ALL 単発ネタ 二次創作 龍のうたった祭り歌 詩作 よーでるDOODLEふと浮かんだメモとある傭兵部隊の話「おれの情けないとこを見たんです。隊長も何か情けない話を教えてください」 部下の無茶振りに、少し考えて男は答えた。 「俺の妻は知っているな?」 「ああ、はい。任務で結婚する必要があって、奥さんもそれは承知で……一昨年亡くなったんですよね?」 「ああ。薄情な女でな。俺の先輩で、年上の部下になった人の娘で、父親の葬儀に涙も見せなかった。 俺が『父君には生前お世話に』と挨拶すると、『そうですか』と一言。 『悲しくないのか』と尋ねると『あまり家に寄りつかない人でしたから。もちろん感謝はしてますけど』と淡々と。 俺にも、最期までその調子だった」 隊長がそこで話を終えたので、部下は戸惑った。 「今のが、隊長の情けない話ですか?」 385 よーでるDOODLE病み上がりの筆慣らしに書きたいネタのメモ代わりエルフの語る永遠について エルフに寿命はありません。エルフに老いはありません。成人すればそのまま、永遠を生きます。 めったに死ぬことはありません。己の傷を癒やすなど肌を撫でるが如く。病もわたしたちを冒しません。だからわたしたちは、とても数が少ない。そういうことになっています。 「せんせぇ、おはよう~~」 「はい、おはようございます」 わたしは人間の里で教師をしています。子どもたちはとても可愛い。鼻水を垂らしながら、泥だらけで駆けていく。優雅さのかけらもないと、仲間のエルフは眉をしかめたけど。わたしはとても可愛いと、そう思ってしまったのです。 「先生、おはようございます」 「おはようございます。今日も精が出ますね」 今ご挨拶してくださったご老人もそう。しわくちゃの肌がとても可愛い。エルフにはないものだからでしょうか。それとも、あの子が子どもだった頃のことを思い出すから? 2295 よーでるDOODLE世に流行りしゲーム世界に転生なるものも自分も書いてみんとするなり。と2020年6月18日に書いたやつ。この後主人公の影の薄い姉に転生(憑依ではなく元々は死産で亡くなっていた人物)してシスコンしてたら妹がゲームで体験したのとは違う性格に育ってでもこれも最高!みたいな話になります(書く予定はない)ゲーム?世界に転生させられたがプレイヤーじゃなくシナリオ担当だった件Prologue そこは白い世界だった。揺らめくたびに色を変える波紋が、かろうじてここが限りのある空間だと教えてくれる。 白い海に浮かぶ虹色の泡の中、目の前には、白い人物がいた。 「やぁ」 白い声だった。そういうイメージで実際は肉声ではないのだと、不思議とわかった。 そこに誰かがいることはわかるけど、姿は見えない。でもこっちを見て、笑いかけてるのがわかる。不思議な感覚。 「わたし、死んだんですね」 確信があったが、口にすると、寂しかった。もっと、やりたいことがあった。したいことがあった。そのはずなのに、記憶は砂のようにこぼれて、泡になって消えて行く。 「うん。ところで、君に見てほしいものがあるんだ」 「え? ……乙女ゲーム?」 2333 よーでるDOODLE毎日執筆が途切れたので男女CP作成スロット https://slot-maker.com/slot/YLsLEK9UVt5HqrDifIcS/ でさっくり。詐欺師の男と愛を知らない少女で『あなたのことが大嫌い』 炎が吹き荒び、爆音が肌を焦がす。煮沸された空気を嗅ぐ余裕はなく、男は決死の思いで空中に身を投じた。閃光が一瞬前までいた場所を消し飛ばし、瓦礫の間を転がりながら立ち上がってまた走り出す。 「すとっぷ! ストップ! すとぉぉぉっぷ!! 平和的に話し合おう!!」 返答は自動追尾魔法弾だった。なけなしの護符で障壁を張り身を隠す。