暗順応しはじめると、そこにぼんやりとした白い影が浮かぶ。触れなくても姿が見えることから、それがオーエンだと、カインは直ぐに気づいた。

    今宵の魔法舎は不気味なほど静かだった。
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