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    よーでる

    推敲に超時間かかるタチなので即興文でストレス解消してます。
    友人とやってる一次創作もここで載せることにしました。

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    よーでる

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    ノウェパートにかこつけて捏造設定ほのめかしパートその1です。妄想なので公式設定とはぜんぜん違います。

    ##二次創作
    #DOD

    罪の終わり、贖いの果て(4)「らららら、人は我が失敗作。我が写し身でありながらエゴばかりが強い、醜い、醜い、醜い、死ぬが良い」

     濃密で強大な魔力が立ち昇る。マナの指が宙を梳ると、無数の天使文字が弾幕となって降り注いだ。
     咄嗟に振り抜いた剣に魔力を充填する。展開された障壁を衝撃と爆音が揺らし、ひび割れさせ、砕こうとする。

    「レグナっ!」

     急降下した蒼竜の爪撃を、マナはステップを踏むように軽やかに躱した。
     石礫も砂埃も彼女には当たらない。踊り子のように嫋やかに笑いながら、花弁を撒くように魔弾を撒き散らしてくる。
     それらを撃墜しながら、レグナの呼気に青い炎が燃えるのを見つけて、ノウェは慌てた。

    『ダメだレグナっ。なんとか正気に戻さないと……』

    『諦めろ。この娘の自我は神に乗っ取られた。此処で、討つッ!?』

     マナの姿が掻き消えた。かと思えば、レグナの鼻の上に着地している。
     赤い目がレグナを睥睨して、嗤った。

    「らららら、竜は我がしもべ。我が玩具。我が箒。殺せ殺せ、我が失敗作を」

     レグナの眼に赤が滲む。呆けた口から炎が消えて、翼が弛緩して地に伏せ、マナに頭を垂れようと……

    「レグナーっっ!!!」

     ノウェの一喝で、レグナの眼から赤が拭われた。咆哮と青い炎がマナのいた空間を焼き尽くす。
     そのときには既に、マナは空にいた。宙を足場にステップを踏み、唇が呪文とも譫言ともつかぬ言葉を紡ぐ。くるくると回る腕に、光る天使文字の帯が羽衣のように絡みつく。
     その帯が巨大化しながら地上に迫るのを、ノウェは力任せに斬り払った。光の帯を織り上げる緻密な術式はノウェにはとても読み解けない。だが、救世主と謳われたノウェの魔力が剣から伸ばした光刃は、この上なく靭く鋭かった。

    『単純な力場展開だけで、神の傀儡に対抗しうる……ノウェ、やはりお前は』

    『レグナっ。なんとか、なんとかマナから神を追い払えないかっ!?』

     レグナの感嘆をノウェは聞いていなかった。閉口するレグナの呆れを察せないまま、必死に魔弾を捌く。

    『諦めろと言ったぞ。あの娘は神と約し、自我を奪うも奪わぬも神の自在の操り人形。解放できるのは神だけよ』

    「ららら。この女は仮の器。我が真の器に降誕するまでの捨て駒。天使わらう天使うたう天使天使らららら」

    「仮? 本当の体が手に入ったら、マナを解放してくれるのか?」

    「馬鹿者っ!!」

     甘言に目を輝かせたノウェを、レグナが一喝した。

    『真の器とは再生の卵に生きた人間が入ったもの、叶えば真に世界が終わるぞっ!』

    『再生の卵って、それって、俺?』

     明かされた己の出生を思い出し、ノウェが戸惑う。十八年前、封印の女神フリアエの亡骸を抱いた裏切りの竜騎士イウヴァルトが再生の卵に入り、ふたりが混じり合って生まれたのが、自分。

    『おまえは神を封ずる女神の亡骸と、赤目病を自力で克服した男が混ざった、神の天敵だ。おまえが先に再生の卵に入れば、神の力を奪い真の救世主になれる』

    『けど、マナが』

    『おまえ以外が卵に入り神の依代が完成すれば、どの道、人間は滅ぶ。
     失敗作だから滅ぼすなどと嘯いているが、水面に映った己の醜さに狂っただけのこと。和解も改心も不可能だ』

    「ららら。竜よ。我がしもべたち。おいでおいで。ららららら」

     マナの体で神が嗤う。赤く裂けた天に腰かけて、大きく頭上へ腕を広げる。
     伝説が、降りてきた。エンシェント・ドラゴン。膨大な力と長きを生きるがゆえの希薄な自我。雷雲の如き巨大な体躯に、ノウェは吠えた。

     レグナの背に飛び乗り、一気に飛翔する。勝てるかはわからない。マナを討つ覚悟なんて決められない。だけど、マナに、マナの体で、世界を滅ぼさせるわけにはいかない。
     光刃が竜騎槍となって古竜へと突進する。巌の如き眼がノウェを睥睨し、神の意のままに息吹を放とうとして、閃光に灼かれた。

