ALL 単発ネタ 二次創作 龍のうたった祭り歌 詩作 よーでるDOODLE流れに苦戦してるけど少しずつ少しずつ、気になるとこは完結してから直す! うっす!シリィ3話02(……あれ? 笛の音?) 軽やかで素朴で、けれど清らかに空に吹き抜ける笛の音に、レクトは足を止めた。蔦の這う塀の向こうから、音楽が聞こえてくる。 荘厳な静寂を求めるのではなく、いっしょに体を揺すり手拍子を誘うような旋律だった。音が弾んで、梢を飛び回る小鳥のように耳のそばを横切っていく。 「だんしんぐ!」 隣りにいたランが、くるりと回った。衣装が袖のない真っ白なワンピースのドレスに変わり、若草色の髪が花を芽吹かせ芳香を散らす。 芸事に疎いレクトでも見惚れそうな情景だったが、注目する人はいなかった。カイいわくランが心理迷彩の術を使っているのだということだが、よくわからない。くるくる回り跳ねるランに釣れられて、塀の敷地内に足を踏み入れる。 1442 よーでるDOODLEでぇえい難航したけど3話開始! とりあえず冒頭。シリィ・カーニバル3話「薄闇の町と毒舌笛吹き」01 宿の窓から聞こえる川のせせらぎを聞き流しながら、カイは新聞に視線を落としていた。 長身で秀麗な面差しのカイが椅子に腰掛け紙面に視線を落とす様子は、外でやれば無数の耳目を集めただろう。それで集中が乱れるほどやわではないが、煩わしいものは煩わしい。 めぼしいニュースがないのを確認して新聞を畳む。書店で買い求めた書を手に、久々の静かな読書に没頭しようとしたカイは、騒々しい足音にすぐページを閉じた。 「たっだいまー!」「ただいま~」 元気よく帰ってきたレクトとランに眉をしかめる。出会ってほんの数日だというのに、兄妹のような馴染みようだった。 「はいコレ、お土産。お昼ご飯まだでしょ? カイが好きそうだなって思って買ってきたんだ」 1141 よーでるDOODLEディテール固めその2。ヴィランの生い立ち。ある滅び その人は、コノラノス公国の灯花(クエリ)州の、神殿もない小さな村で生まれ育ちました。 神殿のない村には霊菫もありません。そんな村は、花龍ペスタリスノの力が弱まり霊菫(たますみれ)が枯れて光を失う冬、神殿のある町に身を寄せて冬を越すのです。 そんな村の人は立場が弱いものですが、ええ、幸い、その人が冬を過ごす神殿の人々は、優しく親切な方々でした。 村人も色々と町の仕事を手伝いましたが、給金はきちんと支払われ、幼いその人も冬の間勉強をさせてもらえました。 町の神殿長は、年老いたお爺さんでした。初代公主アデラ様にお会いしたこともあるそうですよ。 お爺さんはその人に、よくアデラ様の話を聞かせました。その豪胆さ、御力の凄まじさ、何よりもその御心の慈しみ深さ、気高さ、聡明さについて。 1378 よーでるDOODLE3話始める前に舞台になる場所のディテールを詰めておいたほうが書きやすいので備忘録兼ねての小話。あと国の成り立ちや世界の仕組み的に方角で地域呼ぶのが違和感あったのでその辺の設定も決めました。公国の地域と薄闇を灯す町について コノラノス公国は五つの州から成ります。 東、豊かな森で知られる霊菫発祥の地、灯花(クエリ)州。 南、肥沃な農耕地から公国全土を潤す大河の湧き出る、狐川(ポタミ)州。 北、熔けず壊れぬ霊鋼を採掘し鍛える山岳地帯、雪鼠(パゴス)州。 西、無限の海を見つめる無限に広がる島、亀海(テロス)州。 そして四つの州をまとめる中央、海に臨む白き都、白央(オラノス)州。 公国に根付いた四つの龍脈を起点に州を制定し、龍脈の交わる緩衝地帯を中央と定義して、要所に神殿を建てています。 町と呼べるくらい人口の多いところには神殿を建てる決まりです。ほらこの世界、人が増えると魔物が出やすいのが死活問題なので。 さて、灯花州の南のほうに、スコタギという小さな町がありました。 1963 よーでるDOODLEキャラ紹介兼ねてアップ。