ALL 単発ネタ 二次創作 龍のうたった祭り歌 詩作 よーでるPROGRESS完!! うおおお、十数年間ずっと頭の中にあったのでスッキリしたぁ。こういうカイムとマナが見たかったなー!!という妄執でした。あとどうしてカイムの最期解釈。またちょっと推敲してぷらいべったーにでもまとめます。罪の終わり、贖いの果て(7) 自分を呼ぶ声に揺すられ、マナはいっとき、目を覚ました。ほんのいっとき。 すぐにまた目を閉ざして、うずくまる。だが呼ぶ声は絶えてくれない。求める声が離れてくれない。 (やめて。起こさないで。眠らせていて。誰なの? あなたは) 呼び声は聞き覚えがある気がしたが、マナは思い出すのをやめた。思い出したくない。考えたくない。これ以上、何もかも。だって、カイムは死んだのだから。 結局思考はそこに行き着き、マナは顔を覆った。心のなかで、幼子のように身を丸める。耳を覆う。思考を塞ぐ。考えたくない。思い出したくない。思い出したく、なかった。 わからない。カイムがどうしてわたしを許してくれたのか。考えたくない。どうしてカイムがわたしに優しくしてくれたのか。知りたくない。わたしのしたことが、どれだけ彼を傷つけ、蝕んだのか。取り返しがつかない。償いようがない。だって、カイムは、死んでしまったのだから。 3697 よーでるPROGRESSノウェパートここまで。「そのとき不思議な力が!」に理由つけたくてやったパートでした。罪の終わり、贖いの果て(6) 精緻な刺繍を施された毬のような結界が、マナの体を囲み、その動きを静止させていた。 その姿を案じながらも、ノウェはレグナから飛び降りて地上に着地した。ゴーレムの掌から降りたセエレ神官長の隣に、守り手レオナールが降り立つ。 その腕から降ろされた女騎士に、ノウェは駆け寄った勢いのまま抱きついた。 「エリス!!」 温かい。生きている。幻じゃない。 ただ敵対しただけの人間を大勢斬り殺した自分が、今更友の生を喜ぶのかと頭の片隅で嘲けるが、湧き上がる安堵は消せなかった。 「ノ、ノウェ。エリスは病み上がりで、傷もまだ塞がってないですから」 「ごっ、ごめん。助かったんだな、エリス」 「……ええ。セエレ神官長が処置してくださったの。わたくし、あんなことでは死なないわ」 1852 よーでるPROGRESSせっかくのヒロイン闇堕ちなんだからこんくらい暴れてくれて良かったんですよ、という煩悩アクションパートです。ノウェパートはあと1回の予定!罪の終わり、贖いの果て(5)『ノウェ。マナは僕が。あなたはエンシェント・ドラゴンを!』 飛んできたセエレの思念に、ノウェはレグナを駆りエンシェント・ドラゴンへ突進した。 罠かもしれないとは考えた。だが、今のノウェに他に縋るものはなかった。 『悠久の果てに神の尖兵と成り果てた先達よ、今その呪縛から解放しようぞ!!』 レグナが吠え、蒼炎が古竜の鱗を抉った。ノウェの光刃が追撃し、その下の肉を削ぐ。 古竜があぎとを開き、角と一体化した頭部がノウェたちを見た。 「レグナッ!!」 返礼のブレスが空を灼いた。聖なる竜の異名に相応しい真白い炎が、直撃を避けレグナとノウェがそれぞれ二重に障壁を張ってなお、肌を炙り視界を眩ませる。 長期戦は不利。下手に避ければ地上のセエレ神官長らゴーレム群も焼き払われる。魔力で治癒力を活性化させながら、ノウェはレグナと魔力を一体化させた。 2846 よーでるPROGRESSノウェパートにかこつけて捏造設定ほのめかしパートその1です。妄想なので公式設定とはぜんぜん違います。罪の終わり、贖いの果て(4)「らららら、人は我が失敗作。我が写し身でありながらエゴばかりが強い、醜い、醜い、醜い、死ぬが良い」 濃密で強大な魔力が立ち昇る。マナの指が宙を梳ると、無数の天使文字が弾幕となって降り注いだ。 