フラグ立ては上手くいかない
夜、肉まんを買いに出た足で公園に寄ったら友人と出くわして、何だかんだで自分のアパートに泊まらせることになった。これで友人が可愛い女の子ならマンガやゲームのよくある展開だが、残念ながら男だ。
公園で元気がなさそうに俯く友人から話を聞くに、兄貴と喧嘩して家を飛び出して来たとまあ、ありがちな展開が続く。今帰ると顔を鉢合わせるから帰りたくない、とベンチで腕を抱く友人の手は冷えきっていた。
「じゃ、俺の部屋来て暖まってったら? 帰りたくなるまで」
「……いいのか?」
新が顔を上げた。何もかも都合が良すぎる。年が明けてからアパートに部屋を借りた仁は一人暮らし。今日、夜に買い物に出たのも、公園で出会った新が自分の部屋に来るのも、帳尻合わせのような気がしてならなかった。
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