君の素顔と兄の品ヌビア学研究所、その会議室の一つ。監視カメラが無く、鍵の閉まる場所。予約さえすれば、誰でも使える場所。そこに、ヌビアの子の二人がいる。
(…………)
リヨンは何も言わずに、ぼくの────ナスカの言葉を待っている。会議室にぽつんと置かれた無機質な椅子に座って、ぼくの言葉を待っている。
閉鎖空間だ。
そんな場所に、すっかり惚れ込んでしまった女の子と二人でいるのだから、何も意識するなという方が難しい。
だけれど、ぼくの心臓は、それとは別の要因で騒いでいた。
「……そ、その。いいかな、これ、脱いでも」
ぼくが自分で指さしたのは、頭の部分を覆うクラゲ。リヨンは、こくりと頷いた。
ぼくは、すうっ、はぁっ、と、一つ大きく深呼吸をする。
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