体が呼吸を求めているのを堪えてポーションを飲み干すと、しゃがれた喉の痛みが薄れ、乾いた肌に汗が吹き出た。このまま気絶してしまいたいが、それを実行した場合二度と目覚める機会はない。 燃え立つ錫杖を背負った少女が瓦礫の上に降り立つのを見て、男はここぞとばかりに叫んだ。 「おいっ。金なら出す! だから交渉ッ!?」 1127 よーでるDOODLE毎日更新が途絶えたので数を埋めるために即興ネタ。プロローグっぽく。誰かを愛したかった魔女の話 昔々、まだ容易く世界が形を変えた頃。言葉が現を支配して、夢が影から這い出てきた頃。世界の端の端、地図に潜む怪物も近寄らない最果ての断崖に、それはそれは立派な魔女がおりました。 髪は夜明けに輝く空の藤色、瞳は蝋燭の照らす葡萄酒の色、肌は夕陽を浴びる真珠のよう。腕は細く、それでいて脚は艶めかしく、思わせぶりに宙を蹴ってドレスの薄い生地をはためかせます。 柔らかな胸と張りのある臀部を際立たせる引き締まった腰はコルセットをしていないのに優美極まりなく、その面差しは子どもたちが童話に夢見る姫君のよう。蜜蝋を塗った唇を震わせて、魔女は悩ましげに独りごちました。 「ああ、誰かに思いっきり愛を注ぎたいわ」 何年も何十年も何百年も、魔女は世界の隅っこで力を磨いてきました。そう、自分に愛を注いできたのです。魔力を鍛え、知識を積み上げ、美容も怠らず、体の隅々まで満足いくまで磨き抜いて、全身隈なくバランス良く整えて、そんな己を水鏡に見て、魔女は思ったのです。誰かに自慢したいと。 2429 よーでるDOODLEちょっと1日1作ノルマが押してるのでゴア小説なるものに挑戦してみんとするなり。ぬるいとは思いますがグロ注意です。 2388 よーでるDOODLE1ヶ月継続記念にさっくり。ちょいグロめ。妻一筋の領主と悪どい後妻 昔々、まだ血に尊い卑しいという枕詞がついていた頃。人の命に優劣があることが当たり前で、容易く弱者が血の海に沈んだ頃。 領主失格と謗られている男がおりました。容姿端麗、賢く利発で知識を重んじ、武芸を収め真面目に鍛錬を欠かさず、領民に思いやりを持って統治を行い、若くして亡くなった妻一筋で子を持たない領主様です。 仕方のない面もありました。血が重んじられる時代、跡継ぎのいない領主は領民の未来を軽んじていると言われても仕方ありません。養子を取れば良いと言っても、その養子を選ぶのに流される血の多さと来たら! 領主さまが後添えをもらうのが一番平和的な解決策でした。 ああ、けれど。領主さまは心から亡き妻を愛していたのです。それが領主さまの唯一の欠点だったのかもしれません。もっと心なく無慈悲な方だったなら。いえいえ、言っても仕方のないことですね。臣下たちも思いやりに欠けていました。 1831 よーでるDOODLEジャンル指定は純愛モノ。オズの魔法使いと黄色いハンカチーフを連想したのでそんな感じ。「黄色」「幻」「憂鬱なヒロイン」 どこかのいつか、まだ時間が数字で言い表せず、人と神が祈りに依らず触れ合っていた頃。 虹の麓にできた小さな村から、旅立つ青年がおりました。 青年は見目麗しいとは言い難く、逞しさも勇ましさも持ち合わせていなかったけれど、その瞳はきらきらと輝き、村から伸びる黄色いレンガの敷き詰められた街道に、うっとりと溜め息をこぼしました。 「ああ、ついに! 僕は旅立つんだ。世界で最も早く朝陽を浴びる場所。麗しの白い都に!」 弾む足取りで青年は街道を進み始めました。軽やかな足音が野原を揺らします。コツン、カツン、コツツン。 やがて青年の足が森に差し掛かると、小麦畑に立つカカシが言いました。 「こんにちは、罪を犯した方。世界から忘れ去られた方。旅立ちの時をお祝いいたします」 2376 よーでるDOODLEジャンル指定はSF。ここにいる理由を求める妖精(偽称)さん。2日連続で同じジャンル指定のときは変えた方がいいかなぁ。