     地上から無数の碧い魔弾が放たれた。咄嗟に回避しようとノウェは、それがエンシェントドラゴンだけを狙っているのに気づいた。器用にノウェとレグナを避けて、エンシェントドラゴンの鱗を蜂の巣にする。
     緻密な魔力操作と、高密度の魔弾。目を凝らしたノウェは、地上を埋め尽くす無数のゴーレムと、その中で一際大きな一機の肩に乗る、小さな人影を見つけた。

    「セエレ神官長!!」

     いつも穏やかに微笑んでいたあどけない面差しは、今は厳しく空を、妹を乗っ取った神を睨みつけていた。
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    よーでる

    PROGRESS完!! うおおお、十数年間ずっと頭の中にあったのでスッキリしたぁ。
    こういうカイムとマナが見たかったなー!!という妄執でした。あとどうしてカイムの最期解釈。
    またちょっと推敲してぷらいべったーにでもまとめます。
    罪の終わり、贖いの果て(7) 自分を呼ぶ声に揺すられ、マナはいっとき、目を覚ました。ほんのいっとき。
     すぐにまた目を閉ざして、うずくまる。だが呼ぶ声は絶えてくれない。求める声が離れてくれない。

    (やめて。起こさないで。眠らせていて。誰なの? あなたは)

     呼び声は聞き覚えがある気がしたが、マナは思い出すのをやめた。思い出したくない。考えたくない。これ以上、何もかも。だって、カイムは死んだのだから。
     結局思考はそこに行き着き、マナは顔を覆った。心のなかで、幼子のように身を丸める。耳を覆う。思考を塞ぐ。考えたくない。思い出したくない。思い出したく、なかった。

     わからない。カイムがどうしてわたしを許してくれたのか。考えたくない。どうしてカイムがわたしに優しくしてくれたのか。知りたくない。わたしのしたことが、どれだけ彼を傷つけ、蝕んだのか。取り返しがつかない。償いようがない。だって、カイムは、死んでしまったのだから。
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    よーでる

    DOODLEどんどん敬語が剥げてますが語りじゃなく講義だからということで……
    あと大まかな国の特徴語ったらひとまず単発ネタ書き散らす作業に入れるかなぁ。
    ぶっちゃけお話の途中で世界観説明しようとすると毎回語りすぎたりアドリブで知らん設定出たりするのでその事前発散が狙い……
    巫術と法術について 今の世界の魔法は大きく分けて2種類あります。1つは精霊に語りかけて世界を変えてもらう魔法。王族が使っていたのがコレだね。
     精霊……王祖の末裔じゃなくても、精霊の声を聞きその力を借りれる人は増えています。それが龍王国衰退の遠因になったわけだけど、今はいいか。
     この方法は【巫術】と呼ばれています。長所は知識がなくても複雑な事象が起こせること。細かい演算は精霊任せにできるからね。代表的なのが治癒。肉体の状態や傷病の症状を把握するに越したことはないけど、してなくても力尽くで「健康な状態に戻す」ことができます。
     欠点は精霊を感知する素養がないと使えないこと。だから使い手は少ない。それと精霊の許しが出ない事象は起こせない。代表的なのが殺傷。自衛や狩りは認められてるけど、一方的で大規模な殺戮は巫術でやろうとしてもキャンセルされるし、最悪精霊と交感する資格を剥奪されます。
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    よーでる

    DOODLE公主は本来プリンセスという意味ですが、祭り歌では公国の代表という意味の言葉になってます。アデラさんは武闘家系ギャルです。
    ほんとは東西南北それぞれの話するやるつもりだったけど西と南はちょっとド鬱なのでまたの機会にします。子どもに無配慮に聞かせたら怒られるやつ……
    一通りの世界観の説明が終わったので、明日からはこの世界観で単発話を量産する予定です。
    公国の興り(2)凍てず熔けぬ鋼の銀嶺 道行く花に光を灯しながら、アデラティア公子一行は海に臨む丘にたどり着きました。丘に咲く白い菫を見渡して、公子は軽やかに宣言します。

    「ここにわたしたちの都を作りましょう」

     こうして光る菫の咲き誇る白き都コノラノスは作られました。号は公国。龍王国最後の公子が興した国です。
     公子は精霊の声を聴く神官を集め、神殿を築きました。血ではなく徳と信仰で精霊に耳を澄ませ、精霊の祈りを叶え、世に平穏をもたらし人心を守る組織です。
     国の運営は神殿の信任を受けた議会が行います。アデラは神殿の代表たる公主を名乗り、花龍ペスタリスノの光る花【霊菫(たますみれ)】を国に広めました。

     霊菫は花龍の息吹。花の光が照らす場所に魔物は近寄らず、死者の魂は慰められ、地に還ります。公国が花の国と呼ばれる由縁です。
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