大昔に書いた文章を今の設定に合わせてちょこちょこ直しました。シリィ・カーニバル第0話「吟遊詩人の歌と占い師の予言」 人混みのにぎわう大通りで、吟遊詩人は弦をつま弾き歌を紡いでいた。 道行く喧騒に歌のほとんどはかき消されていたが、詩人は気にした様子もなく歌を奏でている。彼の歌は上手くもなく下手でもなく、はっきり言って修練は積んであるが才能はない凡庸な歌だったが、詩人は気にせず好きなように歌い、人々も思い思いのままに騒いでいた。 心を騒がせるほどの力はない歌だから、町は喧騒に包まれたまま、静寂は訪れず、歌に耳を澄ませる人は誰もいない。 そして詩人は気にせず歌う。彼だけが知るこの世界の真実を、誰に聴かせることもなく。 「この世の果てに眠るのは 天地(あめつち)統べし神なる乙女 眠る彼女を探すのは 神を殺めし蒼き龍 幾千の海と空を越え されど再会は果たせず 4241 よーでるDOODLE第2話はこれにて了! 明日はキャラ紹介兼ねて書いてた0話をリテイクする予定。1話をコンパクトにした結果レクトの能力描写が後回しになってるので、3話ではもうちょい活躍させたいところ。シリィ・カーニバル第2話06(終)「守らなきゃ、守らなきゃ、守らなきゃ」 泣き出しそうな、泣くのを必死に堪えているような声に、レクトは顔を上げた。 見覚えがある気がする大きな杯から、止めどなく水があふれている。水は床に広がりながら扉を通って外に流れていく。水流の激しさに扉は閉まらない。閉めたところでいずれはあふれるだけ。 誰かが泣いている。 「止めなくちゃ。私が。聖下に託されたのだから。私が」 杯の縁に立つ誰かが、杯へと身を投じた。水の勢いが衰える。 このまま止まるのか。止まらなかったのか。わからないまま。世界が水に満たされた。 「守れなかった」 誰かが泣いている。水に沈んだ聖堂の中。杯の中にいる誰かが。 「私だけでは、堰になるには足りなかった。私ひとりでは。贄が足りなかった」 2220 よーでるDOODLEアクションパートがんばりました…シリィ・カーニバル第2話05「~~~~ッ!」 くるりと体が回転し、自然と壁に着地する。魔物に蝕まれた足に激痛が走るが、それも一瞬のことだった。 「いたくない~♪ いたくない~♪」 隣に飛んできたランが珍妙なリズムで指を踊らせる。柔らかな白い光がカイの足を包み込むと、痛みがすぐに引いた。瞬く間に傷が癒える。灼けて皮膚に貼り付いていた生地まで修復され、カイは半眼になった。 靴裏が天井際から離れないのを確認して立ち上がる。本来なら荘厳な天井絵を映してまさしく晴天の湖のようだったろう地上は、嵐の渦巻く夜空のようだった。杯の影を中心に、清水を穢す濁流が悪臭を放っている。 その中に立つレクトが、ぼんやりとこちらを見上げている。相変わらず正気に返る様子はないが、本来の身体能力を発揮してこちらに跳んでくる気配もない。周りに生えた泥の手も無力にゆらめくばかり。射程が足りない、にしても、理性のない魔物ならこっちに手を伸ばしてくるくらいはやりそうだが。 1343 よーでるDOODLE呪文考えるの好きなんですが、カイは無詠唱が基本なのでピンチに追い込まないと詠唱してくれないのが悩みです。だからピンチにさせました。シリィ・カーニバル第2話04「なんで僕ばっかりぃぃいいいい!!?」 押し流されていくレクトの悲鳴を聞き流しながら、展開した術式を起動する。 青白く輝く幾何学模様が宙を奔り、杯を貫こうとして、逆巻く泥の波に阻まれた。 (ッ!? この深度の術を防いだ? 魔物が?) 魔物は精霊法則に反しているため、霊的に極めて脆い。石ころ一つ動かせぬそよ風でも、それが巫術や法術で起こしたものなら、魔物には業火に等しいはずだ。ましてカイの術は一瞬で魔物を蒸発させる密度で練り上げている。 杯から起き上がった影は、雨風に晒された絵画に似ていた。