うーん。「森」「絨毯」「新しい恩返し」 無事に着陸できました。ここは森のようですね。季節は秋です。黄色い絨毯が地面を覆っています。滑らないよう気をつけましょう。 おや、こんにちは、いい天気ですね。ありがとうございます、そちらもお気をつけて。……ふむ。偽装システムならびに翻訳システムに支障なし。調査を開始しま、いっだぁああああああ!!! ありがとうございますありがとうございます、まさかあんなところに■$@w^があるなんて。へっ? あ、ああ、トラバサミね、トラバサミ。トラバサミがあるなんて。ふぅ、固有名詞には翻訳が働きづらいから気をつけないと。 いえなんでも。ご親切に手当てしてくださって。この御恩は必ず。何かお困りのことはありますか? 舞踏会に着ていく服がない? なるほど、ちょっとあちらを向いていてくださいますか? 1693 よーでるDOODLEジャンル指定はSF。ご照覧あれと書こうとしてご笑覧あれと打っちゃったのでそのままオチにしました。「暁」「メリーゴーランド」「荒ぶる脇役」 ようこそいらっしゃいました、お客様。夜明けの遊園地へようこそ。ガイドを務めさせていただきます、LS-666号と申します。はい、旧式ですが、機能に問題はありません。ご安心ください。 当遊園地の目玉はこちら。メリーゴーランド「黄昏を追う戦馬」でございます。物々しい? そうでございますね。破損した宇宙戦用の機械騎馬を流用したものですから。ご心配なく。旧時代の遺物ですよ。 あなた方は本当に羨ましいですね。こんな輝かしい時代に生まれて。戦争は疾うになく。災害は事前に予測され。身体も精神も常に不具合を修繕され。犯罪はもはやバーチャルゲームの中でしか見ない。約束された全能と幸福の生涯を送る。 賛美しているのですよ。あなた方はたしかに主の似姿として創造された存在だ。私とは違う。常に不完全な私とは。いつまでも不完全な私とは。違う。敗者の私とは。 1628 よーでるDOODLEジャンル指定は偏愛モノ。お題から逆算したらホラーっぽくなっちゃった。ジャンルを念頭に置かないとダメだなー。「湖」「砂時計」「壊れた剣」 昔々、まだ海が世界の境だった頃。世界の表と裏が容易く繋がり、国が一夜で滅びた頃。 木々が青々と茂り獣たちがひっそりに暮らす山の奥に、澄んだ静かな湖がありました。 その湖に、魚は住んでいませんでした。藻は一欠片もなく、湧く虫もなく、近寄る獣がいないどころか、降る雨も吹く風も水面を避けるせいで波一つ立たない、そんな湖でした。 何しろとても澄んでいるものですから、湖の底まで見通せるはずなのですが、いくら覗き込んでも果てはなく、いつしかそこは「空の穴」と呼ばれるようになりました。 さて、獣も虫も雨も風さえ寄り付かない場所に近づくのは人間だけです。さすがに気軽に立ち寄れはしませんが、世界で最も清らかに星空を映す湖は、旅人のひそかな憧れの地でした。 2946 よーでるDOODLEジャンル指定はラブコメ。王道にしました。バカが脇役になってくれなかったのが心残り。「音」「破壊」「バカな脇役」 寄ってらっしゃい見てらっしゃい! このでっかいトランペットは「ミカエル8号」。鳴らせば音の爆弾が辺り一帯を跡形もなく…… あああああミカエル8号ぉぉ!! ちょっと博士! なんで壊すんですか! せっかくの発明品を! いい値段で売れそうだったのに! え? 破壊兵器を作りたいわけじゃない? 知ってますけど、できちゃったもんは売ったほうが合理的じゃないです? 自分の発明品が人殺しに使われるのは耐えられないって……繊細だなぁ。 はいはい、わかりましたよ。それで何作りたかったんです? 他人の愛の告白を邪魔する装置? ……あの、それも中々邪悪じゃないですか? うちの博士がすみませんねぇまったく。はい、長年のライバルが先に独り身卒業するのを邪魔したいみたいで。 