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    tobun

    @misomisoshiruko

    ささくう、いちくう小説など。
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    普段は1️⃣2️⃣でやらせて貰ってます〜

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    tobun

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    24×17ささくう

    ドロライのお題お借りしました〜

    お題:着脱

    #新生MCD
    freshmanMcd
    #作品でグータッチ
    #4人のグータッチ
    #簓空
    #ささくう
    operationalSpace

    着脱お題:着脱

     バンダナを外される瞬間が好きだ。
     正確にはそれを外す簓を見るのが好きだ。
     硬くなった結び目を引っ張る時、華奢な手の甲にボコっと骨と血管が浮き上がってちょっと意識してしまう。いつもはヘラヘラ笑っているだらしない口元が片方だけ上がり、柔らかくなった結び目に嚙みついて解していくその仕草に心が奪われる。下を向き、薄らと覗く瞳がこちらを向いて挑発してくるのもグッとくる。完全に解けたバンダナの端を持って、見せつけるようにしながらシュルシュルと剝がしていく時の得意げな表情が、堪らなく、好きだ。
    「今日は一段とキツく結んでるやん」
    「さっき一郎が結び直したからな」
    「ふぅん。腹立つわ」
     腹が立っているにしてはバンダナを丁寧にサイドテーブルに置いてくれるところとか。拙僧や一郎がどれだけそのバンダナを大切にしているのかを知っているからこそ、だ。
    「ほな、先風呂入ってき」
    「ん」
     拙僧の指を親指でスリスリと撫で、そして、そのまま手の甲にキス。
     どこの王子と姫様だっての。生憎拙僧はそんなガラじゃねぇし、じゃじゃ馬だから手綱なんて握らせやしねぇのに。それでも心臓は煩いし触れられた手の甲は熱い。早く風呂を済ませて、だけど隅々まで清めて、それで、後は……。
     荒行をこなしていても煩悩に眩むことはある。それは拙僧がまだ未熟なことを物語っているわけだが、当時はまさか人と人が、ましてや拙僧がこんなことをするなんて考えていなかったからで。それにこの色欲には抗う必要がないのではないか。そうとすら思う始末で。
    「行かへんの?」
     左馬刻の事務所を出て一郎と明日の為に今日という日を別ち、そして簓の家で「Naughty Busters」の証を剝がされて〝波羅夷空却〟という一人の人間の性を剝き出しにされる。それが酷く心地好くていつの間にか抜け出せなくなっていた。
     拙僧の命は相棒である一郎と共にあるが、心と身体は簓にくれてやっても良い。否、もうくれてやっている。
    「どしたん?」
     跪いていた身体を起こして簓が奇抜な色のネクタイを緩めた。拙僧には解かせてくれないのがちょっとだけ悔しくて、薄っぺらい胸板目掛けて抱き着いてやる。大人は狡い。
    「一緒に入ろか」
    「……ん」
     そしてガキもまた、小賢しい。

    ***

     アラームの音と共に意識が呼び戻される。夢は覚えていない。途中何度か隣で寝ている空却の寝返りに巻き込まれて起こされたけど、まぁそれなりに眠れたように思う。
    「よぉ、やっと起きたか?」
    「……アラーム通りなんやけど」
     だけど少し自信がなくて握ったままのスマホをタップする。時刻は七時。時間通りだ。
    「起きたんなら朝飯買いに行こうぜ! 冷蔵庫すっからかんじゃねぇか」
    「んー、財布渡すから適当に買うてきて」
    「一万円くらい入れとけよ」
    「なんでやねん」
     そういって散らばったままの衣類から財布を探し始めた。派手な色のタンクトップから尻たぶが覗いて目の毒すぎる。修行だか趣味だかで鍛えているお陰で筋肉の形がよく分かってしまうのも良くない。子供なのだからもっと丸々していても良いのに。
    「先服着たら好きなだけ入れたるわ」
    「おっ、マジか」
     朝から一体何を買うつもりなのかは知らないが、嬉々として自分の服を集め出した空却に溜息を一つ。
    「お前の服持ってきて、俺の方……ここ、せや」
     そしてベッドにほぼ裸な空却と昨晩ひん剥いた服を並べ、今度は着させてやる。ヨレはじめたボクサーパンツと、毛羽立ちが目立つ黒いズボンと確実に高価であろう数珠。朝飯がかかっているからか大人しくされるがままで現金なやつ。
    「スカジャンいる?」
    「着てく」
    「おん」
     ちゃっかり腕まで広げて「着せてくれ」と強請り始める始末で。可愛いから着せてやるけども。
    「財布……ズボンの方やったっけ……」
     漸く布団から足を出してベッドの脇にあるズボンを手繰り寄せる。記憶は当てにならないもので、ジャケットと共に転がり落ちていた。
    「おい、ついでにバンダナ」
    「簓さんはバンダナじゃありません」
    「寄越せ」
    「もー……ほい」
    「サンキュー」
    「ん……」
     空却がバンダナをつける瞬間が好きだ。
     正確にはそれをつける空却を見るのが好きだ。
     端と端を器用に持ってクルクルと巻いていく。猫のように吊り上がった大きな目がちょっとだけ細くなって険しくて、それが可愛い。ゴツさの中にも子供のあどけなさを残した手の甲からぷっくり骨が浮いて、肌が白いから血管の青もよく見える。一度結んだ箇所を器用に押さえる指先だとか、昨晩さんざん汚された口で二度目の方結びを仕上げる仕草とか。罪悪感と優越感がぐしゃぐしゃに混じって、生を感じる。それに、肝心のバンダナだけは絶対に着けさせてくれないところとか、特に、好き。
    「つけた?」
    「おう」
     波羅夷空却という一人の人間から〝Naughty Busters〟の空却に変わる瞬間が、堪らなく好きだ。
     この瞬間からもう空却は俺だけのものではなくて、一郎の相棒で。俺も左馬刻の相棒で。変かもしれないけれど、俺がメイクアップして人の元へ送り出している感じが好きなのかもしれない。
    「あーーーー! 財布すっからかんやん!」
    「はぁ!?」
    「おろさなあかんから俺も行くわ。ちょお待っとって」
    「んだよ、さっさとしろよ」
     だけどやっぱりちょっと悔しいから、嘘を吐いて隣に並ぼうと思う。大人は狡いから。


