書斎から持ってきたミステリー小説。長時間リビングに居座るためのコーヒー。前日にふわふわにしておいたブランケット。己が用意したものを満足げに見まわして、工藤新一は小説を片手にソファに座った。一番ちょうど良い姿勢で小説の表紙をめくる。
今日は素晴らしい休日になりそうだ。
江戸川コナンでいることにはとっくに慣れたが、たまには小学生のふりをしなくてもいい時間がほしかった。そういうときは博士のところに泊まりに行くといって、こうして自宅で思うがまま、気が済むまで小説を読みふけることにしていた。そして一人の時間がほしいという思いを尊重して、沖矢さんは気を利かせてだいたい近くのホテルに泊まりに行ってくれる。別に追い出したいわけではないし、勝手に来ているだけなのだから、放っておいてくれたら家にいてもいいのだが。
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