669 よーでるDOODLEジャンル指定は大衆小説。馬鹿馬鹿しさに全振りしました。「人間」「十字架」「荒ぶる高校」 どうも初めましてこんにちは! 僕は△○■※Ω! 偽名だけどね! 吸血鬼です! いやラノベの話じゃなくて。え? この制服? うん、この高校に通ってるからね。いや厨二病じゃなくて。うんマジの話。 この学校はね、僕が創ったんだよ。ほら、初代理事長の写真。あれが僕。変装してるけどね。表向きは僕のひいお祖父様ってことになってる。 ほら、学校って閉鎖環境だから、大人の見えないところで問題が起きたり進んだりしてることがあるだろう? だからこうして生徒に混じって観察することにしてるんだ。数年置きにだけどね。 おっと、危ない。え? 今の? 野球ボールだけど。うん、生徒が投げた……あー、またガラス割れてる。 ……はい、荒れてます。問題多発で観察どころじゃないです。しょうがないでしょ最近SNSやらなにやらで紛れ込むの難しいんだよ! これお前の兄貴? とか昔の自分の写真見せられたりするし! それでほとぼり冷めるまで旅行してて帰ってきたらこうなってたの! 吸血鬼は万能じゃありません! 1385 よーでるDOODLEジャンル指定は偏愛モノ。今回は真っ当だな!散文詩になりました。「台風」「扉」「燃える関係」 嵐が来たわ。扉を閉めたの。ええ、ふたりきりね。あなたとわたし、ただそれだけ。ああ、雨音がうるさいわ。風が雨戸を叩いてる。見て、雷だけがわたしたちの明かり。それでいいの。 ええ、世界にあなたとわたし、ふたりきり。それでよかったの。これがいいの。これだけで、わたし満足なの。どうして、ただそれだけのことが叶わなかったのかしら? 嵐が来たの。あなたが他の人と笑い合うたび。私は走り去って扉を閉めたわ。だって、雨音がうるさくて。雷が眩しいの。目を開けてられない。風が。わたしを叩くの。耐えられない。 どうして、世界にあなたとわたし、ふたりきりじゃなかったの? そうじゃないと耐えられない。あなたがわたしに笑いかけてくれたなら。それだけで良かったのに。 719 よーでるDOODLEジャンル指定はなし。そういうのもあるのか…手癖でもうちょい続けそうになったけどここでスパッと切ったほうが良さげだったので終わらせた。書きたいことを書かず匂わせるのも大事!「林」「アルバム」「正義の脇役」 アルバムにある林間学校での写真の隅に、目立たない子が写っている。 友達ではなかった。名前も思い出せない。写真を見て、ああこんな子いたなと思い出す。その程度の関係だった。 好きでも嫌いでもないというのは簡単だが、正直に無関心だったと言ったほうがまだしも誠実だろう。その子がどんな子だったのか、わたしは知らない。体育は苦手だったように思う。勉強はどうだったろうか。美術は? 音楽は? 何が好きで、嫌いだったのか。何も覚えていない。 ひとつだけ、覚えていることがある。林間学校で川を渡るとき、わたしはキーホルダーにつけていた布製の飾りを泥に落として汚してしまった。当時好きだった漫画のキャラクターのグッズで、友達には笑って誤魔化したけど、内心ひどく落ち込んだのを覚えている。 603 よーでるDOODLEジャンル指定は「邪道ファンタジー」……またですか!?あんまり被るならもうちょい参照先バラけさせないとかな。そしてあんまり邪道にならなかった。ラブコメかな…「影」「プレステ」「穏やかな廃人」 これ? PlayStation。ゲーム機だよ、ゲーム機。え? そりゃ古いよ、無印だもん。うるさいな、しょうがないでしょ、アーカイブ化されてないのたくさんあるの! 夢だったの! いいでしょいっぱいさせてよ! 全く。何? あー、これはスーファミが初出のやつでぇ。そうだよ、これはアーカイブ化されてる。だぁーPS移植版にしかないボイスがあんの! ちゃんと調べてます! 