    Fin
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    tobun

    DONEドロライのお題「グータッチ」「匂い」を借りました。

    20×20のいちくうとMCD兄貴たち。
    人格破綻〜の台詞を見て以来、何年も空却に言わせたかった台詞を漸く使えました。開始2行で終了しているので内容はありません。皆総じて馬鹿です。
    20×20いちくう「グータッチ」「匂い」「お前、相変わらず人格破綻してんのな……」
    「ハァ!? 性壁が破綻してるテメェに言われたかねぇ!」
     店内に馬鹿デカい空却の声が響き渡る。すかさず「声がデケェ」つって頭を引っ叩いたものの、一度出た言葉は消えやしねぇ。何だ何だ? と客の視線が集まり、俺は頭をフル回転させた。このままだと山田一郎は性壁破綻者だと変な噂が立っちまう。そんな噂が立ったら弟達に顔向け出来ねぇ。性壁破綻者が育てた弟達はやっぱり性壁破綻者なんじゃねぇか、みたいに思われたら俺は、俺は──ッ。ラップバトルかってくらい脳がぐるんぐるん回って最終的に導き出されたのは、
    「簓さんに失礼だろーがっ!」
    「いやなんでやねーん!」
     目の前でポカンとした表情で俺らを見つめてた簓さんにぶん投げる事だった。悪ぃ、簓さん。アンタならなんとかしてくれんじゃねぇかと思って。そう心の中で謝ると、その火は更に飛んだ。それもよりによってめちゃくちゃ燃えやすい方に。
    2727

    tobun

    DONE27×20 ささくう
    付き合って三年目。灼空に挨拶に行く道中、真正ヒプノシスマイクを喰らった簓を空却と新生MCD達(他キャラも)が助ける話。

    <注意>
    ・皆和解していて仲が良いです
    ・婿入り前提
    ・死体が出てきます
    ・メソメソする空却がいます
    ・矛盾があるかもしれません、ふんわりとお読みください。(見直す時間がなかった…)
    ・地域表記→関西・中部・関東・東北・北海道(漢字)
    フラワー・シャワー「華がねぇな、お前」
     いつだったか、少々参っていた時。赤髪の生意気な僧侶に面と向かって言われたことがある。その直後、地面に落ちていた枯れ葉を拾うとあろうことか簓めがけてぶわっと放り投げてきた。どうせ投げるならこんな小汚い枯れ葉ではなくて綺麗な花弁であって欲しかったが、今ここには花がないのだから求めても無駄だ。何より、この僧侶の言い草や態度から見るに、ハナはハナでも鼻ではなくて花でもなくて華の方なのだろう。
    「え……なんや急に。名前からして花やんか、俺。俺くらいやで、生まれた時から花も華も背負っとるの」
     華がないとはなんだ、華がないとは。いきなり言われたものだからロクなボケも出来ずに「つまんねー」なんて言われる始末で。いや別にボケたわけでもツッコミを入れたわけでもなくて、ただ単に事実を言ったまでなのだが。まぁでも確かに面白くはないし、どちらかと言えばスルーして欲しいのでこれ以上深追いはしない。
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    oimo91567124

    PROGRESS簓空全体 弱り簓さんと盧笙センセ蕭条


    人間は一生、人間の愛憎の中で苦しまなければならないのです。

    (ー『竹青』より  太宰治)



    酷く揺さぶり、欲の象徴たる怒張で力一杯貫き壊しても、失われた執着を取り戻そうとしてもどこか宙へ視線を揺蕩わせ「別れたい」と繰り返す恋人を抱く夢をみて飛び起きたのはマフラーを外しているのだろう轟音を立てるバイクの音が遠くで鳴る外が夜の深みを極め人間の気配が薄らいでいる丑三時であった。
    汗でTシャツが張り付き気持ち悪く、ドクドクと忙しなく鼓動が警鐘を鳴らすかのよう不快なリズムで体の内側から身体を叩かれる。
    息は浅く、吸っているのに肺まで満たらないような気がして回数は増えるばかり。

    …あぁ、またか。

    簓には昔から自分にもどうにもできない悪癖があった。他人に執着を覚える度、感情が大きくなる度、愛を捧ぐほど、同じだけソレを手放したくなり諦めたくなるのである。
    根底にあるのはついぞ、手中に出来なかった家族の団欒や無条件の愛の存在、成長途上で親から送られ教えられるその安堵感を与えられなかった事の傷がケロイドになりもう治せないのである。
    この悪癖を自覚したのは相方との離別の際。嫌だ嫌だと喚き 1807