ぼやけて滲んで、男か女かもわからないが、人の輪郭をしている。 魔物は往々にして人体からかけ離れた形になる。人格が揮発した強い未練の塊に、理性などないからだ。人の形に近い魔物を生み出せるのは、生前から霊力に馴染み、それを自在に操っていた魂。 1970 よーでるDOODLE大昔に書いたプロットを思い出しながら書いてるんですが発掘できなかった…レクトはとても頑丈なのでカイはよく囮にしてます。レクトは実際かすり傷一つ負わないのでどちらが非道かは意見の分かれるところ。シリィ・カーニバル第2話03 魔物は死者の魂が精霊の法則を歪ませ生み出した害獣だ。死霊の力が強かったり数が多いと、空間そのものが歪むこともある。 (とはいえ、場を形成している以上は核になっている箇所があるはずだ。そこを壊せば、少なくとも春の間は顕現できなくなるはず) 魔物はレクトが惹きつけているので、襲われる頻度は少ない。腐臭の濃い汚泥の続く洞穴を、黙々とカイは進んだ。この汚泥も魔物の一部だ。体が蝕まれないよう己の霊力を強く意識して皮膚に張り巡らせていたが、すぐにその必要はないと気づいた。 カイの隣にふわふわと浮くランは、相変わらず汚れ一つない。皮膚を突き刺すような腐臭もその笑顔を崩すには至らない、どころか、若草色の髪から果実に乳液を絡めたような甘い香りが漂ってくる。 1545 よーでるDOODLEまずこの2人+@でちょっと冒険させてみることにしました。シリィ・カーニバル第2話02「着いたー!」 元気よく宣言したランに、カイは真顔になった。 小高い丘を登り切った先に、透明な水の滴る石畳が広がっていた。ちゃんぷちゃぷと靴を濡らす浅瀬の先に、内から水の滲み出る塔が生えている。 見上げれば雲に隠れて頂きは見えない。高く積み上げたというよりは石畳から自然と生えたかのような……あるいは空から降ってきたような、そんな建造物だった。 当然のように水の上を歩くランが、水飛沫を上げながら跳ね回る。飛び散る水がその袖も肌も髪も濡らさないのはともかくとして、レクトは疑問を浮かべた。 「ラン、ここに人がいるの?」 「いっぱいいる!」 「いない」 溌剌としたランの言葉を、カイが否定する。 歳月を経ても朽ちる気配を見せない光景に、独りごちるような解説が湧いてくる。 1098 よーでるDOODLE第2話。さっくり合流させるつもりでしたが、考えてた流れをそのままなぞるだけだとつまらなくなりそうなので四苦八苦中です。シリィ・カーニバル第2話「若草の案内と水底の砦」01 草原に吹く風に、かすかに花の香りが混じる。にこにこと笑う若草色の髪の少女、の姿をした何かと、戸惑いながらも絆された笑顔を浮かべるレクトに、カイは速やかに背を向けた。 「じゃあ、ここでお別れだな」 「ぇっなんで!?」 なんでもクソもあるか。罵りたいのを堪えて足を動かすが、忙しくなく後ろを付いてくる気配がする。時間稼ぎに、カイは適当な方角を指差した。 「ここがどこだかわからないだろ。俺はこっちの方角を探すから、お前はあっちに街がないか……」 「人がいっぱいいるとこがいいの?」 割り込んできたラン、と名乗る生き物がカイの返事を待たずに走り出す。素足がいつの間にか艶やかな革の靴を履いて、白い寝巻きが袖をはためかせる鮮やかに赤い短衣に変わっている。 1762 よーでるDOODLE主人公3人目パート。今回も昔書いた文章を流用してます。シリィ・カーニバル1話幕間「無茶ぶり公主と薄幸笛吹き」(やっぱり苦手ですね、ここ) だだっ広く白い広間に足を踏み入れて、ネリアは居心地の悪さを噛み殺した。緩く結った淡い金髪を揺らして、音もなく歩く。わざわざ心掛けずとも、毛足の長い絨毯が勝手に足音を殺してくれた。 初めて足を踏み入れたときから、この聖堂が苦手だった。壁も天井も調度品も何もかもが白で統一され、頭上の窓すらヒビ硝子で細かく光を散らして白く染めている。 