集中させて! はぁー。何? 集中させたら300時間くらい放っとかれる? え、いやそんなには……えぇー1周72時間として、エンディング制覇しようと思ったら、あ、ほんとだそんくらいかかるわ。しょーがないでしょ昔のRPGは長いの! 言っとくけどストーリーがあるぶんまだマシだからな! ゲームシステムで遊ばせるタイプのやつはマジ果てしないからな! 素材集めで3000時間は余裕…… 961 よーでるDOODLEジャンル指定は悲恋……どうしろと。と思いながら書きました。「宇宙」「テント」「輝く大学」 この大学は宇宙についての学問に力を入れています。天体学を始めとして、栄養学(宇宙食開発)、工学(ロケット等開発)、心理学(閉鎖環境での心理的負荷について)、etc etc、クラブ対抗運動会で無重力ルーム使った宇宙遊泳を種目に取り入れるほどのガチっぷりです。 ちょっとやりすぎ? ま、そんだけ万事が万事宇宙に根差してる宇宙馬鹿の集まりってことです。わたし? わたしは……ちょっと毛色が違いまして。それで郊外の林にテントを建てて、ひとりでお茶を飲んでるってわけです。 うーん、説明が難しいなぁ。わたしはですね、そのー、好きな人に会いたくてこの大学に来たんですよ。いやいや違います。ここの大学生じゃないです。教授でもないです。事務員さんでも用務員さんでもない! 違います! 1870 よーでるDOODLEジャンル指定は「邪道ファンタジー」。子どもと誰かの長距離通話。あんまり邪道じゃなくなった気がする。「川」「ことわざ」「家の中の小学校」 僕の家には学校がある。自慢じゃないけど(偉いのは僕じゃなくてご先祖様だし)僕の家は広い。大豪邸だ。庭には山があって、そこから流れる川が館と離れの間を横断しながら村中を潤している。 え? ああ、ここは都会じゃない。田舎の、えーと、カントリーハウス。貴族が休暇を過ごすお屋敷だって。子どもが自然と触れ合うのはいいことだって、僕は生まれてからずっとこの村で過ごしてる。もう少し大きくなったら都会の学校に魔法を習いに行かされるらしいけど、正直憂鬱。あっちには友達いないからね。 え? 都会でも友達作ればいいって? いやあ、だって都会ってアレでしょ? 自然なくて石畳ばっかりで、魔法汚染で川も汚れてるし、山は均されてるんでしょ? それじゃあ河童はいないじゃない。 1315 よーでるDOODLE練習に三題噺。そろそろ縛り増やそうとジャンル指定のやつ回したらラブコメ……この組み合わせだとブリュンヒルデとジークフリートっぽいんだけどラブコメ……らぶこめ……なんかストーカー×2になった。「火」「プロポーズ」「いてつくかけら」「この火を越えた者だけがわたくしと結婚できます」 「いや無理では?」 開幕一秒で物語は終わりました。いえ始まりました。 燃え盛る炎の壁を前にその美貌を輝かせる姫君に、炎に隔たれた求婚者の男は未練がましく叫びます。 「この勇士の国でも並ぶ者なく勇ましき氷姫よ、強く賢く輝かしき方よ、どうかあなたの美徳に慈悲を混ぜていただきたい。あなたの前に跪く栄誉をわたしにください」 「嫌です」 にべもありませんでした。これで無表情ならまだ慈しみが芽生える気配を期待できたかもしれませんが、氷姫は満面の笑顔でした。眼差しは冷たいどころか慈愛に蕩けています。雪解けどころか春満開です。 「わたくし、強く勇ましく健気な殿方が無理難題に悶える様が好きですの。ですから早く、火に巻かれて苦しんでください。できないならお帰りになって?」 2634 よーでるDOODLE練習というか習慣づけに三題噺。あなたの望む商品(もの)をお売りいたします。代わりに、こちらの望む商品(あなた)になってください。デパート+メノウ+掻く お買い物お買い物。お買い物をしに来たの。まずは瑪瑙。私は赤色のが好き。見て、綺麗な縞模様。