咄嗟に振り抜いた剣に魔力を充填する。展開された障壁を衝撃と爆音が揺らし、ひび割れさせ、砕こうとする。 「レグナっ!」 急降下した蒼竜の爪撃を、マナはステップを踏むように軽やかに躱した。 石礫も砂埃も彼女には当たらない。踊り子のように嫋やかに笑いながら、花弁を撒くように魔弾を撒き散らしてくる。 それらを撃墜しながら、レグナの呼気に青い炎が燃えるのを見つけて、ノウェは慌てた。 『ダメだレグナっ。なんとか正気に戻さないと……』 1854 よーでるPROGRESSDOD2ノベライズの描写を意識しつつ不意打ち説のほうを採用してます。今更ですが「セエレ、レオナール、アリオーシュが加入した上でのDOD無印Aエンド後のマナが記憶喪失になっていないDOD2」という妄想です。他にも設定改変捏造多々あります。主題歌「ひとり」をBGMにどうぞ。罪の終わり、贖いの果て(3) いつからだろう。カイムがわたしを睨まなくなったのは。見上げると、憎悪に濁る瞳ではなく、静かに透き通った眼差しが返ってくるようになったのは。いつからだったろう。 いつからだろう。わたしがカイムから逃げなくなったのは。離れたら自分から駆け寄って、外套(マント)の裾を摘んでは、手を握られて安堵するようになったのは。 吹き荒ぶ灰色の雪の中。ふたり、身を寄せ合って歩いたのは。 どうして、だったのだろう。 * * * 静寂がマナの心中に張り詰めていた。水面の薄ら氷のように決壊するのを予感しながら、何もできないまま。マナは己の中に言葉が響くのを聞いていた。 『カイムとの旅は、辛いものでした。帝国軍が壊した世界を見せつけられて、おまえの罪を忘れるなと罵られ続けた…… 4467 よーでるPROGRESSDOD2続き。DOD2設定資料集発売当時考えてたやつなので、それ以降に明らかにされた設定とは違う点が多々あります。あとノベライズのシーンを参考にしてる描写あり。タイトル、翼を生やし愛から逃げて、のほうがよかったかな…まぁ推敲するときに考えよう。罪の終わり、贖いの果て(2)「ホントウに?」 幼い自分の声が低く濁る。無垢な笑みが悪意を滲ませるのは、途方もなく醜悪だった。 これが、あの頃の自分なのだ。ドレスの裾を握りしめ、目を逸らしたくなる衝動と戦う。 神が未だに己の中に巣食っているのは、わかっていた。恩恵である読心の力――恐らくは母の機嫌を伺い、母の愛を求めたために授けられた力――は、変わらずマナと共にあったのだから。 「去りなさい。あなたに主導権を渡すつもりはありません」 「ホントウに?」 「本当です。わたしは、償いを諦めなど」 しない、と。断言するより先に、神が上目遣いに己を覗き込んできた。 「ホントウに?」 唇が震える。心の中で思い描いただけの自分の体が、悪寒を感じて縮こまる。 1794 よーでるPROGRESS二次創作の初稿をぱぱっと書いてみるテスト。DOD2でずっと書いてみたかったネタ。続きます。封印破壊後、マナ発狂中。罪の終わり、贖いの果て(1) 自分が赤黒い洞に佇んでいるのに気づいて、マナは不安に空を仰いだ。頭上に広がる闇が重くのしかかり、胎動する紅が自分を小さく押し潰そうとする。 ああ、ここは、わたしの心の中だ。 自分が逃げ出したのを悟って、マナは苦く笑った。見下ろした自分の体が、赤いドレスを纏っている。十八年前と同じ、天使の教会の司教としての衣装。 幼い頃は威厳を被せてくれた衣装は、今の自分には淫らがわしかった。成熟した体に赤い布地が貼り付いて、凹凸を顕にする。世界を滅ぼした魔女には相応しい。自覚して、マナは顔を覆った。 罪を償いたかった。十八年前、滅ぼしてしまった世界に。困窮した人々に。何よりも、カイムに。償いきれるものではないと知りながら歩んだ、その道のりは間違いだった。 653 1