白く、白く、白く、自分がこの場を汚すシミのように思えるほど白く、正直息が詰まる。スカートの裾を払って背筋を伸ばし、薄碧の目を前に向ける。 光あふれる広間の中心に、一際輝く女がいた。 南方の麦穂に喩えられる波打つ黄金の髪。西の海を閉じ込めたような深く青い瞳。北の白雪を思わせる肌。東の花弁のような瑞々しく赤い唇が蕩けるような微笑みを浮かべて、深みのある柔らかな声が広間に響く。 2003 よーでるDOODLE昔書いた文章をいくらか流用しつつリテイク。速攻人型になってますが人型で話が通じない人外が私の性癖なのでつまりはそういうことです。「おとなしい」は完全にレクトの誤解。シリィ・カーニバル第1話02「レクト。動くな。騒ぐな。静かに、じっとしていろ」 「んぇ?」 カイの言葉で正面に向き直って、レクトもソレに気づいた。 白く大きな生き物がそこにいた。全体の輪郭はトカゲに似ているが、丸まっている全長はカイよりも大きい。流線型の頭部は薄っすらと白い毛に覆われているが、背に伸びるたてがみは若草色を帯びて、尻尾の先端では深緑になっている。背中は滑らかな白い鱗が空や霊菫の光を反射して色づいているが、腹部は鱗も毛もない白い皮が内の肉を透かして柔らかそうで、四つ足はサイズを無視すれば猫のようだった。毛皮に覆われ爪の引っ込んだ足の裏側に、珊瑚色のプニプニした肉球が並んでいる。 最も特徴的なのは、たてがみを挟むように頭部に生えた一対の角だった。背中に添って枝分かれして伸びた形は鹿の角に似ていたが、先端が丸みを帯びて印象が柔らかく、花を絡ませた様子は黄金色の樹木のようだ。 3113 よーでるDOODLE色々悩んだけどやっぱこの2人がスタートだよね。というわけで第一話なお話です。キャラビジュは下記。レクト→https://poipiku.com/5319537/6826129.htmlカイ→https://poipiku.com/5319537/6818735.htmlシリィ・カーニバル第1話「迷子の食いしん坊と苛立つ術師と、眠れる……」01 薄暗い森を、小柄な丸っこい少年が小走りに駆けていく。ボサボサで黄土色に近い色合いの金髪を青いバンダナでまとめて、服装は何の変哲もないシャツとズボン、だが背負った荷物は少年の背丈を軽々と越していた。 荷物はしっかりと梱包されてずり落ちる気配はないが、少年の足取りが苦もなく軽やかなのが奇異だった。中身のない空洞のハリボテ、というわけではない。身の詰まった重たげな気配がするし、地面に残る少年の足跡は踵がくっきりとして荷物の重みを伝えている。 見た目に反した頑健さを披露しながら、少年は森を駆けていく。頬の輪郭と同じく丸っこい琥珀の目が、行く手への期待にきらきらと輝く。 「見つけたっ! 見てカイっ。モリーダケ! こう見えてすっごく美味しいんだよっ」 1832 よーでるDOODLEこういうファンタジーな力の仕組みを調べて人工的に利用する話が好きです。そろそろキャラクターを動かしたいので明日からは主要キャラで何度か話を書いてみたい所存。花咲く都の菫橋について 公国の中央、と言いましても、実際の地理で言えばだいぶ西よりです。 西方は島ですからね。まぁこの世界の地形は曖昧なのですが、住んでる人たちの感覚からすれば、中央神殿は大陸の西端、海に臨む丘にあります。 光る花咲く丘に建つ白亜の神殿。その裾野のように広がる街並み。南の豊富な食材と歌、東の花や木材、北の高品質な製品、西の海鮮、あらゆる人材が集まり花開く、公国の中枢、文化の最先端。 白い柱の並ぶ神殿には、原則として許しを得た神官しか入れない庭があります。公国各地の花を集めて咲かせたそこは、【菫橋(すみればし)】と呼ばれる設備です。 それは果てを目指す島が公国に加わってしばらく経った後のこと。東の森で霊菫(たますみれ)を咲かせている樹に、南の林で霊菫を咲かせているのとそっくりな樹がありました。というかそのものでした。