捕えた蝶は嘘を囀る 「やあ、泛塵君。気分はどうかな」
「あんたが来なければ最高だよ、穴山小助」
真田信繁に成りすましていた大千鳥十文字槍は逃してしまったが、代わりに助けに来た脇差を捉えた。独り捉えられてもう幾日か経つというのに、相変わらず殺気を放ち睨みつけてくる。
「一体何の用だ?……聞いたところで応じる気はないがね」
「僕達の要求は、信繁様の事。そして、この時代から手を引いて欲しい、その二点だけだ」
「何度も同じ答えで申し訳ないが、それは出来ない」
「……」
堂々巡りだ。いっそ見せしめに望月の言うように解体してしまうか?いや、そんな事をしても意味がない。説得できるのであれば。……そして。
「君からは、僕たちと同じ真田に仕えたものの匂いがする。真田十勇士と刀剣男士、僕たちは似ている」
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