剣は楽の音と周子舒は、武人である。
武芸の腕を磨くことには余念なく、遊びたい盛りの年頃でも師父に呆れられるほどの熱心さだった。
とは言え、丸きり他が駄目ということもない。貴人たちの前ではそれなりに振る舞うことは出来た。
ただ、どれほど美しい舞であろうと音楽であろうと、剣より興味を惹くものがない。それ故気の利いた美辞麗句を並べることも出来ず、愛想笑いを浮かべるしかなかったのだが、そんな様子がむしろ控えめで品位があると感じられるようで、一部の楽人からは声を掛けられることもあった。
まだ少年の頃、退屈な宴をようやく終えたと思ったのにこれ以上澄まし顔も保たないと、どうにか逃げだそうと理由を考える子舒に助け船を出したのは決まって従兄弟である現在の晋王だった。
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