ええ、東の森と南の林に、その樹は同時に生えていたんです。 1580 よーでるDOODLE公国西方紹介、と言いたいところだけど実はまだあまり決まってないので成り立ち編です。西の果てなき海と最果ての島について 精霊が旧い世界のかけらを掬い上げて今の世界を形作った後。精霊の血を引く王が生き残った人々を率いて龍王国を作り、今の公国に繋がる歴史が生まれました。 ですが、龍王国に拠らず生き延びた人々も数少ないながらいました。龍のいる土地を見つけ、龍と共に互いを尊重して生きる契約を結んだ人々。 鋼龍カウンキパゴウンを崇めていた山国や、影龍スウレシウと生きる草原大国カウマーン、他にも色々ありますが、最後に公国に加わった西の島国もそうでした。 正確には、西の島国は旧い世界が終わったときの生き残りが興した国ではありません。海上連盟ノストコールの話はしましたっけ? 雲龍バツィオエアーラの羽雲を航路に果てなき海を旅する人々。彼らの祖は、龍王国の公子でした。 2565 よーでるDOODLE公国ガイド北方編。今回も異名をマイナーチェンジしてますが、これは設定変更ではなく時代の流れで異名が変わったパターンです。ヤマアラシとハリネズミは別の種ですが龍はイメージ生物なので変身させてみました。北の勇ましき人々と不壊の氷について 山の薄氷/銀嶺を抱く火鼠/鋼龍カウンキパゴウンの守護する公国北方。山脈が大半を占めるこの地方の、最も高く険しい山の奥、夏も雪が溶けることなき銀嶺の頂きに、深々と雪の降り積もる氷河があります。 そこがカウンキパゴウンの生まれたところ。彼の本体。北の龍脈の奥地。かつてはマグマの沸き立つ噴火口だったそこは、今は内から光を発する氷が積み重なる、底のない洞窟になっています。 この氷が【霊鋼(たまはがね)】。カウンキパゴウンの霊力を凍てつかせた、決して熔けず壊れぬ氷です。 霊鋼は祈りによってのみ形を変えます。とはいえ、言葉では金剛不壊の霊鋼に響きません。ですので、鍛冶師たちは炎と槌で霊鋼に祈りを伝えます。 3191 よーでるDOODLEうっかり初書きのときに花龍の名前を間違えてたので修正しました。ペスタリスノです、ペスタリスノ。ついでに二つ名も改案。星は西の龍のイメージなので。東の輝く森と夜明けの馬について 森の暁/夜明けを灯す菫/花龍ペスタリスノの生まれた輝ける東の森は、現在は木材と衣類で名を馳せています。 南から流れてくるようになった川が多用な草木を茂らせ、四季のはっきりとした森で育まれた豊かな色彩感覚が様々な染め物を生み出します。南の祭りで舞い手を彩るのは、もっぱら東で縫われた衣装です。 それに、ご存知ですか? 今の世の中、非道を行えば魔物が生えるので、鉱夫の人権にも配慮が欠かせません。必然金属は貴重になり、そも魔物相手に物理的な防御はあまり意味を成しません。霊的に壊されたら物質もそれに従うのがこの世界を織りなす法則だからね。 ですから、神官の身を守るのはもっぱら革鎧や布鎧。身を守る法術の紋様を刺繍された軽くて丈夫な衣類は、東部の誉れです。武器を求めるなら北、防具なら東というのは公国では常識です。 2127 よーでるDOODLE公国南方の紹介。しれっと実龍の二つ名変えてますがイメージカラー入れ忘れてただけです。南の歌う農村と砂塵の歌姫について 公国南方の農耕地帯を守護する沃野の九尾/小川華やぐ金狐/実龍アンシステルウマの龍燐は【霊土(たまつち)】と呼ばれる現象です。土と呼称されていますが、その源は流れる川にあります。 アンシステルウマは荒野を潤す一筋の小川から生まれた龍。その水を浴びた大地は肥えて、作物をよく実らせるようになります。 ゆえにアンシステルウマの水を浴びた土は霊土と呼ばれ、信仰を浴びた川は今ではいくつにも枝分かれして、公国を潤す大河となりました。 さて、一口に作物をよく実らせると言っても、植物によって好む土は様々です。