ジャック・オー 兄貴、とすっかり馴染んだ呼び名で声を掛けられて、俺は手元の資料から顔を上げる。声の主は、携帯を片手になんとも言えない顔をしていた。
「あのさ、ダチから変な画像が送られてきたんだけど……」
「……変な画像?」
なんだか嫌な予感がして、つい声が硬くなる。ダチと言うからには、一瞬浮かんだその手のアダルト画像ではないと思いたいが――などという心配を他所に、パッと見せられた画面に映し出されていたのは愉快なかぼちゃの被り物をした強面の男の集団だった。
「……はあ?」
まあ、たしかに、変な写真ではあるけれど。
そういえば、と今日が十月三十一日であることを思い出す。偏見を持ってはいけないと思いつつ、こういう男たちが集団でハロウィンイベントに乗っかるのは意外で、まじまじと見てしまった。よく見れば小さい子どもにお菓子を配っているようで、ただのコスプレというわけではなくきちんと行事として行っているらしい。
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