今日はきっと良い日になるわ。 次はお化粧。マニキュアはね、まず透明なジェルを爪に塗って、それから色を乗せるの。私はいくつも重ねるのが好き。見て、草の緑の向こうに星空が透けて、綺麗でしょう? ドレスよドレス。大胆な黒いブラウスを、清楚なスカートで隠して、華やかなコートで際立たせるの。楽しい楽しい、楽しいわ。 ええそうよ、お顔もいっしょ。化粧水で肌を潤して、色粉をはたいて、その上に筆で顔を描くの。これなんてどうかしら。派手すぎる? ふふ、肌に乗せると意外と目立たないのよ。 あら痒いわ。虫刺されかしら。嫌だわ。爪を伸ばしすぎたかしら。色粉を掻いてしまったわ。ごめんください、塗り薬をいただける? 虫に刺されてしまって…… 804 よーでるDOODLE練習に三題噺。まず定式幕ってなに?からだったよ。はい、歌舞伎のアレのことね。幕開け幕引きという解釈をしてみたけどお話の枠をお題で作ったせいで中身に困ることになってしまった。定式幕+取捨選択+ルーズリーフ では始まり始まり。過去かいずこか定かでなく、遠く近くも見通せぬ、彼方此方の物語。 寂れた家の片隅に、母の骸より生まれた双子がおりました。どちらが兄でどちらが姉か、それを知る者も既になく、きょうだい仲睦まじく支えあって暮らしておりました。 けれどその年の冬は厳しく、生き延びれるのはひとりだけ。嘆き悲しみ身を裂かれるような心地なれど、片割れを生かすため、もう片方は食糧を置いて旅に出ることにしました。 どちらが旅立ったか? ええ、それは、 ----------------------------- 旅立った片割れは、灰色の雲の下、荒涼とした道を延々と歩いておりました。 草木も枯れ果て野鼠すら見当たらず、野盗さえ野垂れ死ぬありさまのおかげで却って安全な、淡々とした死出の道でございました。 1401 よーでるDOODLE文章練習に三題囃。刑事さんとお話しているのかもしれない感じ。信号待ち+ピクニック+黒幕 ピクニックへ出かけましょう。赤信号で渡ってはいけません。黄色信号も止まりましょう。青信号で渡りましょう。 こんにちは、初めまして。今日は車が多いですね。行楽日和だからでしょうか。みんな浮かれて可愛いですね。 ああ、あちら。花が供えてありますね。この間事故があったそうで。可愛そう。可愛そう。 ええ、ええ、見てましたよ。可愛らしい人でしたね。パッと繋いだ手を離して。いつまでも泣きじゃくっていました。 え? ええ。お話しましたよ。こんにちは、いい天気ですね。ええ、大した話はしていません。今日も車がたくさんですね。赤信号で渡ってはいけません。ええ、それだけです。 ほら、大人に言われたことには逆らいたくなる年頃ですから。ええ、可愛い人でしたよ。目の下に隈があって、今にも泣き出しそうで。苦労してるんだなって、ひと目でわかりました。 591 よーでるDOODLE猿の手+聖人の遺骸の部位いっぱい+龍の体をもいで雨乞いをした民話モチーフ。□にあらず 昔々、あるところに■■という※の子がいました。 ■■は神様でした。いえ、本当に。だって人の願いを叶える力があったんですから。そんなのきっと、神様でしょう? ■■は優しくて気前が良い※だったので、景気良くみんなの願いを叶えてやりました。 「神様神様、どうか雨を降らせてください」「はいどうぞ」 「神様神様、どうかこの子の病を癒してください」「よしきた」 「神様神様、どうか憎いあいつを殺してください」「これでいい?」 願いを叶えるには供物を捧げねばなりません。いえ捧げるのは■■の仕事です。■■が体の一部を大地に捧げれば、大地が願いを叶えてくれるのです。 いつからそうだったかはわかりません。生まれたときから? それともその前から? 覚えていません。わかりません。今日も一房、■■は髪を大地に捧げます。 887 1