霊土はよく風を通し、水をよく溜めてよく通す、滋養豊かな土ですが、それだけですべての作物に適した土と言えるのでしょうか? 2358 よーでるDOODLEオーソドックスな魔物退治。前回は暗かったので今回は爽やか風。ひとり泣いてた狼 公国の北のほう、さりとて氷剣山脈からは外れた、緑深い山の峠に、いつからか人喰い狼が出るようになりました。ええ、魔物です。 どこの誰の魂がどんな悲劇の末にこの魔物を生んだのか、それはわかりません。神殿公認の霊媒師が訪ねたときにはもう時が経ちすぎていて、狼も己の由来を忘れていました。 大人の男でも軽々飲み込める大きな口に、びっしり生えた頑丈な人の歯。頬から伸びた手足は細いけれど器用に伸びて、岩肌を伝い尻尾を揺らしながら死角から人に噛みつきます。 狼が出るのは夕暮れから夜。その時刻には人はその森を避けるようになり、森の恵みを採るにも村同士で行き来するのも難儀するようになりました。 ある日のことです。峠を挟んだ村のひとつに、旅の神官さまが訪れました。修行を兼ねた巡礼の旅の途中、村の苦境を聞いた神官さまは、二つ返事で狼の元を訪れました。 1226 よーでるDOODLEオーソドックスな魔物の話。やや暗めでエグめです。燃えるキノコ男 コノラノス公国のどこでしょう、北か南か西かはたまた東か。たぶん南か東ですね。花街道から外れた辺鄙な村に、つまらない男がおりました。 え? そんな言い方は失礼? 確かに。お詫びして訂正します。人に合わせるのが苦手な男がおりました。 男は自分が納得したことは進んでやるが、納得できないことは絶対やらないタチでした。とはいえ真面目な男でしたから。真面目に働いて、冬籠りの準備もして、両親に挨拶して。その帰り道のことでした。 妻の待つ家に帰る途中で、いきなり石で頭を殴りつけられて、男は崖の下に落とされ死にました。 男の死は事故死と判断され、つつがなく葬儀が行われました。なにせ辺鄙な村でしたから。神殿は遠くて多忙な神官さまは検死ができなかったし、男の亡骸は崖下で見つかってぱっと見不審な点はなかったし。仕方のないことですね。 1954 よーでるDOODLE公主は本来プリンセスという意味ですが、祭り歌では公国の代表という意味の言葉になってます。アデラさんは武闘家系ギャルです。ほんとは東西南北それぞれの話するやるつもりだったけど西と南はちょっとド鬱なのでまたの機会にします。子どもに無配慮に聞かせたら怒られるやつ……一通りの世界観の説明が終わったので、明日からはこの世界観で単発話を量産する予定です。公国の興り(2)凍てず熔けぬ鋼の銀嶺 道行く花に光を灯しながら、アデラティア公子一行は海に臨む丘にたどり着きました。丘に咲く白い菫を見渡して、公子は軽やかに宣言します。 「ここにわたしたちの都を作りましょう」 こうして光る菫の咲き誇る白き都コノラノスは作られました。号は公国。龍王国最後の公子が興した国です。 公子は精霊の声を聴く神官を集め、神殿を築きました。血ではなく徳と信仰で精霊に耳を澄ませ、精霊の祈りを叶え、世に平穏をもたらし人心を守る組織です。 国の運営は神殿の信任を受けた議会が行います。アデラは神殿の代表たる公主を名乗り、花龍ペスタリスノの光る花【霊菫(たますみれ)】を国に広めました。 霊菫は花龍の息吹。花の光が照らす場所に魔物は近寄らず、死者の魂は慰められ、地に還ります。公国が花の国と呼ばれる由縁です。 3002 よーでるDOODLE公国建国史。ダイジェストで行こうかと思ったけどお話になりました。省いている出来事はもちろんありますが一般に伝わっているお話ということで。公国の興り(1)光る花咲く森 最後の王が洪水に没し、遺された龍王国の民は公子アデラティアに率いられ、安住の地を探す旅に出ました。 安住の地とは即ち龍の座す土地です。龍がいる土地は精霊の力が強くなり、魔物が出づらくなり、災害も起こりづらくなります。 もちろん、そんな土地はとっくに他の人間が暮らしてます。とはいえ、未踏の秘境に龍がいる可能性もあります。民はその一縷の可能性に縋って旅に出ましたが、公子の考えは違いました。 最初に辿り着いたのは輝く森です。緑豊かな深い森に、光を灯す花がそこかしこに咲いていました。龍がいる証です。 龍がいる土地では、こういった不可思議な現象が起きるのです。民は喜び勇みましたが、森には既に暮らしている人々がおりました。 1167 よーでるDOODLEどんどん敬語が剥げてますが語りじゃなく講義だからということで……あと大まかな国の特徴語ったらひとまず単発ネタ書き散らす作業に入れるかなぁ。ぶっちゃけお話の途中で世界観説明しようとすると毎回語りすぎたりアドリブで知らん設定出たりするのでその事前発散が狙い……巫術と法術について 今の世界の魔法は大きく分けて2種類あります。1つは精霊に語りかけて世界を変えてもらう魔法。王族が使っていたのがコレだね。 精霊……王祖の末裔じゃなくても、精霊の声を聞きその力を借りれる人は増えています。それが龍王国衰退の遠因になったわけだけど、今はいいか。 この方法は【巫術】と呼ばれています。長所は知識がなくても複雑な事象が起こせること。細かい演算は精霊任せにできるからね。代表的なのが治癒。肉体の状態や傷病の症状を把握するに越したことはないけど、してなくても力尽くで「健康な状態に戻す」ことができます。 欠点は精霊を感知する素養がないと使えないこと。だから使い手は少ない。それと精霊の許しが出ない事象は起こせない。代表的なのが殺傷。自衛や狩りは認められてるけど、一方的で大規模な殺戮は巫術でやろうとしてもキャンセルされるし、最悪精霊と交感する資格を剥奪されます。 1226 よーでるDOODLE世界観説明、魔物編。今更ですが語り部は人に物を教えるときは相手に敬意を持てと命じられているので敬語と素の語りが混在しています。龍とか魔物の具体例は個別に話で出したいのでひとまずは概要の覚書…魂から生える魔物について さて、ゆらぎによって万物が構成された今の世界。 ゆらぎは【霊力】と呼称され、様々な現象を引き起こす原動力となっています。精霊がこの世界を維持し運営しているのもそうですね。この世界は湖面の波紋で出来た虚像と言えるかもしれません。 はいはい、怖がらないで。肝心なのは、この場合の万物が文字通りの万物……物質のみならず概念や精神にまで及んでいることです。 生き物が死ぬと、その亡骸は大地と大気に還ります。時間はかかるけどね。水分は蒸発し、肉は腐り、虫たちの餌となって……え? さっきと別の意味で怖い? ぁ、やば。幼年期の人間にグロいこと言うのダメだったっけ。怒られる……今のないしょね? えーと話を戻して、霊力も同じだよ。生き物が死ぬと、その体と心を構成していた霊力は拡散して世界に、即ち精霊に還っていく。時間はかかるけどね。 1232 よーでるDOODLEようやく厨二病設定の数々に言及できた。この世界のドラゴンは景観+色彩+動物をモチーフに発想してます。とりあえずは概要概要!龍のことと今ある国々の話 女の子が成った神=精霊だけで世界を支えるのは大変です。だから旧い世界の魔法使いたちは、彼女を助ける仕組みを用意していました。 ゆらぎを強く発し曖昧になりやすい場所は、意志を帯び自らを律するようになる仕組みです。例えば高く険しい山の頂。例えば澄んだ湖の水底。例えば深く底知れない森の奥。 そういった場所は、自律型仮想神格自動生成プログラムによってゆらぎを象徴し管理するAIが……はい、ややこしい話はカットね。つまり、この世界には龍が生まれるという話です。 例えば、白く染まる草原に影差す大岩から生まれた、白夜の幽狼/草原を泳ぐ影/影龍スウレシウ。 例えば、青空の鏡たる曇りなき湖から生まれた、晴天の深魚/空を映す水底/水龍ネプルディル。 946 よーでるDOODLE歴史編そのいち。ざっくりやるため色々端折ってます。生き残った人々と今はもうない王国の興り さて、女の子が神になり、彼女が作った箱庭で辛うじて生き残った人々でしたが、その先も生き延びるのは簡単なことではありません。 まず、魔法が使えなくなっていました。旧い世界ではこうなれと命じれば世界は言うことを聞いてくれましたが、今の世界では神さまを説得しなければなりません。 予定通りリエルが神になっていれば神さまのほうから話を聞いてくれましたが、女の子がなった神さまにそこまでの演算速度はありません。「炎よ水になれ!」と言われたって、「え? 炎が……水に???」と困ってしまいます。 次に、神さまが作った世界は、旧い世界とは変わっていました。魔法で再現された世界ですからね。 具体的に言うと、この世界では死者の祟りが実体化して襲いかかってくることがあります。常識? うんうん、そうだね。 1708 よーでるDOODLE世界の一部を掬い上げた話、後半。読み聞かせ形式にすることでだいぶ設定省いてます。それでも伝わるか不安になるな…今の世界が始まった話 さて、女の子の魔法を見つけたことで、世界の終わりを防ぐ道はひらけました。が、まだ一歩めです。まさか全部の魔法を見境なしに消すわけにもいきませんからね。 魔法は人類の文明の要でした。魔法で広げた大地を元に戻せばぎゅうぎゅう詰めで大勢死んじゃいますし、魔法で癒した傷を戻したら大惨事ですし、魔法で熾した火を止めたら凍え死ぬ人が大勢出ます。 世界を救うためなら仕方ないとか、対局のための犠牲は許容すべきとかいう考えもありますが、肝心の女の子がそういった考えを受け入れられませんでした。 人が死ぬのは嫌。人が大切にしてるものは大切にしたい。そんな善良な子でしたからね。 世界を救うには、適切に魔法を管理する必要があります。魔法で曖昧になった世界を適度に戻し、曖昧になりすぎないよう整えて。 1812 よーでるDOODLE龍のうたった祭り歌、作中本編で主な舞台となる世界の始まり、前編。世界をすくう少女の生い立ちと旅立ち さて、辺鄙な山奥の寂れた寒村で、その少女は暮らしていました。言い過ぎ? うーん、確かに。 山の恵みは豊かだったし、他所と交流は少なくても排他的にならず、心が広く優しい人たちが暮らしてたしね。流行り病で生き残ったのがその女の子だけだからって、言いすぎたよ。ごめんごめん。 改めて。緑深い山奥の秘められた里で、その少女は墓守をしていました。そう、家族の墓です。血の繋がりはなかったけどね。うん、捨て子だったんだ。 ん? ちがうちがう。実は大魔法使いの娘だとか王様の娘だとか勇者の末裔とか、そういうのはないよ。軽はずみな旅行者が置き去りにしただけ。予防接種くらいはさせてたみたいだけどね。おかげで女の子は流行り病に罹らなかったわけだし、一応それが肉親からの贈り物だったのかな。 1446 よーでるDOODLE合同一次創作「龍のうたった祭り歌」より。作中現代から見て旧世界と呼ばれる文明が滅んだ話。旧い世界が終わった話 昔々、あるいは明日の話。人が大地にあふれ、地表が隅々まで人の目に暴かれ、海も大気も秘密がなくなり、ついには宇宙の果てに辿り着くその前に、空に羽ばたく力を失った時代の話。 大地の資源を掘り尽くした人間たちは、せっかく積み重ねた文明を動かすエネルギーを失い、代わりとなる新たな技術を発明しました。形や言葉、意志に応じて奇跡を起こす技術。そう、魔法です。 魔法は万物に宿るちから……正確にはゆらぎを源に、え、どうでもいい? ふふ、じゃあその先の話をしようか。世界は魔法使いであふれました。 魔法使いはみんな欲深でした。当たり前だよね。なんだって願いが叶うんだから。 ある魔法使いは言いました。「土も風もみんな汚れている。綺麗にしよう。大地よ甦れ。大気よ癒やされたまえ」 かくしてその通りになりました。 1367 1